Noosphere<精神圏>

進化の途上にある人間、これからどう発展するのか。

多様性の爆発

2018-10-30 18:28:15 | 進化のエネルギー

多様性の爆発

生命進化の流れにある生物は、その種に決められた寿命の間に獲得した構造や機能を子孫に伝えています。そして主流でなかった種はいずれ固定化して進化が止まってしまいます。しかし人間に至る主流の道にあった種は段階を越える変異を何度も成し遂げました。上位の種への変化を起こした時期は、種の継続期間からしてかなり短い期間であり、そこでは新しい構造や機能への芽生えが多様に生じて、そこから次の優位な種への流れが起きています。進化の経過で新しい機能の芽が生じるのは、放射線や大災害などの外界からの刺激なのか、天敵から種の継続を脅かされる危機感なのか、遺伝子に内部機構があるのかは現状ではわかりません。多様に分岐した子孫たちの中から生命の方向に優位な機能を確保したものが残ったということです。しかも、この流れは不可逆的に意識が向上する方向にあります。

生命の歴史において、人間という自己の意識を明確に自覚した個体が生じたことは、この地球に始めて生命が誕生したという事実に次ぐ生命進化の驚異に思えます。大脳という複雑な器官が発達して個体の全体を制御することに加えて、言語を操って認識や選択を深めて、内省によって将来を見通していく能力を持つ段階に至っています。人間は自ら考えた目的を持ち明確な意志を持って行動できています。豊富な知識と経験を重ねてきた人類は、種の継続に正しい方向、つまり未来への進化の芽を育てることができるはずです。生命の進化において、突然に起こる多様な変異の爆発がある時期では、固定化して衰退していく分岐もおこります。そこで現時点の私たちは、生命の流れに沿った新たな種への正しい方向にあるといえるのでしょうか。

この世の中は混乱の最中と思えるので、私たちの多くは戦争や貧困などが未来に起こる可能性に暗い雰囲気になりがちです。昨今の政治や経済の方向性に将来の見通しがなく確固たる指導性も感じられません。自己主張の強い集団や個人の利己主義によって不平等が広がるようにも思えます。しかしお金の流通によって個々に偏った情況だけを見れば確かに不平等ですが、私たちの生き方には少なくとも自由な部分があって、努力によって充実を目指せるならば、一概に不平等というわけでもありません。その多様さのなかから将来の芽が育っていくのですから、この現代の混乱も人類の進化において何らかの外的な要因の1つとも考えられます。

人間はその頭脳によって自己を明確に自覚して他との比較もできるので、違いや不平等を認識して必要な変化を考えることができます。そして現状の不満や不安への意識が様々な考えや行動となって多様な広がりへと発展します。多様な考え方の中から多くの人が賛同して集団にまで発展するものがあれば、将来に向かう方向を選択する可能性を確保することになります。経済の動向が特定の利己的集団に有利となって、欲望主導の享楽に溺れるとか他人との競争で優位を取ることに終始しても、世界的なレベルでは多様さの爆発が起こりつつあって、それが進化の芽となってあちこちに生じるはずです。現状ではそれぞれが小さな中心を作るだけであっても、少しずつ広がっていきます。現状では、自分の暮らしを充実させたいということから、生活水準、財産、権威、地位などに拘りがあっても、そこには一定の自由があるので、多様性の爆発を起こす下地が整えられていると思われます。新しい時代へ向かう多様性の爆発が起こる段階の中途にあるということでしょう。

Written by Ichiro 10/31/2018.

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