吉田修一 著 『国宝 上・下』(朝日新聞出版)読了しました。
上巻:青春篇、下:花道篇、の2巻本ですが面白くて一気読みでした。
吉田修一氏と言えば、『
悪人』『
怒り』など人間の奥底に潜む黒い気持ちを抉り出すように描く作家さん、
この『国宝』は某新聞連載時から大きな反響を呼び、著作家生活20周年を飾る筆者渾身の大作です。
主人公は、長崎の任侠の世界に生まれてその後、女形の歌舞伎役者になる喜久雄、
彼を中心に、脇を固める魅力的な多くの登場人物が彼の人生を彩ります。
私は本格的に歌舞伎を楽しむようになってまだ10年ぐらいですが、
それでも作品の内容を十分に楽しめ、歌舞伎好きにはたまらない壮大な大河小説となっています。
文体が丁寧な語り口調、それがまさに歌舞伎の舞台のように感じられ、
歌舞伎の持つ魅力と魔力と厳しさにやられて、心を持っていかれたようになりました。
歌舞伎好きの方には是非ぜひお薦めしたい作品です。
芸の世界には、突き詰めても終わりがなく正解もないような厳しさと美しさがあるのでしょう。
ましてや何百年も変わらずに継承されている芸術は、そこに重さと責任も伴うのだと思うと、
今までも体力と知力を要求されて大変とは思っていましたが、歌舞伎役者さんを見る目がまた変わりました。
冬の到来を感じさせるシクラメンを求めました。
今年はフリル咲きのものと、丸い花びらのリップピンク、とても綺麗です♪
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冬休みに入るまで図書館に飾ります。