ハイビジョン/まるごとカラヤン ~11時間。
~ 生誕100年記念・その人と音楽大全集 ~
2008年4月5日 (土) ~カラヤンの生誕記念日。
NHK/BS ハイビジョン(下記放送終了)
第1部 9:00~12:00(3時間)
第2部 16:00~19:00(3時間)
第3部 20:00~25:00(5時間)
<mimifukuから一言。>
20世紀後半のクラシック音楽界に君臨し、帝王の名を欲しいままにした、ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan 1908~89)が、ザルツブルクに生を受けてこの日(2008年4月5日)が100年目の記念日です。
カラヤン生誕100年を記念してNHKでは、延べ11時間にも及ぶ長時間の特集番組、 「まるごとカラヤン、~生誕100周年記念・その人と音楽大全集~」を放送します。
カラヤンは、それまでの指揮者像を変革しました。
ジェット機で世界中を飛び回り、スーパー・カーで街を駆け巡る彼の関心はテクノロジーの変化でした。
また、そうした派手な面を強調することで、自らのカリスマ像を演出したとも言えるでしょう。
演奏スタイルは、耽美と荘厳を重ね持ち、オーケストラには絶えず完璧を求めました。
完全主義追い求める演奏スタイルは、作曲家の意図するものを越え、良くも悪くも、<カラヤンの音楽>と呼ぶ声も聞かれます。
テクノロジー好きのカラヤンは、レコードや映像の制作に力を注ぎ、自らの音楽を記録、保存することに執心で、そのための会社を設立したほどです。
カラヤンは、機器の最先端に細心の注意をはらい、美しい音楽を一般大衆に贈り届ける事に生涯の情熱を傾けました。
(そのため、商売人呼ばわりする口の悪い評論家の人もいますが。)
映像を通して、クラシック音楽を楽しむスタイルを作り上げたのがカラヤンですし、現在私達が楽しむ、音楽CDの録音時間を決めたのもカラヤンと言われています。
(一説には、一番演奏時間の長い、ベートーヴェンの第九交響曲が、一枚で丸ごと入る時間に設定されたと言われています。~手元にある資料では、フルトヴェングラーのバイロイト版が74分43秒。カラヤンの76~77年盤は、66分56秒です。さらに、カール・ベームのラスト・レコーディングが78分53秒ですが、1980年の録音なので既にCDのタイム設定後の録音になると思います。)
番組では、カラヤンの残した演奏ソフトを世界で初めてハイビジョン化するとの事で、今から楽しみです。
特に第3部の「ばらの騎士」は、屈指の傑作。
さらに、カラヤンの人物像に迫るドキュメンタリーや、ゲストの楽しい?お話と共に、番組は進行しそうです。
司会進行のアナウンサー、岩槻 里子さんは、かつて石川県で長く勤めたアナウンサーで、今後の活躍が期待される、NHK期待の星?です。
石川県にいるときは、フンワリとした人柄と、しっかりとしたアナウンスに好感を持っていました。
<mimifuku的評説。>
私の番組の感想へのリンク。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/c45fbc2a147f38dd5c9e048829dd5fee
<関連番組へのリンク>
夢の音楽堂:世界最高のオーケストラ/ベルリン・フィルのすべて。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/c2d870b083488b30f7593657fe02881f
カラヤンの芸術 <全3回シリーズ>
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/2918d90767504a4151915bba6d612e04
【補足】
NHKオン・ラインより、記事の転載。
カラヤンは、日本の音楽文化にも大きな足跡を遺している。
カラヤン以前、日本においてそれほどポピュラーな音楽ジャンルではなかったクラシック音楽が、カラヤン以降に一変。
徹底したメディア戦略をとるカラヤンは来日のたびに人気を増し、「帝王カラヤン」はビートルズと同じレベルで日本人の脳裏に刻みつけられる。
1970年代には社会現象ともいえる「カラヤン・ブーム」を巻き起こし、女性週刊誌のグラビア記事に取り上げられるなど、新たなクラシック・ファンを掘り起こした。
クラシック音楽はカラヤン以降にはじめて、広く一般的な音楽として楽しまれるようになったと言うことができるだろう。
スタジオにはクラシック音楽の大ファンである俳優の石坂浩二さん、そして大のカラヤン・ファンでもある音楽評論家・黒田恭一さんをお招きし、以下のプログラムでカラヤンの音楽、カラヤンその人の魅力をたっぷりとお送りする。
●カラヤンの音楽-オーケストラに君臨する帝王の音楽…その実像に迫る!
カラヤンはその演奏の多くを、35ミリフィルムに記録した。
今回初めて、そうしたフィルムのいくつかをハイビジョン化。
オペラあり、シンフォニーありのプログラムを、スタンダード画質を遙かに超える情報量を持つ、フィルムが本来持っていた生々しい演奏の実像を、ハイビジョンであますところなくお伝えする。
●カラヤンの人物像に迫るドキュメンタリー
生誕100年を記念して制作するドキュメンタリー。
カラヤンの膨大な映像を記録するドイツのアーカイブスから、インタビュー、リハーサル、遺された文章などから矛盾に満ち、死後も謎に包まれているカラヤンの人物像を解きほぐす。
●ドキュメンタリー「日本人とカラヤン」
カラヤンと日本との関わりは1954年・NHK交響楽団への客演に始まる。
70年代の「カラヤン/クラシック・ブーム」、日本企業との関わり、クラシック専用ホールの落成との関わり、小澤征爾ら日本人芸術家との関わりなど、カラヤンと日本とのつながりは濃密だった。
番組では、「カラヤンによって自分の人生が変わった!」というほど大きな影響を受け、その後さまざまな分野で活躍する日本人をインタビュー取材。
日本人の視点から不世出の巨匠カラヤンの実像に迫る。
<曲目リスト>
【 第1部 9:00~12:00 】
~カラヤンの目指した美の世界。
*楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 ( ワーグナー )
~第1幕への前奏曲
管弦楽/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
< 収録: 1957年11月3日 旧NHKホール >
mimifukuの持つデータでは、日比谷公会堂となっています。←間違いのようです。
ベルリン・フィルとの初来日公演の、初日のオープニング曲のライブ映像です。
モノクロの映像ですが、若き日のカラヤンの端整な顔立ちは、多くの女性に支持されたようです。
同日には、Rシュトラウスの「ドン・ファン」とベートーヴェンの「運命交響曲」が演奏されました。
(カラヤン個人としては、1954年4月にNHK交響楽団の客演指揮者として初来日しています。その時のオープニング曲は、R・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」でした。)
*交響曲 第4番 ニ短調 作品120 ( シューマン )
管弦楽/ウィーン交響楽団 [ 収録: 1965年 ]
フランスの映画監督、アンリ・ジョルジュ・クルーゾとの共同制作。
1965年11月の映像。
カラヤンは、シューマンの交響曲第4番を1957年と1971年に録音しています。
この演奏は、ウィーン交響楽団との共演で、どのような音を引き出しているのか楽しみです。
私のお気に入りのベスト・パフォーマンスは、フルトヴェングラーの1953年盤です。フルトヴェングラーの造形力の凄さに、カラヤンの流麗な表現はどのように聴こえるか?・・・個人的な話です。
*ドキュメンタリー番組
「ヘルベルト・フォン・カラヤン 」
~ その目指した美の世界 ~
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/24e7f0c160f1e5bc716f75ac0a1476a6
ドイツで制作されたドキュメンタリー番組のようです。
(正しくは、ドイツ/オーストリアの2007年共同制作番組。)
<Unitei/MR Film 2007>
【 第2部 16:00~19:00 】
~カラヤンとシンフォニー。
*交響曲 第1番 ハ短調 作品68 ( ブラームス )
管弦楽: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 [ 収録: 1973年 ]
1973年1月~3月。ブラームス:交響曲全集より。
フィルハーモニー・ザールでの映像作品。
カラヤンは、ブラームスの1番を5回録音しています。
カラヤンのブラームスは、重厚な響きを持ち、ちょっと堅苦しいかも?
私のベスト・パフォーマンスは、カール・ベームの1975年の来日公演のライブ。
中学生の私が、120分のカセット・テープ(カットしたくないもので、)に録音し、テープが切れるまで聴いた演奏。
この摺り込みに勝る演奏はないですね。
ちなみこの曲は、大ヒット・ドラマの<のだめカンタービレ>で、ベートーヴェンの交響曲7番と並んで、ドラマの核となった楽曲です。
ベートーヴェンの交響曲第7番は、「カラヤンの芸術」で4月12日に放送されます。
リンク→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/2918d90767504a4151915bba6d612e04
*交響曲 第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」 ( チャイコフスキー )
管弦楽: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 [ 収録: 1973年 ]
1973年12月、フィルハーモニー・ザールでの映像。
カラヤンはこの曲を7度も録音しています。
カラヤンの最もお気に入りの楽曲。
3月20日の「ベルリン・フィルのすべて」で、小澤征爾さんが快演したこの曲をカラヤンはどのように料理するのか?
小澤さんの演奏に唯一欠けていた、甘美なメロディー表現は、カラヤンお得意の至芸。
第一楽章の弦楽器で奏でられる主題の美しさは涙モノのはず。
ワクワクです。
*交響曲 第9番 ニ短調 作品125 「合唱つき」 ( ベートーベン )
ソプラノ : グンドゥラ・ヤノヴィツ
メゾ・ソプラノ : クリスタ・ルートヴィヒ
テノール : ジェス・トマス
バリトン : ワルター・ベリー
合 唱 : ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団
管弦楽 : ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
< 収録: 1968年 >
データでは、1970年のフィルハーモニー・ザールでの映像と記されています。
別のものでしょうか?
カラヤンのベートーヴェンは、とにかく速い。
さらに、抑揚が乏しいいため、ドラマ性も欠けます。
カラヤンを贔屓にしている私でもカラヤンのベートーヴェンのCDは持ってないです。(カセットに全集は録音してありますが。)
ただ、第9という楽曲をはじめて聴かれる方には、速いことを除けば癖のないベートーヴェンなので、最高のテキストとしてお勧めできます。
いくらなんでも、初めて「合唱付き」に接される方に、フルトヴェングラーのバイロイトは、辛いでしょう。(でも、クラシックを趣味の持とうと考えられているなら、バイロイトの第9は、一度は通らなければならない道です。そして、その価値の高さに気付いた時、新しいクラシックの聴き方を手に入れることができます。)
今回放送される第9の録画は古いので、意外と情熱的なベートーヴェンが聴けるかも知れません。
人類史上最高との評価の高い楽曲を、空前絶後の人気を誇ったマエストロ/ヘルベルト・フォン・カラヤンが演奏するのですから悪い訳がないでしょう。
先入観を払拭して聴きましょう。
【 第3部 20:00~25:00 】
~日本人とカラヤン/歌劇「ばらの騎士」
*ドキュメンタリー 番組:「日本人とカラヤン」
NHKが、70年代に制作したドキュメンタリーのようです。
(大きな誤りです。2008年のこの番組のために制作した番組でした。、申し訳ありませんでした。)
*歌劇「ばらの騎士」全幕 ( R.シュトラウス )
侯爵夫人 : エリーザベト・シュワルツコップ
オクタヴィアン : セーナ・ユリナッチ
ゾフィー : アンネリーゼ・ローテンベルガー
オックス男爵 : オットー・エーデルマン
フォン・ファーニナル : エーリヒ・クンツ
合 唱 : ウィーン国立歌劇場合唱団
管弦楽 : ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
〃 : モーツァルテウム管弦楽団
演出 : ルドルフ・ハルトマン
衣装 : エルニ・クニーペルト
装置 : テオ・オットー
監督 : パウル・ツィンナー
[ 制作:1960年 ]
言わずと知れた、ザルツブルク新祝祭大劇場の杮落とし公演の映像。
データでは、オペラの演出もカラヤン。
音声と映像は別取りで、映画仕立ての内容です。
20世紀の最高の歌姫の一人、エリーザベト・シュワルツコップをはじめ、当事の最高のキャストによるオペラ史上に燦然と輝く、歴史遺産。
でも、慣れない人にとって、全部見るのは苦痛かも?
録画されて、1幕ずつ観られる事をお奨めします。
また、1956年に録音された同曲の演奏も不滅の名演奏として名高いもので、現在もCDで聴く事ができますので、映像を見て興味のある方はぜひお聴きださい。
使用データ:音楽之友社発行/カラヤン全軌跡を追う
~スタジオ出演 ~
石坂 浩二 (俳優)
黒田 恭一 (音楽評論家)
吉田 恭子 (バイオリニスト)
岩槻 里子 アナウンサー、ほ か
【関連番組】
「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」
教育テレビ 毎週(火)後10:25~10:50
4月は、「ヘルベルト・フォン・カラヤン 時代のトリック・スター」を4回にわたり放送する。
語り手は、カラヤンの作り出す音楽がきっかけでクラシックの大ファンになり、以後独自の視点で作曲家や演奏家を論じている、コラムニストの天野祐吉さん。