娘から提供受けた漫画全2巻、第2巻は本年4月発売のほやほや。第1巻は8万部出たという。普段マンガを読まないような高年齢層の世代にも受け入れられたらしい。
妻に先立たれた大吉じいちゃんはネコのタマと二人暮らし。設定は高齢者中心の小さな漁港、大吉じいさんの年齢は76歳。「共に白髪の生えるまで一緒」と亡き妻と約束したというが、じいちゃんはとっくに禿げあがっていたと思われる。じいさんと一匹のネコが繰り広げる毎日の何と言うことない日常話。だから、一話一話がいとおしい、ゆったりとした日々の表現である。そこには無理やり作り上げたような話題は皆無、なのに引き込まれる。
絵は絶妙な丸みでこの可愛い絵にも癒される。特に、亡き妻との思い出の場面、若い奥さんの表情が何ともチャーミング。ネコの絵も少ない線で、的を得たズバリの表現でネコの心理状態を示しており無駄がない。
タマのじいちゃんに対する親愛の気持ちが痛いほど伝わってきた。ネコは4−5歳にもなると飼い主とかなり通じて来るようになる。ネコの視線も変わってく。それに対してじいさんは優しく応える。ほのぼのと心が温かくなった。
私にとってはちょっと切なくなったりする場面も少なくない。
私は小学校1年から高校卒業まで一匹のネコと離れの一軒家で共に過ごした。小学の頃は私が病弱でスキンシップを自分から求めて大いに癒されてきた。
中学から高校にかけては逆にネコの体力が衰えてきた。いつも私の勉強机の上で過ごしていたが、机にも私の膝に飛び乗ることもできなくなった。小さなハシゴを作ってやったり、できるだけのことをしてやった。しかし、ネコが私に求める気持ち、スキンシップの求めも変化してきた、と今から考えると思えてならない。晩年はほとんど私から離れることはなくなった。その当時、私は右肩上がりに健康になっていたために老ネコの気持ちに寄り添えたのか、今になって自信が持てない。老ネコは、私が進学のために家を離れた1週後に死出の旅に立った。母親から連絡があり私は涙した。この時期に死出の旅にたったことはとても偶然とは思えなかった。
この「ねことじいちゃん」を何度か読んだがそのたびに、50年も前に死んだ老ネコのことを想う。いま身近で過ごしている2歳のプチが登場することはない。
青春時代、一匹のネコと共に生きてきて、その一生を観察し、数多くの思い出を持つ私にはたまらない作品である。
私が今後それほど生きながらえるとは思っていないが、もしそうなったら、今度はプチを相手にかくありたいものである。
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