みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

でました!『おひとりさまマガジン』(上野千鶴子責任編集)よみました!「社会ビジョン選び直しへ」

2008-11-10 18:38:19 | ジェンダー/上野千鶴子
11月7日が発売日と聞いていたので、
堺の本屋さんで探したのだけど見つからなかった
『おひとりさまマガジン』(上野千鶴子責任編集)。


岐阜に苺の苗を買いに行ったので、
いつものカルコスで見つけてきました。
月刊誌のコーナーに平積みになっていました。


『おひとりさまマガジン』文芸春秋12月増刊号

帰りの車のなかで読みはじめ、
「やめられない。とまらない・・・」状態で、
ご飯も食べずに一気に完読。

いやあ、おもしろかったですねえ。
どこが?って、全部です。
さすが上野さんの責任編集の本。

おしゃれでビジュアルもすてきで、
これで900円はぜったいお得。

これだったらわたしも気分は「おひとりさま」。

おひとりさまも、その他おおぜいにも、お役立ちの本です。
まえがきの「すべてのおひとりさまへ」 
 少し前まで、「オールドミス」というコトバがありました。
「三十振り袖」も「いかず後家」も、「負け犬」だって、ありました。
「未亡人」や「バツイチ」だって、いやなコトバです。
結婚からはみだした女は、はんぱもの扱いでした。
  結婚がデフォールトだった時代は、終わりました。
結婚や家族がキライなわけじゃありません。それも人生のひとときのこと。
よい結婚ならしてもいい。でも、いずれ、結婚してもしなくても、
最後はひとりであることを、わたしたちは知っています。
 いまや「おひとりさま」の時代。差別も同情も、どちらもたくさんです。
 おひとりさまの空間には、だれに遠慮もいりません。
おひとりさまの時間には、だれの許可もいりません。
おひとりさまの暮らしには、だれの顔色を見る必要もありません。
 だからといっておひとりさまは、孤立しているわけではありません。
 ゆたかな仲間とテイスト、ほどほどの気概と備え、そして寛大さと前向きの気分
さえあれば、安心して「おひとりさま」でやっていけます。
 これは、そんなあなたへ贈る「おひとりさまでOK!」マガジンです。
上野千鶴子(責任編集)
 

あとがき「月の裏側」が出色です。 

出たばかりの本だから、中身はヒミツ。

 

目次だけ紹介しますから、ぜひ本屋さんで買って、繰り返し読んで
夢見る「おひとりさま」の日々の「保存版」にしてくださいませ(笑)。

人気ブログランキング(社会・経済)に参加中 
応援クリックしてね
 


多芸多才の上野さんを、硬軟取り混ぜて紹介するとすれば、
こちらは朝日新聞の「08政権選択 耕論」、
切れ味のよい文章の「社会ビジョン選び直しへ」。

先週の日曜日の記事で、はやく紹介したかったのですが、
堺の図書排除問題であちこち飛び回ってて一週間遅れ。

 「社会ビジョン選び直しへ」
上野千鶴子さん 東京大学大学院教授
 
2008.11.2 朝日新聞

 負け戦が必至の衆院選で短命な「幕引き内閣」になることを恐れてか、麻生内閣は有権者の判定をとりあえず避けました。でも選挙を先延ばしにするほど、保守政権のダメージは大きくなるでしょう。05年の郵政選挙で有権者が与えた支持は、改革への支持であることを忘れてはなりません。問題は、改革のめざす方向です。次の総選挙は、日本社会のビジョンを選択する選挙になると思います。
 シナリオは二つあります。一つはネオリベラリズム(新自由主義)型改革路線。別名アメリカ化といえるもので、これまで日本はこの方向に走ってきました。もう一つは社会民主主義路線。市場経済を否定することは誰にもできませんが、その限界もまた明らかです。社民型とはネオリベ型の市場万能主義に対して市場の限界を認めたうえで、そのリスクをやわらげるために再分配・社会連帯の原理を接ぎ木する、水に油を混ぜてドレッシングするというヨーロッパ型の路線です。
 麻生政権は改革を否定してばらまき路線に戻る反改革守旧派政権ですから、論外。では、二つのシナリオのどちらを選ぶか。小泉政権以来のネオリベ型改革のツケや限界を国民はひしひしと感じていますから、水と油の割合を考え直すしかない。つまり社民路線にかじを切ることです。
 福祉か成長かと問われますが、社会保障も厚く、成長も達成している北欧のモデルが現にある。政党は高負担を言い出すことを避けますが、社会意識調査では、安心を高めるためなら今以上の負担に応じてもいいと回答者の6割以上が答えています。問題は、そうした市民の合意が政治的な意思決定につながらないこと。市民が負担を託す政府を信頼していないからです。
 民主党は反自民の対抗軸をつくる必要から社民的な政策ビジョンを示しています。ただし、政権をとった後でどう変わるか。そこはばくちです。もう一つのばくちは、自・民の大連立の可能性。国民に高負担を求める抜本的な社会保障改革は大連立以外にできないかもしれませんが、大連立が社会連帯のビジョンを一歩進めるのか、反対に総与党化の方向にいっきに雪崩を打つのか、未知数です。
 掛け金はたしかに高い。でも強調したいのはビジョンを選択するのに、まだ手遅れではないということです。健康保険に次いで強制加入の国民皆保険である介護保険ができたのは、ごく最近のことです。それは、この国で社会連帯が死語でない証拠です。格差に苦しむ若者が街頭をデモし、彼らの声に政治家が耳を傾けざるを得ない状況が生まれたのも、社会連帯が死んでいない表れでしょう。 
 高齢者は一種の中途障害者。そう考えれば、誰もが社会的弱者になる可能性があります。ヒューマンセキュリティ、つまり人間の安全保障は、武力ではなく社会連帯でしか守れません。米国には3900万人の会員を擁し、選挙のたびにどの政党にも一定の影響力を行使する高齢者団体があります。日本でも、手遅れにならないうちにビジョンを選びなおすための、社会的弱者によるアクションが必要です。
(聞き手・今田幸伸)
 

「ビジョンを選びなおすための、社会的弱者によるアクションが必要です。」
と結んだ上野さんの「耕論」に共鳴します。

上野さんの左側の記事は「選択肢不在の政治続く」の大澤真幸さん。
その下の記事は萱野稔人さんの「金融の国際ルール提言を」。
  
大澤真幸さんの『不可能性の時代』も紹介しようと思っているうちに、
数ヶ月がたってしまいました。

煮詰まる現代、でもそこまで言う?~『不可能性の時代』
大澤真幸著(評:後藤次美)岩波新書、780円(税別)


岐阜県図書館にリクエストしてある新刊書も届いていて、
とっくに読んでるはずの本を横目に、PCに向かう今日このごろです。


写真をクリックすると拡大。その右下のマークをクリックするとさらに拡大
最後まで読んでくださってありがとう
「一期一会」にクリックを 
 明日もまた見に来てね
  

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする