ひろの映画見たまま

映画にワクワク

NHK山田洋次が選んだ日本映画百選  前田陽一監督の「神様のくれた赤ん坊」

2013-01-31 17:53:04 | 日本映画
1979年作品。

これは喜劇といっても、喜劇役者が出てこない。でも笑える。

同棲中のふたりの所へ、突然6歳くらいの男の子を連れて女が入ってくる。隣の女が手紙を残して駆け落ちしたという。その手紙には、子供の父親候補が5人あげられており、その一人、近くにいるということで、子供を置いて帰る。(この女を樹木希林が演じ、絶妙な間合いとしゃべりで逃げ帰ってしまう)

同棲男女は、子供を産む産まないで険悪状態。

男は、しかたなく、子供の父親らしき人を探しに中国・九州方面へ出かける。

一方、女は、自分のルーツ、母親の生活を調べに中国・九州へ出かける。

たまたま、同じ電車。

そこからロードムービーが始まる。

父親と疑われた男たちは、議員であったり、結婚式の最中だったり、貧乏だったりとなかなかうまくいかない。それぞれの事情があって、結局金で解決ということにも。

一方、女の方は、母親が色街で働いていたことが分かり、男を誘惑してみたり、そして、幼いころ暮らした街で初恋の人にも会い、城のある街で幼いころの記憶がよみがえる。

一方で、久しく二人で寝たことのない二人は、何とかよりをもどそうと。

この三つが適当に混ざり合って、ロードムービーの良さを見せてくれる。

そして最後、男の子を巡って二人の心に進展が。

今につながる松竹喜劇のもう一つの王道を見せてくれる。

渡瀬恒彦と桃井かおりの二人を中心に、達者な役者が劇を締めてくれる。

心温まるストーリーが、ちょっと強引な展開も消してくれる。

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「声をかくす人」、リンカーン暗殺に加担したとされ死刑となった女性の物語です。

2013-01-30 19:01:28 | アメリカ映画
おススメ度 ☆☆☆

まず題名の「声をかくす人」意味不明。法廷でちゃんと話しています。原題「The Conspirator」は、共謀者です。

南北戦争が終結した直後、リンカーン大統領は南部の残党に暗殺されます。暗殺犯はグループで、その暗殺犯群をかくまったとして、下宿屋の女将が共謀の罪で裁かれ、絞首刑を受けます。

その裁判は、軍事裁判で、軍隊によるさばきでした。

南北戦争に従軍し、九死に一生を得た将校が、上院議員から頼まれ下宿屋の女将の弁護を引き受けます。

最初、嫌がっていましたが、女将が、何かを隠していることに気づき弁護に力を入れます。

だが、軍法会議、検察は強引にでっち上げの証言をさせ、判事は軍のお偉方だった。(ネタバレ)

































女将は、自分の息子を助けるために、証言を拒み続け、死刑台に登ります。
この場面は、涙なくしては見れません。

結局、民間人なのに軍法会議で裁かれる不合理は、戦勝の熱の治まらない社会では仕方のないことだったのかもしれません。

この不合理な裁判を、最後まであきらめず、女将の命を救うべく努力した弁護士、同僚や彼女まで失ったが、正義を貫いた快感はあったでしょう。

ロバートレッドフォードが、この作品を引き受けたのには、いまでもこの種の裁判が行われている社会に警鐘を鳴らしたかったのでしょうか?

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「映画 鈴木先生」、中学校の熱血教師の話です。

2013-01-29 17:44:25 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆

なぜわざわざ、映画とタイトルに入っているのか?

それは、この映画の原作が「漫画アクション」に連載の漫画で、TV東京でドラマ化されています。そして、この映画は、TVドラマの11話目に当たります。(ちなみにタイトル後にLesson11なる字幕が)

緋桜山中学2年A組を担任している国語教師・鈴木先生の物語です。

鈴木先生のメソッドは、「一見普通に見える、真面目な生徒たち。彼らは内面を抑制しながら、いい子であろうとしている。しかし、鈴木理論によれば、決して、それはマイナスに作用しない。真面目な生徒という役割を引き受け、演じきることで、世界を変えることができるというのだ。」

そして、学級委員の選挙を通して、日本の民主主義の在り方を教えようとする。その一方、文化祭が近づき、演劇や吹奏楽の稽古などが始まる。

鈴木先生には妻がいるが、教え子の一人に妄想を抱いたりする。

そんな中、学校近くの公園が喫煙所になっていることが、問題となり、撤去されることに。

そうこうするうちに、卒業生が校内に侵入し、女生徒を人質にする事件が起こる。

近頃、いじめ事件や体罰事件が相次いでいるが、教育問題をとらえた時宜を得た映画だ。

真面目な男教師を中心に繰り広げられる学園ドラマ。

学校にとどまらず社会的にまで、範囲を広げて、結構面白いドラマになっている。

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若松孝二出演「アジアの純真」、やっとDVDで公開された意欲作!

2013-01-28 17:44:19 | 日本映画
2011年にやっと劇場公開された映画、

それがいまになってやっとDVDでレンタルできることに。

昨年亡くなった若松孝二の助監督を務めた二人が脚本、監督を担当。

DVDに付属の特典映像で、若松孝二がこの映画について語っている。弟子たちの作品にご満悦の様子。

というのも、この映画、若松孝二の映画を想像させる異色作だからだ。

この映画の背景は、2002年の北朝鮮拉致事件。

そのことによって、差別を受ける在日朝鮮高校生。

そして、復讐に拉致問題講演会へ。薬品瓶を投げ込む。

ただ、映画は、それだけでなく、若き男女の不思議な関係を描き出す。

現実と幻想、これ若松の映画にもあるが。

そして、死を見つめる。

反日映画として批判を浴びたというが、たしかに

日本が、攻撃されるというジレンマ

でもそれはやがて世界へと広がる。

すなわち、復讐の連鎖をどこかで断ち切らなければというメッセージ。

この映画の制作者たちは、自分たちで資金をだし作った。小予算での映画のハンデは確かにあるが、言いたいことはよく伝わる。彼らが、今後も若松の後を継ぎ、いや乗り越えていくのだろうか。
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「海燕ホテルブルー」、3人の男が女をおいかけて……

2013-01-27 17:26:55 | 日本映画
おススメ度 ☆☆
    変わった映画好き ☆☆☆

この映画の監督、若松孝二は、昨年10月交通事故で亡くなった。76歳だった。

死は予感できるものだろうか。

若松は昨年3本の映画を立て続けに撮っている。

もともと、ピンク映画を撮っていたのでその頃のことを想えばどうってことないが、もう76歳だ。まして、昭和3部作で力を入れた作品の後だ。

そんな中、この映画は、若松にしてみれば息抜きか、初期のピンク映画の作法が随所に見られるからだ。

もともとピンク映画でも、メッセージ性があったが、この映画でも原発について反対の意見を客に述べさせている。

映画自体は、船戸与一原作の小説をドラマ化したもの。

刑務所を出所し、元の犯罪仲間を訪ね歩き、黒い浜辺、砂漠、火山と広々とした荒野に立つホテルにたどり着く、そこには妖艶な謎めいた女がいた。

この女が曲者で、幻想の中の存在のようでいて、男たちは女の虜となり、悲劇を生む。

全裸の女が荒野を疾走する姿は、昔のピンク映画っぽい。

そんな映画を若松はもう一度撮りたかったのか、その夢を果たせて冥途入りしたのだろうか。
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NHK山田洋次が選んだ日本映画百選  萩上直子監督の「トイレット」

2013-01-26 17:55:55 | 日本映画
2010年作品。

日本カナダの合作。

演者は、日本人はもたいまさこただ一人。話される言葉は英語。したがって、もたいは、ほとんど話さない。

異文化映画だ。

舞台はカナダ。母親が死んで、アパートも焼け出されたフィギュアおたくの次男は、引きこもりのピアニストの兄、エアギターをやる学生の妹、それにばーちゃんとせんせいという名の猫のいる家にやってくる。

それぞれが問題を抱えているうえに、ばあーちゃんまで。

一言もしゃべらないばーちゃんに金をせびる兄妹、でも目をみてじっとはなせば意味は通じる。これぞ言葉代わりのコミュニケーション。

ばーちゃんと一番最初に近づくのは、引きこもりの長男、母の使っていた古びたミシンを発見、その使い方を教わるのだ。ミシンを使い始め、やがて得意のピアノもOKに。

次男は、企業の実験室に勤務しているが、同僚は印度人。これがまた、異文化交流のかなめをなす。

で、題名のトイレット。ばあちゃんが毎朝長時間トイレをし、出てきてため息をつく。

これを気にした次男は、インド人に相談。印度人は日本のトイレ事情を説明。ウォシュレットを薦められる。

いっぽう、荻上監督のとくいわざ、料理は、まず餃子がメインだが、でてくる料理はいずれもおいしそう。

それにしても、二言以外話さないもたいまさこの演技とキャラクターはこの映画に欠かせない。

この映画を喜劇に分類する山田監督の慧眼。



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「東京家族」、小津の東京物語のオマージュ!

2013-01-25 19:11:31 | 日本映画
おススメ度 ☆☆☆☆

松竹が誇る小津の代表作。

今その松竹を背負って立つ山田洋次がそのオマージュを作った。

家族に関心を寄せる山田洋次。

今回たまたま、撮影開始時に大地震が起こり、これを映画に組み込んで成功させた。

瀬戸内の島に住む老夫婦が、息子たちの住む東京へやってくるところから映画は始まる。

それを受け入れるのは、医者を開業している長男、美容院を開業している長女、舞台美術を勉強している次男。

それぞれに、悩みを抱え、老夫婦を受け入れるのに、抵抗を感じている。

家族設定などは、東京物語を踏襲し、カメラアングルとか、いろいろ小津色を取り入れている。

だが、物語が面白くなるのは後半、山田節が蘇ってからだ。(ネタバレ)





































息子たちが、気を利かせて横浜の一級ホテルに夫婦をとまらせるが、落ち着かず一泊で帰ってきてしまう。

そこで、夫は旧友の死を弔いに、妻は、次男の家へ行く。

夫は旧友と酒を酌み交わすが、飲みすぎて大暴れ、だが、この飲み屋でのやり取りが辛辣。期待していた友人宅には泊めてもらえない。

一方、次男は震災のボランティアで知り合った女性と交際していた。そこで、妻は若い女性と意気投合、自分のお金を預けることに。

翌朝のふたりの状態が相反していて面白い。

酔っ払って夜中に長女宅へ行き、ゲロを吐いて大騒ぎ、長男宅でも頭痛でげんなり、一方、妻はルンルン、だがその後妻は亡くなる。

遺骨を抱いて島へ帰った夫は、隣人に助けられ、予後を送ることに。

一方、次男は嫁を認知してもらい、父の心も読めて、和解。

現代版、家族物語だ。

山田洋次らしいホームドラマとなっていて泣かせる。



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ポーランド映画「ソハの地下水道」、ユダヤ人のグループをナチからかくまった水道屋の話

2013-01-24 18:06:51 | 映画
おススメ度 ☆☆☆☆

ただ、かなりえぐいシーンがあり、R-15です。

1943年、ナチ占領下のウクライナ(当時はポーランド領)、ちょっとその辺は複雑だが、これはノンフィクションの映画化だ。

冒頭近く、全裸のユダヤ人女性が、森を逃げまどい、銃で撃たれて皆殺しにされるシーンが。

この残酷なシーンがあるだけに、その後の、ユダヤ人の行動が迫真を持ってきます。

主人公は、空き巣を働くちょっと悪オヤジで、地下水道(下水)の検査官(修理屋)(ポ-ランド人)です。だから地下水道に詳しく、自ら空き巣してきた物品をかくす場所を設けています。

そんななか、地下に逃れてきたユダヤ人がいました。水道屋のおやじは金儲けを考え、本当は、ユダヤ人をドイツ人に売り飛ばせばいいところを、とりあえず、11名をかくまって金儲けをしようと企みます。

ただしそう簡単にはいきません。ウクライナ将校(ドイツ側)にかくまっているのを疑われたり、ユダヤ人の仲間割れが起きたり、ユダヤ人には小さい子供がいるので、迷子になられたり、事件が起こります。

一方、映画としてお楽しみに、恋愛シーンやお産のシーンも出てきます。

145分の大作だけに、エピソードのオンパレードです。

特に、後半、ある事件(これがまたえぐい)をきっかけにがぜん面白くなります。ハラハラドキドキします。というのは、水道屋がだんだん、ユダヤ人の心情に傾き、何とか助けようと考えるのです。

下水道が主役の薄暗い、いかにもにおいそうな臭さ、そんなみじめな映画もラストでやっと明るみが見えこれが又救いとなります。

ただ、オチは残酷ですが。







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「もう少しだけ近くに」、5つのショートストーリーからなるオムニバス映画

2013-01-23 18:05:17 | 韓国映画
おススメ度 ☆

短編映画ばかり撮っていた監督の初長編映画。

物語の構成に自信がなかったのでオムニバスにしたとか。

2話と4話はかぶるところがあるものの、他は別のストーリー。

全編通して言えることは、愛の物語だが、

まず、突然ポーランド人が、オランダから韓国へ電話をかけてくる。受けた女性は、何が何か不明、彼女が韓国へ行っていないか訪ねてきたのだ。たまたまお互い英語ができたので、何とか話は通じたが、

第2話と第4話は、ゲイの男性が普通の女性と関係を持つことに、そして、相手の男と別れようとする。

韓国映画だけに、登場人物の名前が錯綜して、ちょっと収拾がつかない。

劇場未公開である。

恋物語とはいえ、ラブラブの浮いた話ではなく、ちょっと疲れる。
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「テッド」、ぬいぐるみのテディベアが、大人顔負けのエッチ会話で大爆笑!

2013-01-22 17:33:55 | アメリカ映画
おススメ度 ☆☆☆
    R-15で、お子様には薦められません。

いじめられっ子の少年ジョンがクリスマスプレゼントにもらったテディベア(熊のぬいぐるみ)、突然人の言葉を話すようになり、有名人に。

それから27年、二人は大人になった。テディは形は変わらないが、けっこうなオヤジになり、女遊びと、酒、薬漬け。

ジョンにはローリーという恋人ができるが、デートして帰ってみると、テディは数人の女をはべらせて、遊び放題。

ジョンは、テディと別れることを決意するが……、

この映画、一種のコメディなのだが、なかなかの映画通で、随所に有名な映画のパロディが見られる。

私は未見だが、「フラッシュゴードン」という映画の影響が大きいらしい。

エイリアンとかE2とか、知っている映画や有名な俳優も出て、アメリカ人にはたまらない出来のようだ。

その辺ちょっとハンデがあるが、ラスト近くから恋愛色が濃くなり、それなリに楽しいムードになる。

人形にエロ話をさせるアイデアには感心。

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