みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

東京都青少年健全育成条例、都議会で否決。/児童ポルノネットブロッキング 通信の秘密を侵害しないか

2010-06-21 08:12:14 | ほん/新聞/ニュース
女性学会ふつかめ。

午前中は、研究発表の分科会。
聞きたいテーマの発表にしるしをつけて、分科会を渡り歩きました。
「主婦たちのバックラッシュに見るケアの選考と主婦アイディンティティ」がおもしろかったです。

午後は、ポルノ被害に対する法的アプローチの話に関心があって聞きに行ったのですが、
「東京都の条例は画期的なものなのに弁護士会をはじめ民主から共産まで、
反対した人たちの気がしれない。ちゃんと条例を読んでいるのか」という
一方的な言い方には、ちょっと違和感がありました。
条例の反対論は、感情的なものではなく、ちゃんと理由があるのですが、
それにはほとんど言及しないで、「ポルノ規制」と一緒にしていると感じました。



「漫画・アニメの性表現規制を考える」2010.6.11 毎日新聞

東京都青少年健全育成条例改正案は、16日に都議会本会議で否決されたばかりです。
この条例案は、いろんな問題を含んでいます。
解説本も出ているようなので、関心のある方は、是非お読みください。

都青少年健全育成条例改正案:都議会本会議で否決 9月にも再提案
毎日新聞 2010年6月17日 

 東京都議会は16日の定例会本会議で、18歳未満の性的行為を過度に描いた漫画の18歳未満への販売を規制する都青少年健全育成条例改正案を3人差で否決した。与党の自民や公明は賛成したが、民主、共産など野党会派が反対。都側は改正案を練り直し、9月定例会以後に再提案する方針。
 改正案は、18歳未満として描かれた漫画やアニメのキャラクターの性的行為を売り物にした作品を子供に販売しないよう書店などに自主規制を求めるなどの内容。「表現の自由が侵される」として、著名漫画家らが反対表明していた。
 討論で民主は「青少年の育成には総合的な取り組みが必要」と主張。自民は「対案を示さずに否決するのは遺憾」とした。【真野森作】
毎日新聞 2010年6月17日 



ゼロから分かる東京都青少年健全育成条例改正問題 ― 第3回
非実在青少年◆読本を作った理由──徳間・大野編集長に聞く

ASCII.jp - ‎2010年6月18日‎
文● 高橋暁子

 非実在青少年。東京都青少年健全育成条例の改正案に登場した、年齢設定が18歳未満である少年、少女のキャラクターを意味する言葉だ。東京都側はおそらく意図しなかったのだろうが、この単語はキャッチーに過ぎた。その結果、多くの人々がこの条例改正に関心を持つこととなってしまった。

 この「非実在青少年」に焦点を当てたムック本が生まれた。5月31日発売の『非実在青少年◆読本』(徳間書店)である。問題点がよくわかる藤本由香里準教授、山口貴士弁護士へのインタビューのほか、クリエイターたちの考えが伝わってくる吾妻ひでお氏×山本直樹氏×とり・みき氏の座談会、ちばてつや氏のコミックエッセイ、115人のクリエイターから集めたアンケートなど、盛りだくさんの内容となっている。
 そこで今回は、編集を担当した「月刊COMICリュウ」編集長の大野修一氏にご登場いただき、告知からわずか1カ月半ほどでの緊急出版を決断した理由、本書に込めた思いなどを語っていただいた。20年以上も漫画・アニメ・SFの編集者として活躍してきた大野氏は、条例改正案に対してどのような考えをお持ちなのだろうか。

“手塚の末裔”として本にしたかった
 3月15日に藤本由香里準教授が漫画家などを集めて記者発表会を開く数日前、大野氏はこの問題をネットで見かけると、まとめサイトを読みふけった。読んで瞬間的に『本にしたい』と思いついたという。
 自らを「ジャーナリストではなく編集者」だと自認する大野氏は、「この問題をなるべく面白そうな本という形にして、少しでも多くの人に手にとってもらいたい」と考えた。何が起きたとかどんな意見があったかなどの最新情報は、すでにネットに載っている。そうではなく、クリエイターたちの考え方がわかる本にしたいと考えて、今のような形にした。
 「漫画やアニメに係わって生きている“手塚(治虫)の末裔”を集めてこの本を作ることが、やはり“手塚の末裔”のひとりである編集者としての自分の役割と感じた」と大野氏は語る。
 手塚漫画では、キャラクターが成長を夢見て、傷つき、死に、SEXをする。それこそが人生であり重要なことと感じるからこそ、“非実在青少年は性的であるべきではない”という改正案の主張に大野氏は異を唱える。

東京都はすべてのクリエイターとファンを敵に回した
 これまでも表現規制はなかったわけではない。ゲームはゾーニングして販売され、漫画は有害図書指定を受ける。しかし、今回の改正はそれを超えていた。これまではゲームや漫画、アニメなどに対する個別の規制だったのが、創作物全体への規制が行なわれたと感じたのも、本を作った理由のひとつだ。「漫画への規制だけだったらこの本を作らなかったかも」と大野氏。
 ネットを調べていくうち、漫画に係わる人たちだけではなく、多くの分野の人たちが改正に反対しているのを感じた。そこで、漫画・アニメ・ライトノベル・評論家など、なるべく多くのジャンルから人を集めてアンケートを採った。「改正案を作った側はエロ漫画や一部のアニメやゲームなどを個別に叩きたかっただけだろうが、知らないうちにクリエイターやファンすべての地雷を踏んでいたのだと思う」。
 3月末に審議延長が決定した際に企画書を通すと一気に動いた。6月の再審議の前には出そうと、スタッフを集めると通常業務と兼任で作っていった。局長が面白がって「やれやれ」と言ってくれたり、社内の人間が「東京都が質問回答集を出した」と教えてくれたり、興味を持って協力してくれる他部署の編集者も多かった。

クリエイターの内面は不真面目ではない
 「漫画を読んでいないで勉強しなさい」。子どものころ、保護者にそう言われたことがある人は多いだろう。一般の人たちにとって、漫画やアニメは知らず知らずそういう位置づけになっているのではないか。
「普通の人たちにとって大人になっても漫画やアニメやゲームに関わっているクリエイターは『真面目に生きていない人』と思われているから、こういう規制があるのではないか」と大野氏は推測する。
 だからこそ、規制される側の人たちに内面を自分の言葉で語ってもらう必要性を感じた。「アンケートを読めばクリエイターは不真面目でも非常識でもないことがわかるはず」。
 大野氏がつきあいのある漫画家の間でも、改正問題は話題に上ることが多かった。漫画家のとり・みき氏も、「ばかばかしいと思ったら本気なのか」と驚いていたという。「我々からしたらばかばかしいのに、規制側の人たちが本気なのは、両者の価値観の間に大きな溝があるからではないか」と大野氏は考える。
 批評家の東浩紀氏は、一般人にとって大人になっても漫画やアニメやゲームが好きなオタクは違う世界の人種で、だからこそ理解できない、怖い、気持ち悪いと思うのだろうと語っている。気持ち悪いと思われるままにならないためには、気持ち悪いと思われている側からコミュニケーションしなければならないという考え方だ。
・・・・(以下略)・・・・


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児童ポルノ:根絶へネットブロッキング 通信の秘密を侵害しないか
毎日新聞 2010年6月14日 

18歳未満を被写体にした写真や映像などの児童ポルノの根絶を目指し、政府は今月末をめどに、掲載したホームページへのアクセスを遮断する「ブロッキング(閲覧防止措置)」を柱とした総合対策をまとめる。海外だけでなく、国内のサイトも対象とするなど異例の取り組み。憲法が保障する通信の秘密を侵害する恐れがあり、「劇薬」の導入には慎重論も根強い。課題を検証した。【内藤陽、臺宏士】

 ●「民間主体」が重要
 警察庁と連携して悪質画像を検知し、削除要請を行っている違法・有害情報の通報窓口「インターネット・ホットラインセンター」。09年に寄せられた情報は4486件で、前年(1864件)の2・4倍に増えた。国分明男センター長は「ネット上の児童ポルノ画像は、一度出てしまえばコピーされ続けて完全には消すことができず、被害者の心理的負担は相当なもの。ブロッキングは有効な対策の一つだ」と訴える。
 今回の総合対策の目玉となるISP(インターネット接続業者)によるブロッキングの導入は、関係省庁でつくる犯罪対策閣僚会議のワーキンググループが先月まとめた「児童ポルノ排除総合対策案」に盛り込まれた。同対策案は「児童の権利を保護するためには国内外を問わず、画像発見後、速やかに児童ポルノのアドレスリストを作成し、ISPによるブロッキングを講じる必要がある」と明記した。具体的には、「インターネット・ホットラインセンター」などからの情報を基に民間団体がアドレスリストを作成。これに照らしてISPはユーザーからのアクセスを遮断する。
 問題はこの措置が憲法が禁じる「検閲」に相当しないかや、通信の秘密、表現の自由を侵害しないかだ。導入されれば、児童ポルノサイトにアクセスしない場合でも、まずはアクセス先がチェックされてしまうことになる。電気通信事業法を所管する総務省は「公権力がブロッキングに直接関与すれば憲法が禁じる検閲に当たり、また民間のISPであっても憲法が保障する通信の秘密を形式的には侵害することになる」(消費者行政課)と説明する。
 憲法や法の改正を行わず、どのようにして問題は解決されたのか。先月18日、同省の有識者でつくる「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」(ICTサービス研、座長=堀部政男・一橋大名誉教授)は、ブロッキングについて▽削除や検挙など他の方法では保護できない▽手法および運用が正当な表現行為を不当に侵害しない▽児童への権利侵害が著しい--などの場合に限られるという見解をまとめた。総務省は今月1日の政務三役会議で、この見解を踏まえたISPらによるブロッキングの実施を決めた際、「民間の自主性に基づいた取り組みとして行われることが重要だ」とした。

 ●乱用招く恐れも
 通信事業者らでつくる「安心ネットづくり促進協議会」の児童ポルノ対策作業部会は今月8日、現行法制下でもブロッキングが正当化し得るという内容の最終報告書をまとめた。その一方で、「ISPを利用するすべてのユーザーのアクセス先をチェックするほかはなく、この手法自体が重大な権利侵害の危険性を秘めている」と指摘した。同部会主査を務めた森亮二弁護士は「“禁断の手法”が認められるのは、緊急避難的なケースに限られる。例えば、児童ポルノの中でも悪質な内容でサイト管理者との連絡が取りにくい海外サイトのケースなど。国内サイトでは削除の要請を行う手順を踏むことでようやく条件が満たされる。検閲的な機能のあるブロッキングには、国の関与は『官民一体』ということでも認められてはならない」と指摘する。
 また、業界団体「インターネットプロバイダー協会」の野口尚志理事は「子供の人権を守りたいという気持ちはプロバイダーも同じだ。それでもなおブロッキングには慎重でなければいけないのは、乱用を招く恐れが出てくるからだ」と苦悩をにじませる。
 今回のブロッキング導入の背景には、警察庁など取り締まり側の強い意向があるとされる。通信の秘密や表現の自由を制約しかねない強い措置で、既に閲覧防止の措置を導入しているイギリスやノルウェーでは、対象は海外サイトに限定され、国内サイトに関しては警察当局の検挙などで対応している。このため、総務省のICTサービス研の内部には、導入を疑問視する声もある。ある委員は「警察が検挙しても根絶が困難であることが明らかになってから初めて、導入すべきかどうかを検討するのが筋なのではないか」と話す。

 ●報道写真でも遮断?
 ブロッキング導入に伴う派生的な課題として、「過剰遮断」の問題も指摘されている。あるサイトに悪質画像が見つかった際、そのサイト全体が一気に遮断される可能性だ。総務省の担当者は「例えば、真夏日に水浴びする子供の報道写真がブロッキングされてはいけない」と話す。
 さらに、波及懸念がある。インターネット上には、さまざまな情報がはんらんしている。「児童ポルノ根絶」をうたって導入された制度が、「わいせつ性」や「名誉棄損」といった、複雑で議論が分かれる分野への規制強化に利用されるのではないかという懸念は強い。ブロッキングの実施を決めた今月1日の総務省政務三役会議で、内藤正光副総務相は「児童ポルノ以外の違法・有害情報への波及はあってはならない」と明言した。
 一方、電気通信事業法はISPによる通信の秘密の侵害行為には刑事罰(3年以下の懲役または200万円以下の罰金)を定めている。このため、ISPらはユーザーらから刑事告訴や民事賠償を求められるリスクを抱えることになる。ブロッキングによって通信の秘密を侵害されたとしてユーザーが訴えた場合、ISPは電気通信事業法違反の罪に問われることになるのか。法務省は「ブロッキングの導入推進に向け今後、協力できる部分があれば協力していく」(公安課)と述べるにとどめている。
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「官」による検閲になりかねぬ
山田健太郎氏(専修大学准教授・言語法)

 日本社会全体に安心・安全のためであれば、個人の表現の自由やプライバシーの制限はやむを得ないとする考え方が強まる中で、インターネットら着いても同様にサイトへのアクセスログなどの犯罪捜査への利用は仕方がないとする意識が広がりつつある。しかし、憲法が保障する通信の秘密や表現の自由の優越的な地位を考えると、国家による介入は最も注意しなければならない。そうすると、
いまのブロッキング導入論には▽青少年保護という価値が表現の自由の例外となり得るのか▽名誉棄損やプライバシー侵害はなぜ権利侵害の例外とならないのか--など憲法論に立った議論が、あまりに軽視されていないか。
 ブロッキングは表現の自由や通信の秘密の侵害につながる規制でありながら、
児童ポルノサイトのアドレスリストづくりには警察の影響下にある民間団体がかかわるという。独立性や中立性、信頼性の欠如を示している。「官」による検閲になりかねない。
一方、日本では、犯罪捜査の検挙率や刑事事件の有罪率は極めて高いうえ、性犯罪の発生率は欧米に比べて低い。そもそも表現の自由が規制される場合、明確で厳格な基準が求められる。そのことに照らしても合憲であるとの説得力のある説明もされていない。根本的な議論がないまま、なし崩し的に制限されるのはおかしい。
毎日新聞 2010年6月14日 



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