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映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃

『映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』公式サイト

2016年のクレしん劇場版です。
驚くのは、劇団ひとりが脚本参加している事ですね。古いクレしんファンとしては単に話題性を狙っての採用なのではないかと普通に不安になりますわな。でも、その不安を払拭する内容でした。結果としてはなかなかに面白い良作に仕上がっていたと思います(個人的には今年のドラ映画よりも全然上の評価ですよ)。
ってか、ファミリー向けとして普通におすすめ(や、でもクレしんなので下品な表現を子供がまねしちゃったらどうしようと心配で心配で心配でたまらないご家庭の場合は、子供同士でこっそり観に行くのがいいかなぁ(^^;)(でもぞーさんとか無いしな、問題ないんじゃない?)

以下ネタバレいきます。


一定の範囲内の春日部の人々が一つの夢の中で各人望む夢を見ることが出来るようになったという状況がある日生まれます。それと時を同じくし、ふたば幼稚園に転入生・サキがやって来るわけですが、その夢の状況は、サキの父親がサキの為に作り上げたものだったわけですな。
人々の夢をエネルギーとして取り込むことで、サキに起こっている問題を緩和するという事を行っていることが物語の中盤までに語られます。
しかし物語のかなり早い段階で、各人の夢の量には限りがあり、その総量がそもそも少ない大人から悪夢の世界に放り出されていき、やがて子供の中にも吸い尽された者から荒野に放り出され、そこで悪夢に嘖まされていく事になります。結果としてどんどん消耗していく大人と一部子供。そんな時に風間くんがまず異常に気づく事からかすかべ防衛隊と野原一家が事態の解決に向けて動き出すというか巻き込まれていきます。

そんな状況を描いていく映画なのですが、つまりサキのせいで町の人々は悪夢に嘖まされるという事になっており、また、一つの町から人々の夢を吸い尽くしたら次の町に移動する生活を続けてきているサキは、自分のせいで問題が起こっているという事実を知られてたら周りの人から嫌われる事が分かりきっていると思っている事と、どうせすぐに次の町に引っ越していくという事とで、幼稚園で周りの子供たちから距離をとろうとし、そのために溝を深めるような言動をするわけです。けど、これが歴代映画の中で初めての展開だと思うのですが、ネネちゃんが、(原因は知らないけど)サキがそこまでかたくなに「幼稚園のおともだち」と距離をとろうとするその態度にむしろ好感を抱いて、サキにかかわろうとするんですよね。それによるネネちゃんの感情の揺れ動きも物語を作る核になっていっています。

最終的にはサキの救済のために奔走するという内容となるわけですが、そこに至るための各面子のかかわり方がのバランスがとても良いと感じました。つまりですね、クレしん映画としては珍しく、初見でかなりまとまっているという印象を受けたわけで(^^) なかなかに良くできていたと思います。

少し残念だったのは、悪夢の世界の描写かなぁ。基本一面荒野でそこの部分にもうちょっとメリハリがあると良かった。でもその荒野のところで、今回のゲスト芸人、とにかく明るい安村が出てくるんですが、その使い方はとても効果的だったと思います(10年後に初めてみる子供たちには「?」って感じになるだろうけど、でも子供たちにはその姿だけで笑いの要素になりうる芸人ですから、風化ネタにまでいかなそうなのが素晴らしいですね)。
大和田獏さん部分は、もーちょっと圧縮するか見せ方を工夫したほうが…

演出陣に池端たかしさんの名前が見えました。この方は個人的に考えるクレしん黄金期(本郷・原監督時代)の演出を支えた方で、個人的にはベストな小気味いい演出をされた印象が強いのですが、なんとなくそれを感じさせる場面があったように思いました。「げんこつ」の表現とか、たぶん、最近のテレビでは自粛している昔ながらのクレしん表現が感じられたのもとても良いです。ちなみにその黄金期の演出は、水島努、よねたによしとも、池端たかし、ささきひろゆき(こちらは今もずっとやられている)に加えて初代・二代目・三代目監督の本郷みつる、原恵一、ムトウユージというスターたちがローテーションを回していたと言う今観ると夢のような演出陣でした(そこにIG回が入ってて、そっちには貞光さん(ガンダム第一話(だけじゃないけどの)演出)や川崎さんがいらっしゃる(今でもいらっしゃる))。

そんなわけで、家族連れにももちろん大人の方にもおすすめな映画に仕上がっていると思いましたですよ。

<追記>
二回目。
この作品、やはりよいですね。
荒野の世界の描写に不満を持ったのは、たぶん、かすかべ防衛隊と悪夢との最終決戦時のパンチの弱さのせいなんだろうなって思いました。
</追記>
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