マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

逸話

2006年10月12日 | ア行
 (1) 逸話とは、読んで字のごとく、「逸せられている話」です。つまり、「知られていない(ちょっとした)話」です。 秘話、秘史と同じです。

 英語の anecdote がこれに対応します。anは否定を意味する接頭語です。 ecは ex と同じで「外へ」という意味です。 doteは「与える」という意味の単語から来ています。ですから、「外に与えられていない事」という意味です。

 (2) しかし、実際には、「挿話」という意味に誤解している人も多く、「有名な逸話」といった表現が当たり前のように使われています。「有名な挿話」という言い方がしっくりこないからでしょうか。

 (3) 「挿話」とは主たる話の間に挿入した傍流の「ちょっとした話」のことです。「挿絵」が主たる話に添えられた絵であるのと同じです。広く知られているか否かは問題ではありません。

 挿話は英語の episode に対応します。 episode は元は、ギリシャ悲劇で「(2つの舞唱部の間の)対話による展開部」(岩波英和大辞典)のことだったようです。

 (4) もちろん、逸話と挿話を正しく使い分けている人もたくさんいます。