星のひとかけ

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my sweet embraceable you...

2018-01-26 | MUSICにまつわるあれこれ


昨日とどきました。 待っていたアルバム2枚。

チェット・ベイカーの「Chet Baker Sings」1956 の180グラム重量盤 2016年 EU盤

と、「Embraceable You」1957 の180グラム重量盤 2017年 EU盤

曲名とかリンクしようと思ったんですけど、 なぜか同じジャケットのものが見つからないのですよね。。 買ったところのサイトに載っているのも なぜかジャケットのフォトが別バージョン…  50年代のオリジナルのジャケットとも違う、、 ジャズのフォトグラファーさんによる新しいジャケットシリーズのようですが…

もともと チェット・ベイカーがすごく好きなわけでもなく、、 ジャズトランペットが好きな方でもないと思うんですけど、、 昨年、 イーサン・ホークがチェット・ベイカーを演じた映画 「Born to be blue」がありましたよね(movie trailer>>) あの映画は晩年を描いているようですけど、、(でもイーサンそっくりです。 すごく似ていますね)

、、それで チェット・ベイカーという人をあらためて思い出して、、(マイ・ファニー・ヴァレンタインの歌声くらいは覚えていました) 、、それで何か聴いてみたいけどトランペット中心のアルバムじゃなくて、、 と思ったら 「Chet Baker Sings」というヴォーカルアルバムがあると分って、、

この若い頃の、 うまいのかうまくないのかよくわからないような、、 とても声は綺麗なのだけど すごくヴィブラートを利かせるわけでもなく淡々と、 でもこういう風にきちんとした音程で(ジャズミュージシャンなんだから音程は当たり前ですが…)、、 抑制の効いた(?)なのか 普通に聞こえるようでいて とても丁寧に 伸ばした最後の声がふわっとふるえる、、 歌声がなんとも心地好くて、、 何十回、何百回聴いても、たぶん聴き飽きない歌声のような気がして。。

それで この歌声を聴くならLPレコードにしよう、、と思ったんです。

 ***

昨日の晩、 ターンテーブルに乗せて、、 針を落として、、

、、  若い… 。。 

オリジナルアルバムのジャケット、、 あの白いTシャツ姿でマイクに向かっている、 ジェームズ・ディーンのような、、。 あの端正な、素直な、甘い歌声が すぐ近くで歌ってくれているように其処に響くから不思議。。 昔のパパのレコードと違って、 新しくプレスされたものだから、 50年代の録音のレコードでも ぷちぷちノイズも何にもしなくて、 レコード特有のなんというか しーーーーーーー っていう滑るような音とかも何にもしなくて、 古いレコードを聴き慣れた耳にはなんだかノイズの幽かにするのがレコードのような気もしてて、 不思議です(笑

「Embraceable You」のほうは、 やはりヴォーカル中心のアルバムだということだけ調べて、 曲目もかぶっていなかったので試聴もしないで決めたのですが、、 聴いてみて… わぁ! こちらはピアノではなくて、 ギターとベースのトリオだったのです。

ジャズのピアノの音色も良いけれど、、 ギターの弦を弾く音色が聞こえるとやっぱり気持ちが違う反応を示します。。 ギターの弦の音、好きなんです。 ドラムスのいない、 ウッドベースとギターとトランペットの 静かなしずかな、、 真夜中に聴いてもとてもしっくりくる素敵なアルバムです。

チェットのヴォーカルについては、 先のアルバムのほうが全くクセが無くて、 微笑ましいくらいにシンプルに歌ってくれているのがかえって良くて、、「Embraceable You」のほうは、 2年大人になった分、 色気が増してロマンティックな甘さたっぷりに歌っているようです。 タイトルが 「抱きしめたくなる君」ですものね、、

、、 でもゆうべ聴きながら思ったんです。 なんだか、、 恋人の甘い囁きを聴いているというより、 優しい息子が甘く懐かしい歌をすぐそばで聴かせてくれている、その歌声にじっと耳を傾けている母親の気持ち… (笑) だって本当に若い声なんですもの。。

 ***

チェット・ベイカーは その後、 いろいろと苦しんでどん底になって、、 そして中年期になってまた復活して、、 そういう波乱の人生を歩んでいくわけですけれど、、

これらのアルバムの歌声には まだそんな苦悩は感じられない (57年の頃にはもうドラッグにも染まっていたようですが)、、 少なくとも歌声の中にはそういう苦痛は感じられない、、 だから ほんとうに心地良く ラクに聴いていられる、、 何時間でも。。

でもさっき、、 最晩年の歌声も聴いてみたんです。 人の声って、 そんなには変わらないものですね、、 美しいテナーの甘い声はまだ残っていて、、 そこに人生の澱(おり)というか、 堆積物が底にあるようで、、 なんだか 熟成していくお酒のような感じもしますね。。 私が聴いている若い頃の歌声は、 まだ澄みきった透明なお酒、、

いずれは 晩年の彼の歌を、、 またレコードで聴きたいな。。

 

 ***

、、 故郷には JAZZ喫茶が数軒あったので、 高校生の頃から何度も通って何時間も過ごしたものでした。 だからかな、、 ジャズのCDを自分で買うことは若い頃はまったくなかったけれど、 ジャズが流れている空間は落ち着きます。

ジャズがあって、、 珈琲があって(最近は朝以外はノンカフェインを)、、 それで本を読んだり出来れば 幸せな空間。。 

でも、 昨夜思ったんですよね、、 LPレコードって結構忙しい。。 あの白いシャツのマスターは、、 珈琲を淹れ、 お客さんの相手をして、、 それでよどみなくレコードをかけ替えていたんだな、、って。。 こちらはぼーっと、 マスターの運んでくれるフレンチのダブルとか、 キリマンジャロを、 ゆっくりゆっくり味わっていただけで。。

、、 こうして何かしながらレコードを聴いているとすぐに片面終わってしまうので、 昨日から ひっくり返さず片面を2回ずつ聴いているのです(笑)、、 針を落とすのは自動だから。。 





路傍を埋めていた雪は消えましたが、、 寒い日はまだつづきそうです。



お部屋も こころも あたためて。。
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