カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

複雑なものをデフォルメする能力   PKピーケイ

2018-02-23 | 映画

PKピーケイ/ラージクマール・ヒラニ監督

 インド映画。サッカー映画では無い。宇宙人が地球に降りてきて、宗教の不思議に疑問を持ち、いろいろ騒動を起こす。それをネタにテレビで話題をさらおうとする女性ディレクターが絡んで、過去の恋愛も解決してしまうというような話。まあ、いろいろなエピソードが満載だし、急に歌と踊りがあって、休憩もある(まさにインド)。
 実をいうと最初の恋愛のところでの勘違いは、すぐにネタが分かった。だから、これはおそらく後半に使われるだろうという予想は的中した。また宗教に関するゴタゴタは、少しカマトトすぎると思われた。まあこの宇宙人は、地球よりはるかに進んだ文明からやってきたわりに、リサーチがなされていないし、ものを知らな過ぎるという気もする。あくまで地球の理屈の中で物事を考えすぎているきらいがあって、そんなに感心できるものでもない。まあ、地球人に理解できなければ面白くないだろうから仕方ないのだけれど。
 長くはあるがテンポもいいし、踊りも面白いし、撮影もきれいで観やすい。分かりやすいわざとらしさは、デフォルメとして我慢して観ることができる範囲ではある。娯楽に徹しているという事で、よくできた作品であるとは思う。ヒットしたのもうなずけるところである。
 ヒロインのアヌーシュカ・シャルマという女優さんが、大変に魅力的だというのが大きい映画だと思う。いわゆるインド人の顔ではあるが、ショートカットで活発そうで、胸の谷間は見えるけれどエロエロで無い爽やかさのある人なのだ。この人が動いているだけで物語が楽しくなるような印象さえ受けた。インドの濃すぎる顔付の人たちの中にあって、実に西洋的に清潔感のある感じは、この映画の明るさと共に僕ら日本人が受け入れやすい映像作りに成功している最大の要因だろう。インドらしさはあるが、だから全世界標準作品なんだろうと思う。内容も考えさせられない訳でもないし、コメディとして気持ちの良さも一級品である。本当は多民族で様々な宗教や文化が複雑に絡んでいるだろうインド社会の閉塞感が、そのことを知らない文化圏人にまで見事に分からせてしまう説得力を持っている。やはりそういうことが何より凄い映画なのかもしれない。
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