星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
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自由と美しい魂のために… : ポール・ギャリコ 著『スノー・グース』

2016-12-08 | 文学にまつわるあれこれ(林檎の小道)
12月8日。

ジョン・レノンの命日、、 真珠湾攻撃の日、 ジム・モリスンの誕生日、、 山村暮鳥の命日、、 トマス・ド・クインシーの命日、、、

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この前、 画像をちらっと載せました(>>)、 ポール・ギャリコ 著/アンジェラ・バレット 絵 の 『スノー・グース』

表紙および、内容は こちらの出版社のページをご覧ください↓
あすなろ書房 http://asunaro.bookmall.co.jp/search/info.php?isbn=9784751525036

閉鎖され、 無人になった灯台にひとり住む 画家のラヤダー。 背中に瘤のある 片手も不自由な 孤独な青年、、 町へ出てくるのは買い物をする ほんのたまにだけ・・・ 人々は 「灯台に住む変わりもんの絵描き」、、とよぶ。。

自然を愛し、 ひと気ない湿地帯の水鳥たちを見守るラヤダーのもとへ、、 ある日、 傷ついた鳥を抱いた少女が たすけを求めて訪れる。。



これは、 絵本の裏表紙、、 表の少女の絵から この裏の水辺の風景へとつながっています。
淋しいけれど、 美しい しずかな海。。。

、、、 孤独な そして異形の青年と、少女のふれあいの物語、、 といえば 『Beauty and the Beast 美女と野獣』 『ノートルダム・ド・パリ』? ・・・そんな想像もうかびますが、、

ギャリコが 画家ラヤダーを この町から離れた灯台 = 「塔」 に住まわせたのは、 きっとそんな古典作品を踏襲しての意味もあるのでしょう。。 だから、 読む人は ラヤダーの魂の中にある「孤独」と「やさしさ」そして 「美しさ」を、 読む前から理解しているようにも、、 それで、 このアンジェラ・バレットさんの絵が、、 どこか淋しくて 静謐で 決して明るさは無いのだけれど、、 その中には 「やすらぎ」も 「あたたかみ」も ちゃんと感じることができるのです。。

、、 私、、 ポール・ギャリコは余りにも有名だし、 だけど 以前ある本を読んで ちょっと自分に合わなかったせいもあって、 『スノー・グース』を手に取ることはありませんでした。 だからほんとうに イラストが素晴らしくて、 この美しい本で『スノー・グース』を読めたのは とても嬉しかったのだけど・・

後半、、 あぁ、、 そうだったのか、、、
これは 戦争の物語だったのか・・・ と。

のちに出てくる 「ダンケルクの戦い」 「ダンケルクの惨劇」 「ダンケルクの奇跡」、、いろいろな表現がされているようですが、、 その戦史については 私、無知なので全然知らなかったんです。。 家族に聞いたら 知ってる、と言っていたので、 世界史ちゃんとやっていれば知っているんですね。。

奇しくも、 クリストファー・ノーランが今度 撮った戦争映画が 「ダンケルク」
予告編はこちら↓
映画『ダンケルク(原題) / Dunkirk』特報

、、、 『スノー・グース』、、 結局 読み終えて、 わたしは・・・ 好きにはなれませんでした。。。 絵本もとても美しくて、、 ラヤダーもとても愛することができた、、 たしかにそうなのだけれど、、 ギャリコが描きたかったのは、 結局 「戦争」なのだと。。

、、 そう思って、 上の本の裏表紙を見ると、、 海(これは英仏の海峡)の彼方に見える 船の影・・・ このときはまだ もしかしたら ただの商業船かもしれない、、 だけど、 この船影が、、 戦艦に見えてきてしまう。。
 
 ***

ギャリコが 描きたかった意図は、、 それぞれ読んだかたが 受け止めたら良いのだと思います。。 が・・・

戦争で失われるのは、 かならず 美しい魂と 自由な精神。。 そして引き裂かれるのは 純粋な心と愛。。。

12月8日に・・・