グラン・トリノ

なぜか、この映画の評判がいい。

決して、大業なドラマがあるわけでもない。

じみな、アメリカ市民の姿だ。

ちょっと頑固なオヤジ。

隣に引っ越してきたのが、アジア系の一家。

子供たちとは、意見が合わないのに、なぜか隣人にきがおける。

そんな、ドラマというべくもない小品だ。

配役も、監督のクリント・イーストウッドが、おやじを演じるぐらい。

まわりは、アジア系の一家だ。

でもショッキング。

それは、男の生き方にあるのかも。

そして、イーストウッドにしか演じえない役柄。

自己犠牲、すなわち自分の死に場を見つけて

淡々と人生を急ぐ。

そんな姿が心を打つのか？

もちろん、それまでの隣人の姉弟に寄せる気遣いが、

あとまで効いてくる。

スラムドッグ＆ミリオネア

イギリス映画だが、これはまさしくインド映画だ。

ラスト、出演者がインドのダンスを踊る、あのインドミュージカルだ。

そして、スラムでドッグと言われた少年が

苦労を重ねた末、例のものもんたの「ミリオネア」インド版だ。

そして、最高額２０００万ルピーを獲得する。

なんで、貧乏な青年がそんな知識があるのか？

物語は、質問ごとに進む。

そう彼の苦しい遍歴の中でその回答があったのだ。

でも最後は運。

運は呼び寄せるものだという、まさにその奇跡が起こるのだ。

インドの貧困社会。

好きになった女の子は、マフィアの女にさせられる

そこからの逃避行。

そこは、もう追っかけの世界だ。

観光名所タージマハールまで巻き込んで、映画はスケールアップ。

貧困という厳しい現実を見つめながら

肥だめからはいでるバイタリティー。

インドの現地でのロケと、現地キャストで

インド世界を知らしめてくれる。

その冒険心に拍手なのだ。

蛇とピアス

世界の蜷川の作品だ。

若者の風俗を描きたかったのか？

渋谷、普通の女の子

舌にピアス、そしてそれを広げていき、舌を二つにする。

背中に龍の入れ墨を入れる。

痛みを感じることで、生きることを実感する。

そんな現代の若者を描いた金原ひとみの小説の映画化だ。

恋愛映画でもある。舌も刺青も先輩である若者。

彼は女性に恋をする。

しかし、彼はとどまるところをしらない。

女に言い寄った男を殺してしまう。

一方、刺青師も若者だ。

女に入れ墨を彫り、欲情する。

痛みを伴わないと欲情しないのだ。

これが現代の風俗か。

刺青師とおとこは、男の関係がある。

男が死ぬが、それが刺青師の仕業と女は感づく。

でも、何も変わらない。

普通の若者の街だ。

アダルト映画っぽいが、えげつなさがない。

風俗映画の域を出ない。

それいいのか悪いのか？

難しい問題だ。

ミルク

サンフランシスコ市政執行委員にして、ゲイの人権問題で

権利を獲得するのに尽力した伝説の人物の映画化だ。

ゲイという、普通でないがために差別される社会を

一人の活動家を描くことによって

浮き彫りにするが、ミルクを演じるショーン・ペンの演技が

オーバーでなく、かなり際どい演技もこなして

映画に活力を与えている。

前半は、まだ、活動家になる前のミルクを描くため

ゲイの世界の描写が多く、ちょっと身を引くが

後半になると、人権を熱く語るミルクにひかれる。

そして、ラスト近く、あっけない結末に唖然とする。

物語の終了後、その後の人々が字幕で語られる。

事実の映像が重なり、物語が身近に感じられる。

クローズzeroⅡ

クローズゼロの続編だ。

でも、今回で卒業なので、小栗旬らのクローズセロは終わりだ。

後輩に、生きのいいのがいるから続編はあるかも。

鈴蘭と鳳仙両校の対決だ。こちらは高校。

高校３年になった滝谷源治（小栗旬）が主人公。

彼は、やくざを親に持つ。

だが、そんなこと関係なく、要はトップに立つことを考えている。

だが、集団の争いだから、個人の力だけではどうにもならない。

皆の協力が必要だ。

おれがおれが、だけではトップはとれない。

この映画は、それをわからせる映画だ。

それは、やくざの親に説教というか、諭されて気付く。

協力者に頭を下げることで、協力を得る。

あとは、喧嘩だ。

黒と白という服装のわかりやすさで

対決が一目瞭然。

基本は殴り合いだけで、死まではいかない。

しかし、映像でなかなか見せてくれる。

まあ、劇画の映像版としては結構面白い。

悲夢

韓国映画だが、オダギリジョーが出ている。

キムギドク作品だけに、一筋縄ではいかない。

題名の通り、オダギリが見る夢が

女の行動と同じという設定。

あり得ない話だが、この設定が続く。

お寺が出てきたり、蝶がでてきたり、

傑作「春夏秋冬」を思わせる。

が、もっと通俗的だ。

しかし、テーマは愛。

それも、悲しい愛だ。

ギドクの作品に慣れない人は、溶け込めないかも。

好きな人は、またまたはまりこんでしまう。

韓国映画は隅におけない。

レッドクリフPartⅡ

レッドクリフPartⅠは、この赤壁の戦いの序章だった。

今回は、赤壁の戦いを丁寧に描く。

それぞれの人物像がかなり確かに描かれ、飽かせない。

曹操の妹が敵に潜入し、鳩で状況を短く知らせ、地図を腹に巻き込んで持ち帰る。

小隊長を巧みに利用し、一方では、恋心をよせ。重要な役を演じている。

三国志に基づき、疫病や、わら人形舟で敵の矢を分捕る話など巧みに描いている。

それにしても、８０万対５万の戦いを見事な作戦で打ち破る。

それは強い意志と運がなければなしえない。

一時は、劉備軍が撤退するが、再び戻ってくるなど

戦の勝ちパターンがうまく作られる。

最後は、主役同士の争いとなり、

見事な立ち回りを見せる。

群衆の扱いも慣れており、一瞬黒沢明の力強さすら感じさせる。

いずれにせよ大作だ。

ザ・バンク 堕ちた巨像

インターポール捜査官。

銀行の悪に立ち向かう。

しかし、なぜか、上から捜査打ち切りを迫られる。

でも事件は続く。

世界各地をまたにかけて犯罪が多発。

そして、銀行は武器輸出に関係していることを突き止める。

だが、おとり捜査で核心に踏み込んだとき

逆に、追われる身に。

多勢の警官に追われ、銃撃犯を味方に奮戦。

ニューヨークの美術館でのすさまじい銃撃戦。

最後追いつめられて、はて脱出は?

最後は、スリル満点の映画だ。

抱くなら愛して

これは劇場未公開。

ブラジル映画。

トップクラスの美人女優ということで、

借りてみたが、そこそこ。

父親を養う美しい女工。

陰気な友達を美しく変身させる、そんな彼女だが、

お金にほだされ、憧れの歌手の息子のあいてをすることに。

話は、それほど面白くないが、

結局美人の恋話に付き合わされる。

ブラジル映画という、毛色の変わった映画に食指を動かすのかどうか?

ブレス

キムギドグワールドそのもの

ちょっと、日本映画「接吻」に似ているが、

その異常性は、比ではない。

死刑囚に愛を感じる平凡なアートな主婦。

夫と娘がいながら、なぜ

そして、春夏秋冬の世界。

自らのヌード写真を死刑囚に渡す。

死刑囚は、何度も首をかき切って、自殺を図る。

刑務所の面会場で、愛を交わす二人。

それを見つめる刑務所長。

異常な世界と言ってしまえばそれまで、

いわゆるギドグワールドなのだ。

でも、「春夏秋冬」は越えられない。