袴田事件は、実在の事件だ。
まだ、再審中で、死刑が確定したままだ。
否認し続けた袴田さんは、精神を病んだ状態で服役中だ。
他の事件が、証拠不十分などで、次々無罪を勝ち取っているので、この事件も早晩解決する見込みだろう。
しかし、40年の長きにわたり拘置され死の恐怖を味あわされた本人はいかばかりだろうか。
一方、これを裁いた裁判官で、多数決で負けたが無罪を信じ、証拠の不十分さを暴いた人がいた。
映画は、この二人を、並行的に描き、人を裁くことのむつかしさを暴き出している。
社会派映画監督である高橋伴明が演出。
二人の生い立ちから、お互い死刑判決で、心を病んでいく姿まで、じっくりと描いている。
ただ、これはドキュメントではない。
警察や検察の捜査、裁判の状況などを描いているが、あくまでフィクションだ。
裁判官の出世問題まで絡んでいるところは、本人たちはどうみるだろうか?
むしろ、資料やインタビューだけに頼ったドキュメントの方が訴える力はあるだろうと思われるが。
裁判員制度が発足して間がないだけに、社会全体で考えるべき問題だろう。