
[画像]質問する自民党の中村博彦参議院議員、2012年7月25日、参議院インターネット審議中継。
【参・社会保障と税の一体改革特別委員会 2012年7月25日(水)】
総理入りの集中審議(NHK入り)が行われました。きょうは民主党の大久保勉次席理事(福岡)が質問に立ち、古本伸一郎・提出者(民主党衆院議員)との質疑答弁の中で、社会保障の安定財源確保のための消費税法改正法案の衆院委員会修正による附則第18条第2項について、「平成25年度予算も民主党が編成する」と宣言しました。日本国憲法の規定から、政府が予算を国会に提出することになっていますので、民自公で予算を編成するということはできません。
自民党の次席理事も負けていません。中村博彦さん(全国比例、2016年改選)が質問に登場しました。当選2回勤続8年間で、与党時代には総務政務官を務めました。社会福祉法人の理事長で保育所経営者の経験があります。参院一体改革特別委員会は初日の審議で、民主党の前幼稚園経営者の藤谷光信さん(来夏改選)が質問に立っています(藤谷光信さん「私は幼児教育とともに半生を過ごしてきた」幼稚園の保育参入(認定こども園)で参議院らしさ)。
中村さんは、全国的な保育所整備と待機児童に関するデータを見せて、岡田克也副総理は「たしかに資料を見ると、保育所(の量)が整っているところ(自治体)は、待機児童数が少ない」と感想を述べました。この指摘は、保育所の量を拡大することにより、待機児童対策をすべきだと主張することで、幼稚園の保育参入を牽制するねらいがあると考えられます。
そのうえで中村さんは「子どもの人生にとって就学前教育はとても大事だ」と強調しながら、「公立の保育所(の就学前教育の体制)は本当にひどい!」と絶叫しました。これは、中村さんが経営していたような私立保育所を国の政策としてもっと増やすべきだという考えがあるのだと思います。これに対して、田中派以来、厚生省の保育所利権を得意とする自民党経世会(平成研)の田村憲久・衆議院議員は「最近の公立保育所の保育士さんはパートが多いのが実態です」と応じました。中村さんは「もっと福祉分野での求人を増やすべきだ」としましたが、田村さんは「付加価値の高い成長分野の求人を増やしたうえで、福祉分野の求人を増やす方が良い」と応じると、中村さんは「同じ政党でも考えにずいぶん違いがある」と新しい国会に戸惑いを見せながら、「田村さん、総選挙になったらあなた頑張ってください!自民党のホープなんだから」と民主党政権下では忘れられがちだった参議院議員のあるべき姿を見せました。
なお、田村憲久さんについて、もっと詳しく知りたい方は、サイゾービジネスジャーナルの「新聞が報じない国会の裏側」に私が執筆していますので、ご覧ください。また、twitterやFaceBookのボタンを押して反響していただけると、とってもうれしいです。
中村さんは「福祉分野の有効求人倍率が低い」とパネルを使って説明した後、なぜか川端達夫・総務相を指名。私の認識では有効求人倍率は厚労省、失業率は総務省が集計している(ただし毎月同日の同時刻に発表)ので、所管外だと思うのですが、川端さんは「人格形成の面からも就学前教育は大事だ」と応じ、ベテランらしい大人の対応を見せました。
認定こども園について、現行法の「保育に欠ける子」を認定すると、市町村の負担が4分の1なので、4月は待機児童が少なく、12月には待機児童が多いという不思議な現象がおこることも分かりました。これは市町村が予算を使いたくないため、「保育に欠ける子」を認定しないということがあるようです。公明党の山本香苗さんの質問に、民主党の小宮山洋子内閣府少子化担当相が答えました。3党合意では、児童福祉法24条の「保育に欠ける子」は「保育が必要な児童」ということでパワーアップすることになります。私は幼稚園の保育参入を進める方がいいと思いますが、中村さんの「公立保育所の就学前教育はひどい」との指摘。何らかの声を代弁しているのでしょうから、気になるところです。ぜひこういったところも、残り少ない参議院の審議にしっかり反映させるよう、国民も声を挙げていきましょう。
自民党からは7月31日(火)の中央公聴会の設定の提案がありますが、採決日程と絡んでかけひきが続いています。ただ、いくらなんでも来週火曜日の中央公聴会は急ぎすぎではないでしょうか。
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