朝日紙(2008年09月20日)のコラムに引用された官僚の言葉の中に「ようやく新大臣の態勢を支える布陣をひき終えたばかりなのに~」という言葉がありました。この発言者は多分江戸っ子なのだろうと思いました。引用したルポライターはそれと気づかずにそのまま書いたのでしょうか。
「ひ」と「し」を逆転させるのは江戸っ子でしょう。私自身、長らく「七」を「ひち」と発音してきました。布陣は「しく(敷く)」ものであって、「ひく(引く)」ものではないと思います。
念のために学研の国語大辞典を調べてみました。「布陣」の項には、「戦陣をしくこと、また、その戦陣」とありました。「布陣をひく」などという言い方は問題外なのでしょう。何の示唆もありませんでした。
「陣」を見ると、「陣を取る」「陣をはる」がありました。後者は「陣を張る」でしょう。これらは好く目にする使い方だと思います。
しかし、なぜここに「布」が使われるのかと、小学館の現代漢語例解辞典を見てみました。「砧でうったぬのの意。また、敷に通じ、「しく」意を表す」とありました。
これで分かります。しかし、そうだとすると、本来なら「陣を敷く」だけでよかったのであり、「布陣を敷く」は重複表現だということも分かります。私が前々から指摘している「募金を集める」とか「注目を集める」という表現と同じです。
こういう重複表現を自然に使ってきてしまうのは日本人の言語感覚の特徴なのかもしれません。私は日本語の特徴として「丁寧に、丁寧に」という傾向があると思っていますが、それの1つの現れなのかもしれません。
「ひ」と「し」を逆転させるのは江戸っ子でしょう。私自身、長らく「七」を「ひち」と発音してきました。布陣は「しく(敷く)」ものであって、「ひく(引く)」ものではないと思います。
念のために学研の国語大辞典を調べてみました。「布陣」の項には、「戦陣をしくこと、また、その戦陣」とありました。「布陣をひく」などという言い方は問題外なのでしょう。何の示唆もありませんでした。
「陣」を見ると、「陣を取る」「陣をはる」がありました。後者は「陣を張る」でしょう。これらは好く目にする使い方だと思います。
しかし、なぜここに「布」が使われるのかと、小学館の現代漢語例解辞典を見てみました。「砧でうったぬのの意。また、敷に通じ、「しく」意を表す」とありました。
これで分かります。しかし、そうだとすると、本来なら「陣を敷く」だけでよかったのであり、「布陣を敷く」は重複表現だということも分かります。私が前々から指摘している「募金を集める」とか「注目を集める」という表現と同じです。
こういう重複表現を自然に使ってきてしまうのは日本人の言語感覚の特徴なのかもしれません。私は日本語の特徴として「丁寧に、丁寧に」という傾向があると思っていますが、それの1つの現れなのかもしれません。