福田の雑記帖

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インフルエンザ流行2015(4) 秋田県の施設内感染状況

2015年02月25日 19時09分18秒 | 医療、医学
 県内の老人福祉施設や医療機関で、A香港型インフルエンザの集団感染が相次いでいる。10人以上の感染が確認された施設、医療機関は17日の段階で77施設にも達している昨シーズンの合計が50施設だからこれを既に大きく上回っている。

 県内の医療機関、老人福祉施設では1月以降、集団感染により散発的に死者が出ている。
 新聞報道によると、老人福祉施設では井川町で10人以上が感染し1人が死亡。大館市と秋田市では計50人余りが感染して3人が亡くなった。医療機関でも鹿角市と大館市で計70人以上が感染し、6人が死亡した。これらの死亡者は、新聞で年齢が明記されている方は88歳、96歳、97歳で、他の方々も80-90代と記載されており例外なく高齢者である。

 以下に私の感想を述べる。

▪️老人保健施設、老人病院等で集団感染が多いのは虚弱老人を集めているためで、感染拡大のコントロールは困難である。
 狂牛病の蔓延、養鶏場での鳥インフルエンザの蔓延などは類似の個体を一箇所に詰め込んでいるためである。稲作における病虫害の蔓延も同様である。

▪️老人保健施設、老人病院等にウイルスを持ち込ませないのは不可能。
 家族の見舞いの禁止も事実上実行困難。面談室面会でも危険。施設のスタッフも通勤してくる以上、感染防御は困難。特に幼児、学童がいる家庭では感染の機会は高い。スタッフがウイルスを持ち込む可能性は高い、と考えられる。

▪️熱なし、軽い鼻水程度の症状の職員に対して「まさか出るはずはない・・・」と思いつつも大事をとって行った簡易検査で陽性者が出ることも稀でない。しかも、ワクチン接種済みのスタッフであった。検査をしなければ分からなかったし、感染後時間が経っていない場合は検査しても陰性で、後日陽性になることもある。インフルエンザの早期診断はこのように困難である。したがって、スタッフからの感染も防ぎ難い。

▪️ワクチン接種は入所者、スタッフともに行うべきであるが、種々の理由で出来ないこともある。スタッフといえども強制はできない。
 
▪️ワクチン接種は重症化を防ぐとされるが感染予防効果は乏しい。入所者が50名ほどの某老人保健施設では入所者全員と20-30代中心のスタッフ全員にワクチンを施行したが、共に4割近くが発症している。

▪️インフルエンザワクチン接種は重症化を防ぐとされるが、それも限界がある。死亡された88歳、96歳、97歳、80-90代の方々には効果が乏しかったと思われる。

▪️推奨されているマスク、うがいには予防効果はほとんどない。スタッフ、訪問者とも手洗い、着衣交換が必要。

▪️抗インフルエンザ薬の治療効果、予防投薬の効果も虚弱高齢者には効果が乏しい。しかも、抗インフルエンザ薬予防投薬は保険診療対象外であり、病院、施設の費用で行われるが理不尽である。少なくとも感染が蔓延しつつある施設等では公費で行われるべきである。ちなみに、タミフルを1日1カプセル10日間内服費用は一人6,570円である。50人も予防投薬したら、持ち出しは大変な額になる。

▪️病院、施設等では感染まん延を防ぐために隔離などのための余剰のスペースが必要である。

▪️中規模、小規模の病院では感染者の入院を断っているとされるが、地域の中核病院ではその様な患者の選択はできない。重症化しつつある場合、感染者であっても入院させねばならない。

▪️病院、施設等では感染まん延を防ぐためにの指針もある。いかに対策しても高齢者の死亡は防ぎ得ない。管理者から情報を公開する必要があるが、対応上、大きな過誤や判断ミスがなければ、メディアの前で陳謝する必要はない。

▪️圏内では下火になりつつあるが、インフルエンザの流行期はまだまだ続く。病院、老人保健施設ではまだまだ気が抜けない状況が続く。
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