福田の雑記帖

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社会保障環境2017年(8) いわゆる「シルバーデモクラシー」とは(1)

2017年02月20日 17時55分26秒 | 時事問題 社会問題
 最近、シルバーデモクラシーという言葉が散見される。
 シルバーデモクラシーというのは、有権者のうち、高齢者が占める割合が高く、かつ、若者の投票率が低いために、選挙結果に必要以上に高齢者にの価値判断が反映されることをしめす。

 我が国でも選挙の際この傾向は顕著である。人口の4割が高齢者であり、若者が投票に行かない傾向があり、有効投票の6割以上が高齢者である。しかしながら、もともと我が国の高齢者福祉は厚目であるために、選挙におけるいわゆる「シルバーデモクラシー」は一回ごとの選挙で顕著に現れてはいない。

 欧米で昨年、一昨年に年齢間のギャップが結果を大きく左右した。
 英国の国民投票では、高齢者はEUからの離脱を志向し、43歳以下の若者はEUにとどまる意見の方が多数であった。投票結果は離脱となり世界を驚かした。アメリカの大統領選挙においては若い有権者は反トランプ的であったが、結果はトランプ氏であった。ギリシャの国民投票でも年代別に意見が異なっていたという。

 これらは二者択一の投票であり結果は Yes or Noで明快に示される。結果は高齢者の意向が濃厚に反映したものとなった。

 選挙による民主主義は、老人の、老人による、老人のための政治より、となっている。このことの是正は将来さらに重要になっていくだろう。

 民主主義の基本は多数決を背景にしている。本当ならば多数決に頼らない納得の政治が理想であろうが、それでも最終的には数の論理で結論を導かなければならない。
 若い世代の人たちがより長くその国を支えていくことを考えれば、選挙が高齢者寄りになっていくことは問題がある、というべきであろう。少子高齢化は我が国では当たり前の感覚になりつつあるが、年齢別の構成人口が変わり投票率が高齢者がよりになっていくと、国の有り様が次第に変則的になっていく。これは先進国に広く見られる現象である。

 わが国では人口が1億人を超えたのは1966年である。この時の65歳以上の高齢者人口は7%であった。現在は1.2億人で高齢化率27%、2050年頃1億人を割るとされているがその時の高齢化率は40%に達するものと考えられている。同じ1億人といっても中身が全然違ってくる。

 日本の場合、詳細データは手元にないが、民間人が有している金融資産のうち7割以上が高齢者が保有している、とされる。しかも、ほとんどが回転していない。
 戦後の混乱と激しい競争をたくましく生き抜いてきたこの団塊世代は、自分たちを過大評価する傾向があるように見える。オリンピックが当初予算の3倍にまではね上がった背景にはこの世代が身につけてきた拝金主義的自己保身があるように見える。

 迫りくる異次元の高齢化社会をバランスよく運営していくには、少数派の意見より重視した、数の論理を越すような理性的価値判断が必要になってくる。これからの政治家は資質が問われていくだろう。

 
コメント
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