マキペディア(発行人・牧野紀之)

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洋上風力発電

2011年08月19日 | ハ行
 自然エネルギー導入の機運が高まるなか、茨城県の沖合で洋上風力発電が動き出している。「ウィンド・パワー・いばらき」(WPいばらき、水戸市)が運営している。

 国土の狭い日本では、海での風力発電は有力な選択肢。WPいばらきは数年後茨城県沖に100基ほどの風車を建てることを計画している。

 風力発電は1990年代から建設が進むが、「最適な風が吹く場所を見つけるのは困難になっている」(日本風力発電協会)。

 茨城県神栖市の鹿島灘。海岸線から50㍍沖合に、2000㌔ワット級の風車7基が、約2㌔にわたって並ぶ。発電を始めて1年。日本初の港湾外に建てられた洋上風力発電設備だ。

 WPいばらきは、社長を含めて8人の企業。小松崎衛社長(46)が建設コンサルタント会社を営むかたわら、1998年に風力発電へ参入した。

 鹿島灘沖のほか、茨城県内の浜辺や内陸に計4基の風車を持つ。

 WPいばらきの風車は、富士重工業と日立製作所が共同開発。台風になると風車や発電機が壊れかねないが、「風速70㍍までは耐えられる」(富士重工)。

 東日本大地震では津波に襲われた。海底深くまで基礎を打ち込んだ風車は、びくともしなかった。

 今後、7基の洋上風車の隣に8基を新設する。100基の風車計画は、茨城県鹿嶋市沖に予定。50万㌔ワット級の本格的な大規模洋上風力発電所を建てる。

   進む欧州、日本は立ち遅れ

 洋上風力は、海外では太陽光発電よりも盛んだ。

 英国は総額10兆円を超える資金を投入し、6000基の風車を海上に建設。国内の総発電量の4分の1をまかなう国家プロジェクトを進めている。

 ドイツは「国としで目標を掲げ、企業が投資しやすい環境を整えることが重要」(独環境省)と民間投資を後押しする。

 日本政府も「新成長戦略」の1つに洋上風力を掲げるが、目標値すら示していない。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は現在、経産省の委託を受け、千葉県銚子市の沖合3㌔の洋上に2000㌔ワット級の風車1基の建設を進めている段階だ。

 普及は、菅政権が導入をめざす自然エネルギーの「全量固定価格買い取り制度」にも左石される。事業費は陸上の1・5倍。日本風力発電協会の中尾徹・情報技術局長は「買い取り額の増額か、何らか補助しなければ、普及は難しい」と指摘する。

 (朝日、2011年08月06日。金井和之)

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