マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

お知恵拝借(01、褒められたものではない)

2010年02月06日 | ア行
 最近、自分では分からない事や知らない事を、ネット上で皆さんにご相談して、ありがたいご教示をいただいた事が何回かありました。これまではマキペディアをほとんど1人で作ってきましたが、この経験から、(今までも、ご意見を拒否するようなことはして来ませんでしたが)明確にお知らせして、皆さんの協力を得て遣って行く方が目的にかなっていると思うようになりました。「お知恵拝借」という題で問題の起きるたびにご意見を伺ってゆくことにしようと思います。コメントはいつでも結構です。

 マキペディアはウィキペディアの限界を感じたから始めたのですが、或る学生は「1人でやるのは時代錯誤だ」と批判してくれました。その後、その学生は、私の志を助けるウェッブ・アーキテクチャーを考えてくれているようです。建設的な態度だと思います。

 又、発行者の主導性を確保した上で、ウィキ的に外部者の協力を得られる枠組みとしてグーグルがknol(多分、クノルと読むのでしょう。knoledgeの最初の4字を取ったのでしょうから、ナルかもしれません)を提供しているようです。ドラエモンについての百科事典「ドラペディア」などはそれを使って作られ、公表されているようです。

 少し調べてみましたが、現在の私の遣り方、つまりジンドゥーを使ったサイト「哲学の広場」をトップとして、その下にブログを配するという組み合わせで、全体として1つの百科事典を作るという方法から乗り換える程ではないと、判断しました。

 しかし、外部の好意ある方々の協力を得る方法は必要なので、上に述べたようなことを組織的に進めることにした次第です。

 第1回として、以下の事を伺いたいと思います。

 日本語のとても好く出来る中国人ジャーナリストの莫邦富(モー・バンフ)さんが朝日紙の土曜日のBeに毎週寄稿しています。内容はもちろん面白いのですが、文法を考えるのに役立つ用例も提供してくれます。

 2010年01月23日の記事の中に「密輸は褒められるものではないが」という句がありました。私の引っかかったのは「褒められる」です。「褒められた」ではないだろうか、と思ったのです。見られたものではない、聞けたものではない、食べられたものではない、等々と言うのだと思います。しかし、これを主張するには用例が必要です。

 学研の国語大辞典を見ますと、「面白いとか面白くないとか云う浮い話じゃない」(漱石、行人)という用例があります。そして、この「た」の説明としては「状態、性質などを表す」とあります。

 しかし、これだけでは用例が不十分です。たいてい受動的な形で使われるのではないかと思いますが、これは自動詞です。「飲めた話じゃない」とも言いますから、自動詞もあるのでしょう。いずれにせよ、もう少し用例を集める必要があります。そこで、皆さんから、こういう表現の用例を教えてほしいというわけです。よろしくお願いします。

 又、この「た」の正体についてもこの説明で十分とは考えにくいです。「状態、性質などを表す」だけなら、モーさんの書いたように「褒められるものではない」でもいいはずです。この点も調べて見たいと思います。何かありましたら、ご教示下さい。

 追加1・「生きる屍」

 2010年02月07日の朝日紙に載った新井満(まん)氏の「談」とされている文章の中に「生きる屍」という句がありました。とっさに、「生きた屍」ではないかな、と思いました。

 辞書で「屍」の項を引いてみますと、新明解にも学研の大辞典にも「生ける屍」しか載っていませんでした。後者で「生ける」を引きますと、文語の4段動詞「生く」の已然形+完了の助動詞「り」の連体形、とありました。

 問題はこの「完了の助動詞」という所だと思います。この文語の感覚があるから、同じような事を口語で言うと「生きた屍」となるのだと思います。(2010年02月08日追記)