みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

急接近:柳川喜郎さん 言論封じる暴力に社会が立ち向かうには/【社説】「知る権利」を侵すな  秘密保全法制 

2011-10-16 17:37:18 | ほん/新聞/ニュース
東日本大震災と大津波と、福島原発事故で、市民生活が困難に直面しているなか、
国の対応は後手後手に回り、政策としてその有効な対策もできていない。

事実や情報も隠蔽され、東電の責任や補償もあいまい・・。
この国の、危機管理能力のなさが、露呈している。

政権交代してからは、何も聞こえてこないし、何もみえてこない、
情報を秘匿し、国民を無視する方針に転換したのでは、と勘繰りたくなる。
うすうすわかってはいたけれど、この国の民主主義は、その程度だった、
と改めて認識させられている日々。

そんななか、「秘密保全法制」の準備が着々とすすみ来年の国会に提出されるということだ。

そんなことをしてる場合か!、もっと優先順位が高いことがあるのに。
国は、この法律を成立させて、国民の「知る権利」を制限して、
都合の悪い情報を、「恣意的に」秘匿したいのだろう。

非常事態が起きると、国というものがどのように動くのか、
人が見捨てられていくようすが、よくわかる。
情報は選別され、大本営発表のように、為政者や権力側が「知らせたい」情報だけが流通し、
本当に「知りたい」情報は、市民の側に届かない仕組み。

わたしは、もともと「国」というものに、期待も希望を持っていなかった。
だから、市民に何ができるか考え、行動してきた。

それにしても・・・・

あまりにひどいあり様じゃないか、と思う。


【社説】「知る権利」を侵すな  秘密保全法制  
2011年10月14日 中日新聞

 政府が進める秘密保全法制は、外交などの秘密をさらに厳重な国家管理下に置くものだ。国民の「知る権利」を侵しかねない法律制定に強い懸念を持つ。
 秘密保全法制が射程に入れているのは(1)国の安全(2)外交(3)公共の安全および秩序の維持-の三分野である。
 行政機関が所有する秘密情報の中でも、重要なものを新たに「特別秘密」と規定して、保全措置の対象とする。故意に漏えいした場合は、懲役五年以下か、十年以下の厳罰を科すという。

あいまいな特別秘密
 国家公務員ばかりでなく、事業委託を受けた独立行政法人や民間事業者までも適用対象となる内容だ。政府は次期通常国会に提案する方針である。
 まず問題なのは、特別秘密とは何か判然としていないことである。政府の有識者会議の報告書では「事項を別表などで具体的に列挙する」としている。
 ただし、秘密の指定はそれぞれの行政機関が権限を握る。これでは行政の恣意(しい)が働く恐れがある。政府・行政にとって、不都合な情報は意図的に特別秘密と指定することができよう。
 報告書では特別秘密について、形式的な秘密ではなく、保護するに値する実質的な秘密であることを要件としている。しかし、「実質秘」だと判断するのも、行政機関に任されているから、結果的に不都合な情報は覆い隠される。
 そもそも、この法制は昨年、尖閣諸島沖で起きた中国漁船と海上保安庁の巡視船の衝突事件をきっかけに着手された。海上保安官が衝突ビデオの映像をインターネット上で流したことが、政府の逆鱗(げきりん)に触れたのだ。
 国家公務員法の守秘義務違反に当たるとこぶしを振り上げてみたものの、検察側は刑事責任を問うのは困難だとして起訴猶予処分の判断をした。

情報公開の改良こそ
 このため、当時の仙谷由人官房長官が「抑止力が十分でない」と発言し、有識者会議を立ち上げたのが経緯である。つまり、政府にとって尖閣ビデオ問題は、外交上の不都合な情報を隠したかったからに他ならない。
 衝突映像を多くの国民はネットやテレビで目の当たりにした。こうした情報をも特別秘密として、政府が秘匿し続ける可能性があるのだ。まさに情報統制そのものではないか。
 むろん公務員は萎縮するに違いない。守秘義務違反なら一年以下の懲役などの定めがあるが、これが大幅に厳格化・厳罰化されるからだ。
 取材の自由への脅威にも十分になりうる。「正当な取材活動は処罰対象とならない」としているものの、公務員への「そそのかし」は処罰対象と判断される恐れがあるからだ。取材活動は国民の利益にかなう情報について、知恵や努力を働かせ、相手を説得して獲得するものだ。説得行為をそそのかしとみなすのだろうか。
 有識者会議の報告書は、違法な取材の事例として、「沖縄密約」を暴いた外務省機密漏えい事件を挙げた。だが、密約は政府が「沖縄をカネで買い戻すという印象を持たれたくない」と隠し続けたものである。
 返還協定に含まれない巨額な「秘密枠」などのカネは、密約であるがゆえに、国会の承認を受けることなく、米国に支払われた。議会制民主主義を無視した歴史の汚点でもある。
 同種の情報を特別秘密として封殺できるのが、今回の法制の特質でもある。外交などに秘密が伴うのは理解できるとしても、憲法を踏みにじっていいはずがない。「知る権利」を脅かす法制は、民主主義への挑戦状とも受け止められる。
 福島第一原発の事故でも、政府や東京電力などは重要情報を秘匿したり、情報操作を続けた。放射能の拡散予想を長く公開しなかった事実などは、国民の生命や財産をないがしろにしたのと同然だ。
 時代の潮流は、情報を閉ざすことではなく、情報をできるだけ国民に公開することだろう。
 情報公開法に「知る権利」を明記することで、行政サービスではなく、行政機関の義務として公開するという発想に百八十度転換できる。同法の改正こそ目指すべき方向である。そもそも「開かれた政府」は、民主党の党是ではなかったのか。
悪夢の再現ではないか
 一九八五年の中曽根康弘首相時代に「国家秘密法案」が出されたが、メディアや世論の反対によって廃案に追い込まれた。悪夢がよみがえったような印象である。政府情報に投網をかけて丸ごと覆い隠すような法制には、強い憤りを禁じ得ない。 



  社説:秘密保全法制 「知る権利」は大丈夫か(10月13日)
2011.10.13 北海道新聞

 政府は国の秘密情報の管理を徹底し、漏えいさせた国家公務員らに厳罰を科す法案を来年の通常国会に提出したい考えだ。
 防衛や外交に関する重要な情報を「特別秘密」に指定。ネット上などに流出して世界へ広がることがないようにする。
 背景には情報管理が不十分な日本政府とは秘密情報を共有しづらいとの各国政府の懸念があるという。
 しかし秘密の範囲を広げたり管理を厳しくすることで国民の知る権利を制限するおそれがある。
 既に国家公務員法や自衛隊法などが守秘義務を課している。現行法で不十分なのかも不透明で、慎重に進めるべきだ。
 法整備のきっかけは、沖縄県・尖閣諸島沖で昨年起きた中国漁船衝突の映像がネットに流出した事件だった。当時の仙谷由人官房長官は「罰則が軽く抑止力が必ずしも十分でない」と厳罰化する考えを示した。
 これを受け有識者会議が今年8月に報告書をまとめた。
 報告書は特別秘密の対象を防衛、外交、公共の安全・秩序維持に関する重要な秘密情報と規定。特別秘密を取り扱う者には居住歴や犯歴、薬物・アルコール依存がないかなどを調べる適性評価を実施するとした。
 国家公務員法が懲役1年以下としている守秘義務違反の罰則を同10年以下と重くすることも検討する。
 問題は知る権利との関係だ。
 特別秘密の指定範囲を広く取れば情報公開が制限される。厳罰化することで公務員が萎縮し、取材に対する制約が強まれば「報道の自由」を侵しかねない。
 また、独立行政法人や民間企業、大学が持つ情報も特別秘密の対象に含める方向だ。自由な研究活動を妨げる不安も生じる。
 報告書は法整備が知る権利を害さないと強調しつつ「運用を誤れば国民の重要な権利利益を侵害するおそれ」を指摘。「国民において運用を注視していくことが求められる」と行き過ぎを監視するよう促す。
 そうまでして新たな法制が必要なのか。慎重な検討が必要だ。
 きっかけとなった漁船衝突のビデオ映像には流出以前から公開すべきだという声があった。特別秘密に当たると言えるのか疑問だ。
 流出させた海上保安官は国家公務員法違反容疑で書類送検され起訴猶予となった。ネットへの漏えいは現行法で対処できないわけではない。
 民主党は情報公開推進を党是としてきたが政権交代後は後ろ向きだ。
 内閣官房報償費(機密費)の使途は未公開だし、情報公開法の改正も足踏みしている。秘密保全法制より先にやるべきことがある。 


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15年前、御嵩町の柳川喜郎町長が襲撃された夜、わたしは御嵩町にいた。

ゴルフ場問題岐阜県ネットワークの運営委員会で、各地から御嵩町議の家に集まって、会議を開いていたのだ。
銃撃事件が起きたことは、産廃に反対しているメンバーでもある町議宅への電話で知った。
柳川さんの命が危険であるということで、緊急手術が行われている、ということも。

衝撃事件現場から、さほど離れていないところにいても、パトカーの赤色灯や、
サイレンの後も聞かなかった。

会議を終えたのは、10時ころ。

その日は。奇妙に静かな夜だった。
事件が起きて、襲撃犯は逃走中だと思われるのに、
帰り道では、検問もなく、パトカーも警察官の姿もみなかった。

家に帰ってみると、警察官と名乗る男性の声で奇妙な留守電が入っていた。
「警察は襲撃を知っていた。警察は犯人をみ逃がした」と。
産廃を計画している企業には地元署からの天下りもあり、
警察との密着ぶりは、当時、地元では知られていたことだったので、
全く作り話しの電話とも思えなかった。

報道が大騒ぎを始めたのも、翌日のこと。
翌日、柳川さんの様子が心配で御嵩町役場に行ったが、
初動捜査の遅れは秘匿されていて、警察からは何の発表もなかった。

県警が重い腰を上げて動き出したのも、事件数日後のこと。
当時の梶原拓知事は産廃企業ともべったりで、御嵩の産廃施設の超推進の立場だったので、
本気で産廃問題との関連にメスを入れる、という感じでもなかった。

その後、わたしは朝日新聞の産廃問題の連載に執筆してほしい、という依頼で、
わたしの意見を書いた覚えがある。

おなじころ、産廃関連で秘密裏に告発状を出そうと準備していた前日、
わたしたちの持っている携帯電話のベルが鳴り、
たまたま持っていたわたしが電話に出ると、
「やめんと殺すぞ」という男の声がして、電話は切れた。
わたしたちは、県警に被害届をだし、わが家には長い間、
警察が設置した防犯カメラが、市道に向けて、これ見よがしについていた。
あまり効果があると思えなかったけれど、抑止力になるとのこと。
もしも事件が起きたら、あとでとモニータでテープを解析できるとのこと。

あの当時、大きな利権が動く産廃やゴルフ場問題の運動にかかわる、
ということは、いのちの危険も伴うことだった。

柳川喜郎町長襲撃事件の時効まで、あと半月。
事件が起きたのは、産廃問題の真っ最中、警察は本気で、この事件を解決しようとしたのだろうか。

柳川さんの言葉がいまも、忘れられない。
「わたしはパンドラの箱を開けてしまった」。

急接近:柳川喜郎さん 言論封じる暴力に社会が立ち向かうには 

<KEY PERSON INTERVIEW>
 岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長(当時)が襲撃された殺人未遂事件の公訴時効(15年)が30日に迫っている。町で進められていた産廃処理施設計画が背景にあるとみられているが、真相は闇の中。言論を封じる暴力に社会はどう立ち向かうべきか。柳川さんに聞いた。【聞き手・三上剛輝、岡大介、写真・大竹禎之】

 ◇情報公開に徹し団結を--殺人未遂事件の時効が迫る前岐阜県御嵩町長・柳川喜郎さん(78)
 --事件は夕暮れ時に起きました。
 ◆ 役場の仕事を終えて自宅マンションのエレベーターを降りようとしたところ、左側にいた男と目が合いました。普段は人に会わないので「珍しいな」と思った直後、棒状のもので突然頭を殴られました。すぐ後ろから身長180センチくらいの男も加わり、めった打ちにされました。不思議と痛みは感じませんでしたが、骨が砕ける衝撃は、はっきり覚えています。医者に「あと数センチずれていたら死んでいた」と言われるほどの大けがでした。

 --産廃処理施設計画にストップをかけたことが事件の背景だと主張されています。
 ◆ 利益率が20%を超えるといわれる産廃業界の甘い蜜には、これまで暴力団や右翼団体が群がってきました。御嵩町の計画でも多額の金が動いたようです。そんな中、計画凍結を打ち出した私が疎ましかった人は多いでしょう。県警は報告書で産廃施設計画を「魑魅魍魎(ちみもうりょう)の温床」と表現しました。
 計画は密室の交渉で進められました。前の町長時代、産廃施設計画に否定的だった町が、業者から35億円の協力金を受け取るとの条件で容認するようになりましたが、住民には一切知らされなかった。その後、反対派には脅迫や嫌がらせが相次ぎました。記者として海外の軍事政権を取材し、言論弾圧を経験していた私は「民主主義国家でこんなことがまかり通っていいはずがない」とカッとなりました。
 計画地は巧妙に選ばれていました。名古屋市などの水源となる木曽川の取水口が近く、水質汚染の危険性がありましたが、御嵩町民は別の川の水を飲んでおり、直接の影響はありません。また、町はかつて亜炭の採掘で栄えましたが、近年は近隣の市のはざまに埋没しています。産廃施設は誰もが嫌がる「迷惑施設」ですが、住民に直接の悪影響がなく、財政が潤うのならば、田舎町は建設容認に傾くでしょう。しかし、名古屋市民など500万人の水が汚される恐れがあったのです。

 --警察は柳川さんの失脚を狙って自宅を盗聴した11人を逮捕し、関連事件を含めると計34人を検挙しましたが、襲撃事件は未解決です。
 ◆ 県警が必要十分な捜査をしたかは疑問です。犯人が逃走したのに緊急配備をかけませんでした。実行犯として浮上した男もいましたが、つぶしきれていないようです。

 --行政への暴力や不当要求をなくすため何が必要ですか。
 ◆ 大原則は情報公開の徹底です。計画の立案から決定までの流れ、予算編成などをオープンにする。情報を隠すと、そこからおかしくなる。御嵩町は「知る権利」を明記した情報公開条例を制定しました。ただ、それだけでは暴力団や右翼団体の圧力は止まらないでしょう。毅然(きぜん)とした態度で臨み、首長や窓口の担当者を孤立させないことが大切です。栃木県鹿沼市では01年、市と廃棄物処理業者の癒着を正そうとした職員が殺害されました。職員は孤立無援の状態でした。泣き寝入りや責任の押しつけをせず、団結して立ち向かうことです。

 ◇議論重んじ民意に戻れ
 --事件後の97年に産廃施設計画の是非を問う住民投票を実施し、8割が反対に回りました。
 ◆ 以前は立ち話や井戸端会議でも産廃の話はタブーでした。「もの言わない社会」は民主主義に反します。民主主義は「説得」の繰り返しです。どんなことにも賛成、反対意見がある。時間と手間をかけて議論し、皆が納得いく結果を導き出す。これを省くと独裁や隠蔽(いんぺい)、暴力につながります。私は町内41カ所で説明会を開きました。
 住民投票は万能ではありませんが有効な手段です。間接民主主義は現在、議員の質の低下などで金属疲労を起こしています。首長と議会がねじれた場合や、地域にとって重要な事項を決定する場合は、原点の直接民主主義に戻るべきです。ただ、民意はムードで決まってしまう恐れがあるので、時間とエネルギーをかけて議論できる風土を作ることが大切です。

 --東日本大震災で大量に発生したがれきの処理が問題になっています。
 ◆ 産廃施設計画の凍結を打ち出した時、「処分場はいずれ満杯になる。お前たちもごみを出しているのに、受け入れないのは無責任だ」との批判もありました。しかし、計画が中止になって処理施設が足りなくなったという話は聞きません。環境意識の高まりから産廃の排出量が減り、リサイクルに力を注ぐようになったのです。
 震災のがれきも構図は同じです。処分場建設に向け、暴力団や右翼団体が群がる可能性もあります。処分場を造るにしても、偽りのロジックにだまされてはいけない。中和や破砕などの中間処理にコストをかければ、量を減らすことができるはずです。処分場の建設の是非やその内容は、オープンに議論してほしい。

==============
 ■ことば
 ◇御嵩町長襲撃事件
 96年10月30日、御嵩町の柳川喜郎町長(当時)が帰宅時に2人組の男に襲われ、一時重体になった。事件は未解決。背景とされた産廃処理施設計画は、是非を問う住民投票が97年6月に行われ、8割が反対。08年3月に白紙撤回が決まった。

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 ■人物略歴
 ◇やながわ・よしろう
 東京都出身。名古屋大卒業後、NHKでジャカルタ支局長や解説委員を務め、95年4月の御嵩町長選で初当選。産廃処理施設計画に反対し、情報公開を推進。3期12年を務め、07年に引退した。
毎日新聞 2011年10月15日
 


    

  


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