マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

まとめて発表されていない情報は無意味

2013年04月08日 | サ行
 朝日新聞の「私の視点」欄に次の記事がありました。

    記(塩漬け公有地ツアー)

                フリージャーナリスト、浅野 詠子

 私が住む奈良市は、公有地の拡大が裏目に出て財政が悪化した。外郭団体の土地開発公社を介して、過去の市政が大量の土地を買ったが、大半は何の利用もされず、将来にわたる借金の重さを示す財政指標が、全国の中核市で最悪となった。

 実際、長期保有地のなかには、誰が何のために買収したのか、事業目的が不透明なものが多い。こうした現実を市民の目で見ていこうと、「塩漬け公有地ツアー」と銘打った見学会を、市民団体「なら・未来」メンバーの加門進二郎さんらの協力をえて、この1月に実施した。

 市民30人と、ゴミの山と化した放置林など市内の数ヵ所を見て歩いた。数字が並ぶだけの市役所の決算書を見るだけでは分からない財政悪化の原因を、直視してもらうことができた。

 総務省の調べでは、自治体の指示で土地開発公社が買収し5年以上の塩漬けになっている土地は、全国で簿価にして2兆円超。市町村によっては数億から数十億円もの塩漬け公有地を抱え、府県の公社なら数百億円に上るところもざらだ。塩漬けツアーを各地で実施する価値はある。

 ツアー実施には情報の入手が肝心だ。まずは情報公開制度を利用してみよう。議会によっては議員が独自に調査していて、議事録からも情報を得られる。中核市や政令指定市、都道府県は包括外部監査を受ける義務があり、その報告書から詳細なデータを得られることもある。

 近年は、買収の相手方や金額も公開するのが流れだ。開発などの目的で買収した後、景気が悪化して遊休地になったもの、取得の経緯が不透明な疑惑の土地もある。ちなみに奈良市では、高額で買収されて十数年も放置されていた駅前土地の所有者は、元市議会議長(故人)だった。具体的な場所が分かったら、法務局の登記簿などで土地の履歴もたどれる。

 全国にある塩漬け公有地を国も放置できず、09年の法改正で自治体が特例的な起債をして公社を解散できるようになった。いわば損切りだ。奈良市も173億円を20年かけて返済する。公社が銀行から借りた利子が増え続け、財政悪化に拍車がかかるからだ。

 今後は、自分の目で見てきたことを参考に、市民の側で自治体財政の健全化の道を探り、行政に提案するなど、ツアーの成果を形にしていきたいと考えている。皆さんの地元でもぜひ、市民が率先して現地へ出向いてほしい。自治体の財政に対する問題意識を持つきっかけになるはずだ。(朝日、2013年04月01日)

 感想

 立派な活動だと思います。しかし、こういうツアーは結構為されているのではないでしょうか。私の住む浜松市でももう十年くらい前ですが、ありました。市民オンブズパーソンのKさんたちが行いました。しかし、広がりませんでした。なぜでしょうか。

 思うに、調査の結果が分かりやすく一覧表などにまとめて発表されていないからではないしょうか。そのために、活動に積み重ねが乏しくなるのです。市民団体「なら・未来」は朝日新聞でも紹介された程で、立派な活動をし、ホームページを作っているようですので、今、それを開いて見ました。

 とてもきれいな作りで感心しました。しかし、この「ツアー」の様子と結果がどこに掲載されているのか、分かりませんでした。私はこれが問題だと思います。運動にとって、残念なことだと思います。せめて「索引」でもあればなあ、と思いました。

 思うに、最近は、普通の人でも立派なホームページが作れるようで、感心するホームページも多いです。しかし、ホームページは鑑賞するものではないと思います。自分達の仕事を客観的に、全面的に知らせ、理解してもらい、支持を広げるのが目的だと思います。立派なホームページはこの目的に役だっているでしょうか。怪しいものだと思います。

 私には立派なホームページを作る能力はありませので、ブログをフルに活用しています。しかし、読者に分かりやすく伝えるという目的は、我がブログ百科辞典の方がより良く果たしているのではないでしょうか。その最大の原因は「索引」にあると思います。