ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

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江本・後藤田“麻雀問答”にみる「法律の運用面での解釈」への政治家の言及

2010年01月30日 07時39分58秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導

[写真]江本孟紀・元参院議員(民主党ホームページから)

 今から17年前の第126通常国会の議事録を紹介したいと思います。

 17年前の参院予算委員会で、江本孟紀・参院議員と、宮澤自民党内閣の後藤田正晴・法務大臣(警察庁長官を経て政界入り)との間で「麻雀問答」が繰り広げられたことがあります。

 江本さんは「かけマージャンのことなんですけれども」「世間一般にやられておりますので」「大体どの程度ならいいかなということをお聞きしておいた方が皆さんもやりやすい」「ぜひお願いしたいと思います」と質問しました。

 後藤田法相はまず、「江本さんはどれくらいかけているんですか」と聞きました。これは国会の答弁ですが、なんだか職務質問にも似ています。江本さんは「私は十年前からやめております」と答えました。うまいなあ、と思います。

 後藤田法相は、「易しいようで実際ここ(国会)でお答えするのは非常に難しいんです」と述べ、「こう書いてあるんです」と刑法185条を読み上げます。そして「これ以上は答えられないんです。お許し願いたいと思います」と低姿勢で締めくくりました。カミソリ後藤田が平身低頭。

 江本さんも「どうもありがとうございました。いまいちよくわからないんですけれども、まあなるべく捕まらないようにみんな気をつけたいと思います」とうまく質疑をまとめました。

 彼らのような人物を私たちの社会では「紳士」と呼びます。紳士と呼ばれると、クラブでお酒を飲んだり、けんかの仲裁をしたりすることが許されます。

 政治資金規正法という禁固も含む罰則付きの法律を作ったのは立法府です。その実力者である小沢一郎さんが「このような形式的なミスにつきましては、今までのほとんどのケースで報告の修正あるいは訂正ということで許されてきた」と発言した。

 これを擁護した民主党議員の一連の発言は、法治国家を脅かす大変危険な発言です。過去の議事録を読んでみると、今の政治家の質は落ちているのかなあ、という気がします。

 
[写真]後藤田正晴・元法務大臣

 法律を作るのは立法府(国会)です。

 法律を運用するのは行政府(役所)。例えば、おまわりさんの職務質問では、弾力的に法律を運用する裁量権が、お役人さんには法律により与えられています。職務質問は警察官職務執行法(警職法)に則ります。警職法は乱闘国会で成立したのですが、現在はチャンとした正統性を持つ法律です。

 行政府の裁量が法律違反かどうか。これは司法府(裁判所)の判断です。私の日経新聞の同期入社の元社員「Mちゃん」が週刊誌の報道に憲法違反があるとして、最高裁に特別抗告したことがあります。現代史に残る宰相の孫で、民主党スター議員夫婦の娘です。

 政権政党である民主党の小沢一郎幹事長を含む議員が、法律の運用面での解釈に関して発言すべきではありません。「政治資金規正法(規正法)の虚偽記入は、これまでは事後の訂正で済んでいた」「虚偽記入で逮捕するのは行き過ぎ」といった発言です。

 私は法治国家の原則からして、国会議員(立法者)が法律の運用(行政)に口出しするのは好ましくないと思います。

 法律の運用(行政)が、法律が認めた行政者の裁量権を超えたかどうかは、裁判(司法)が判断すべき問題で、政治家の「口先介入」は大変危険な行為だと考えます。

(以下、議事録から抜粋引用はじめ)

第126通常国会 参院予算委員会  8号会議録

出席者  内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       法 務 大 臣  後藤田正晴君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       大 蔵 大 臣  林  義郎君 
       農林水産大臣   田名部匡省
       通商産業大臣   森  喜朗君
         郵 政 大 臣  小泉純一郎君
        国 務 大 臣  鹿野 道彦君
       (総務庁長官)
   
平成05年03月24日

○江本孟紀君 どうもありがとうございます。

 最後ですけれども、きょうは通産大臣それから建設大臣にもお伺いしたいことがあったんですけれども、最後に法務大臣に一言お聞きしたいことがございます。
 かけマージャンのことなんですけれども、いろんなところでいろんなかけマージャンをしておりますけれども、だれがやったやらないということではなくて、世間一般にやられておりますので、大体どの範囲ならいいのかということをぜひお聞きしたいと思います。

 我々野球界の出身者なんかは、かなりマージャン賭博事件とかいろんなことで永久追放処分になったり、二十三年前にそういう事件があってそのまままだ永久追放になったりとか、スポーツ界なんかでは非常に厳しい処分をされておりますが、しかし世間一般ではかけないでただ積み木だけするということはあり得ないので、大体どの程度ならいいかなということをお聞きしておいた方が皆さんもやりやすいと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

○国務大臣(後藤田正晴君) 江本さんはどれくらいかけているんですか

○江本孟紀君 私は十年前からやめております

○委員長(遠藤要君) 一問一答は許しません。

○国務大臣(後藤田正晴君) まことにどこまでが賭博になりどこまでならばばくちにならないのか、境目は何だ、こういう御質問ですが、易しいようで実際ここでお答えするのは非常に難しいんです。だから、こういうところでのお答えだとすれば、刑法百八十五条で、偶然の勝敗にお金や物をかけてそれの取得を争う、これはばくちになるわけですね。ところが、そのただし書きに、娯楽の程度であればいい、こう書いてあるんです。それはどういうことかと言えば、社交儀礼の範囲内であれば私は賭博にはならないのではないかなと、これ以上は答えられないんです。お許し願いたいと思います。

○江本孟紀君 どうもありがとうございました。いまいちよくわからないんですけれども、まあなるべく捕まらないようにみんな気をつけたいと思います
 そういうことで、きょうは質問させていただきましてどうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。

(議事録からの抜粋引用終わり)

このエントリー記事の本文は以上です。


第2次補正予算成立 大島九州男さんがノー原稿で賛成討論

2010年01月28日 16時57分35秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導
【追記 2010-1-29】

 検索ワードの解析によると、「2次補正 子ども手当」の検索でこのブログを訪問してくださる方が増えています。「子ども手当」は、来週から始まる「2010年度一般会計予算案」という議案に盛り込まれます。衆院での審議は2月末まで、参院での可決・成立は3月中旬~下旬になる見通しです。念のため。【追記おわり】

 ◇


【参院本会議 2010-1-28】

 麻生自民党内閣が編成し、第1次補正をした2009年度予算から、ムダづかいを削減し、税収減を盛り込み、雇用対策を追加した「2009年度(平成21年度)第2次補正予算(一般会計と特別会計)」が28日、成立しました。

 28日は参院予算委員会で締めくくり質疑が行われ、賛成多数で可決。参院総務委と厚労委での関連法案の可決とあわせて午後4時の参院本会議に緊急上程されました。

 予算案は、参院だけにある押しボタン投票システムで採決し、

 投票総数224
 賛成   142
 反対    82

 の賛成多数で、可決・成立しました。

 「当初」・「補正」・「暫定」を問わず、民主党が政権党として予算を成立させたのは、1998年4月の結党以来、12年目にして初めてのことです。

 これに先立つ、賛成討論に立った大島九州男参院議員は、ノー原稿で演説し、議場が大いに沸きました。大島さんは原稿は持たず、お守りだけ携えて登壇。何も見ずに、予算審議のあり方、参院の存在意義、現下の経済情勢などを雄弁に語りました。

 
 
 
 
 

 きょうの大島演説は具体的な内容・数字が多く、後で出来上がる「参議院本会議録」を読んでも内容の濃い物になっていると予測します。ノー原稿で演説する議員はたまにいますが、後で読むと散漫な議事録になっている傾向があります。しかし、大島さん、ひそかに練習して、原稿を暗唱できるようにしていたんでしょう。

 大島さんは福岡県直方市議を経て、2003年の第43回衆院選、2005年の第44回衆院選に挑戦。小選挙区で麻生太郎さん(後に首相)を相手にするという無謀な闘いで敗北。2007年の第21回参院選(逆転の夏)の全国比例で、参院議員に初当選。与党になった昨秋の臨時国会から予算委理事を務めています。

 手前味噌の私事で恐縮ですが、大島さんは学生時代東京に出て来られていて、私の高校(日大二高)の12年先輩にあたります。大島さんの卒業担任の塚田明克先生は、私にとっても6年間、国語を習った思い出深い先生です。わが母校では昨年来、漫才師のオードリー両君の活躍に盛り上がっており、大島先輩が民主党史に残る討論に起用されるという出来事が加わり、嬉しい限りです。政権交代が実現して、その後の予算成立の賛成討論が大島先輩だなんて夢じゃ無かろか(>_<)

 麻生太郎と一騎打ちで闘い、参院本会議場でノー原稿で弁じる。大島九州男先輩のことを、後輩の一人として誇りに思います。

菅副総理、「平日にデートできる財務省作り」“アフター5”復活を

2010年01月24日 16時14分20秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導

 私が勤め人になったころには、「アフター・ファイブ」という言葉は死語となっていました。

 菅直人副総理が19日、財務省改革として「勤務時間の柔軟化」などに取り組むと発表したそうです。

 私は政権交代前に、友人の霞が関キャリア官僚に「民主党のマニフェストに国会待機の廃止というのを盛り込んだらいい。政権をとれなきゃ民主党マニフェストは無効になる。政権をとれたら、困るのは野党・自民党だからいずれにしろ入れたらいい」という話をすると、大絶賛されました。

 残念ながら、2009年マニフェストに「国会待機の廃止」は盛り込まれませんでした。これが入っていたら、昨年9月からの「政治主導と脱官僚」は上手くいっていたかもしれません。政務三役は、官僚から情報をもらい、指示を出す。「霞が関をぶっ壊す」のではなく、霞が関を使いこなす。

 この「菅提案」は、各府省の30代・40代は絶賛していると思います。官僚に限らず、会社員もそうでしょう。

 資源のない日本で、労働者の拘束時間が長くなるのはある程度、やむを得ませんが、だからこそ、「効率の良い労働」が必要です。支持政党・省益を越えて、私たちの「失われた時間」を取り戻そうではありませんか。

 35歳の僕は、上手いこと、大企業を退職して、自立できたました。まだ「脱出」できていない、勤め人として頑張ってくれている仲間のためにも、「脱出成功組」が菅提案を応援していくことを、ここに宣言します。

asahi.com(朝日新聞社):「平日にデートできる省に」 菅財務相、改革に着手 - 政治

 「平日にデートができる財務省に」。菅直人副総理兼財務相は19日、勤務時間の柔軟化や縦割り意識の解消といった財務省改革に着手したと発表した。官僚主導の打破を掲げる菅氏だが、「自主的なところから出てくるものを見守りたい」と述べ、まず「官」の側の変革を促す。


 閣議後の記者会見で、取り組みの具体策を説明した。省内の中堅若手を募って丹呉泰健事務次官のもとにチームを設け、「政治主導」のもとでの役人のあり方▽空きポストへの省内外を対象にした公募制度▽双方向の人事評価--などを検討する。


 「平日にデート」とうたった「働き方」については、残業の減少や、業務の効率化を目指す。閣僚らの答弁の準備で、深夜まで省内に「待機」させられがちな国会のあり方に対しても、「(問題点を)挙げてほしい」とした。


 チームは、財務省への出向者や地方勤務の職員、外部の識者らからも意見を聴取。3月中に中間報告を、4月末までに改革案をまとめる。


 検討項目の多くは、昨年6月前後に菅氏が聞き取り調査した英国の財務省の例を参考にした。財務省は官庁の中の官庁と言われており、菅氏は「財務省が一つのモデルを示せれば、霞が関全体を変える大きな一歩になるのではないか」とみている。(北沢卓也)


資料編)小沢一郎さんの発言の抜き書き

2010年01月24日 16時14分00秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導

 陸山会事件に関する、小沢一郎さんの発言で、情勢により重要と思われる発言を抜き出してみました。

2010年1月16日 日比谷公会堂 民主党2010年度定期大会

小沢幹事長あいさつ
(前略)

 私どもの事務所も、もちろん収支報告に当たりまして計算の間違いやら、あるいは記載の間違いやら、それはあったかと思います。しかしながら、このような形式的なミスにつきましては、今までのほとんどのケースで報告の修正あるいは訂正ということで許されてきたものであります。

(中略)

 私どもは、この資金について何ら不正なお金を使っておるわけではありません。このことについて実は、今月の初めごろだったでしょうか、検察当局から私のほうに弁護士を介して「このお金はどういうものですか」という問い合わせがありました。私は別に隠し立てするお金ではありませんでしたので、はっきりと、これは私どもが積み立ててきた個人の資金でございまして、金融機関の名前、支店名、それもはっきりと申し上げて、どうぞ検察当局でお調べください、そう返答をいたしておったのでございます。

 そしてその翌日、あるいは翌々日だったかと思いますけれども、検察当局から「その預金口座の書類は入手した」、そういう返答が弁護士を通じてありました。
したがいまして、私は「あぁ、これでこの資金についての疑いは晴れた」と、そのように考えて、安心して、「よかったなあ」と思っていたところでございました。

(後略)

2010年1月23日 ホテルニューオータニ 被疑者聴取後の記者会見

「陸山会への貸付等に関する経緯の説明 衆議院議員 小沢一郎」と題するペーパー

 本日は、午後2時ころより午後6時30分ころまで東京地検特捜部の要請を受けて事情説明をいたしました。

(中略)

 収支報告書の記載について

 私は、本件不動産に関する収支報告書の記載については全く把握していませんでした。また、収支報告書の記載内容について、相談されたり、報告を受けたこともありません。

(後略)


大変残念な民主党の情報収集能力の低さ

2010年01月22日 07時19分04秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導

【衆院予算委員会 今年度第2次補正予算案の基本的質疑初日 2010-1-21】

 多くの読者にとってはむかつくことを書かせて頂きます。

 実は、政権交代のずっと前から気付いていたのですが、民主党議員の95%は、地方の出身です。東京どころか県庁所在地出身も極めて少ない。自民党は逆に東京出身者が極端に多い。これは2世・3世が多いというのが理由ということになります。

 私たち東京出身者は子供の頃から、たくさんの人、陽の当たる坂道の頂点で輝いている人から、坂道を転げ落ちて消えていく人まで、たくさんの人々と袖擦れ合って生きてきました。まして私の場合は、下町の商家の育ちですから、紅白歌合戦に7年連続で出場する歌手の一家から、倒産した直後にがんで亡くなる人、生まれ故郷の孤島に帰り酒を飲んで凍死する運命の人まで、たくさん目の当たりにしてきました。次第に、人間の顔を見ると、だいたいその人がどういう人生を歩んできた人なのかが分かるようになりました。

 あるいはTVは大きな情報源ですが、後楽園球場から自転車で30分の距離に住んでいるんですが、日本テレビが毎晩後楽園はお祭りが開かれているように報じているのを見て、小学生の頃から、そこにギャップというよりも、「嘘」を感じていました。

 政権交代後の通常国会の衆院予算委員会基本的質疑の初日(21日)には民主党から松原仁さん、海江田万里さん、吉田公一さんと東京っ子が3人連続して登場し、それぞれの持ち味を出しました。

 ところが、この後登場した伴野豊さんは、「この委員会が始まってから入った情報があります。質疑通告していませんが聞きます」と質問を切り出しました。私はてっきり、災害発生や、マーケットで何かあったのか、と思ったら、読売新聞20日付夕刊の「政治資金収支報告書の虚偽記入は小沢一郎さんに報告されていた」という記事について、法務省刑事局が「誤報だ」と回答している事実関係がある、と千葉景子法相に問い質しました。千葉法相は「そのような事実はない」として、伴野さんの質問は空振りになりました。

 伴野さんは東海市出身。愛知県連代表として、名古屋市長選・衆院選15選挙区でパーフェクト勝利をなし遂げただけに気持ちが大きくなっていたのでしょうが、仮に法務省刑事局が読売新聞の報道を否定したら、それはそれで、捜査情報の漏洩になります。伴野さんはいったい、何を浮ついていたのでしょうか。

 そして、伴野さんは当選4回生の長妻昭厚労相に対して、「私たち、同期の出世頭だ。この世界、やっかみも多いだろうから、気をつけて下さい」と余計な一言。ちなみに長妻さんも東京っ子で、情報の出し入れに長けた東京っ子は常にいじめられる宿命を帯びながら、この日本で生きていかなければならないのです。

 ガセネタに浮つき、同期の出世頭を妬む。これはまさに田舎者の極みでしかない。これこそが、東京一極集中と地方の衰退を招いた要因でしょう。本当に伴野議員の振るまいには憤りを感じざるを得ません。

 伴野質問には「かつての公営企業金融公庫が旧勘定と新勘定を分けたように、国債発行残も政権交代前後で旧勘定と新勘定に分けたらどうだ」というとても良い指摘があっただけに残念です。

 さて、午後の自民党の質問はあまり面白くなかったのですが、柴山昌彦さんに対して、仙谷由人・国務大臣が、「大変お若いので一直線に質問している」と答弁しました。

 
[画像]44歳の自民党・柴山昌彦議員

 ところが、自民党のホープと目される柴山昌彦さんは見た目は若いが、44歳です。44歳の弁護士に向かって「大変お若い」とは何事でしょうか。社会全般でも、国会内に限定しても44歳は若くない。

 自民党議員が大臣をやっていたころは、野党議員に対して、「先生の選挙区である○○県は・・・」「先生は長年この問題に取り組まれてきましたから、釈迦に説法かと存じますが・・・」などと、たとえその朝、調べたにしても、相手を持ち上げながら、法案の早期成立をお願いしたものです。

 仙谷大臣が自民党のエースとされる柴山議員の年齢を事前に調べていなかったのは、まちがいないでしょう。柴山さんは秋の臨時国会でも全閣僚出席の予算委に立っています。

 このように民主党議員の情報収集能力の弱さが際立っています。私はこのような民主党の体たらくに、大変失望しています。

asahi.com(朝日新聞社):小沢氏をなぜ批判しない? 仙谷氏「当時は野党だった」 - 政治

 21日の衆院予算委員会で野党の若手議員が「反小沢派」と見られている仙谷由人国家戦略兼行政刷新相らに、なぜ小沢一郎氏を批判しないのかと迫った。閣内に亀裂を生じさせようという狙いが見え見えだったため、仙谷氏らは慎重な答弁に終始した。

 仙谷氏は昨年春の西松事件の際、当時代表だった小沢氏に辞任を促した。弁護士資格を持つ自民党の柴山昌彦衆院議員がこのことを取り上げると、仙谷氏は「当時は野党の一代議士で、選挙に勝つための政治判断で発言するのは当たり前。今は行政府の一員で、自らの発言を律しなければならない」と答弁。柴山氏がなお食い下がると、「大変お若いので一直線に質問している」とはぐらかした。

 柴山氏は続けて、小沢氏の説明責任を求めている前原誠司国交相や社民党出身の福島瑞穂少子化担当相にも答弁を求めたが、2人とも踏み込んだ発言を避けた。最後は鳩山由紀夫首相が「小沢氏は『潔白だと示したい』と言っている。検察からそのような話(事情聴取)があると側聞しているから、そうなるのが望ましい」と引き取った。(山尾有紀恵)


いつの間にか審議復帰していた自民党のすごさ

2010年01月20日 01時04分50秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導

[画像]自民党の大島理森幹事長=衆議院インターネット審議中継からキャプチャーして、一部トリミングさせてもらった画像です。

【衆議院本会議 2010-1-19 財務大臣の財政演説に対する各党代表質問】

 なかなか慌ただしく、また少しゆっくりしたいので、国会の方に気が回りません。ご容赦下さい。

 ところで、この通常国会でアレ?と思ったことがあります。

 自民党が審議復帰していることです2009年末の第173臨時国会では、衆議院財務金融委員会で、民主党側が職権で委員会を設定した(立てた)ことに反発して、自民党、公明党、みんなの党の野党3党は審議拒否しました。その後、公明党と「みん党」は審議復帰しましたが、自民党は一部の委員会を除き、審議拒否したまま、第173国会&2009年国会は終わりました。

 ところが、年が明け、第174通常国会が始まると、冒頭から自民党は出席しています。しかも、審議復帰の条件闘争として、「衆院予算委での集中審議」「党首討論(QT)」の開催を求めていたはずですが、QTの日程も決まっていないのに、自民党幹事長が代表質問に登壇しました。

 おそらく、このエントリーで私が指摘するまで、国会議員もマスコミも国民も、ほとんどこのことを疑問に思っていなかったでしょう。

 「忘却」は自民党が50年間、政権を持続させた最大の武器です。熱しやすく冷めやすい世論をうまく使って、しれっと審議復帰している。ここに自民党の手強さを感じます。

 第174通常国会は延長してもしなくても、必ず直後に第22回参院選を迎えます。

 民主党が闘う相手は自民党です

 「民主党vs検察」などという構図を作ってしまい、参院選で自民党に負けては元も子もありません。

 民主党議員はまだまだ二大政党というものを理解していないなあ、と失望しつつあります。危機管理(最悪の事態を想定してそこから逆算する)も出来ていない、情報収集(検察が「鹿島」を捜査した意味合いが分かっていない)も出来ていない。

 このままでは、参院選は自民党が勝つでしょう。

 仮に検察と闘いたいならば、「国会vs検察」という構図で、超党派議員で闘えばいいでしょう。

 「民主党が検察に負ける」か「民主党が検察に勝って自民党に負ける」のか。

 私は、今のままでは、そのいずれかだと思います。


第174通常国会がスタート

2010年01月18日 21時50分24秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導

[写真]第174通常国会の開会式で式辞を述べる横路孝弘衆議院議長

 第174通常国会が2010年1月18日(月)召集されました。午後1時から参院本会議場で開会式が開かれました。

 会派別勢力は次の通りです。

衆議院
(与党)
 「民主党・無所属クラブ」311
 「社民党・市民連合」   7
 「国民新党」        3
(野党)
 「自民党・改革クラブ」 119
 「公明党」         21
 「共産党」          9
 「みんなの党」       5
 「国守の会」        3
 無所属           2
[定数480、過半数241、3分の2数320]


参議院
(与党)
 「民主党・新緑風会、国民新・日本」 120
 「社民党・護憲連合」            5
(野党)
 「自民党・改革クラブ」          82
 「公明党」                 21
 「共産党」                  7
 無所属                   7
[定数242、実質過半数121=参院では議長は採決に加わらないので]


 ◇

 内閣は18日、平成21年度(2009年度)第2次補正予算案を国会に提出しました。麻生自民党内閣が組んだ予算を、民主党内閣が補正するもので、2・6兆円のムダづかい執行凍結(歳出の減額補正)を含むものです。緊急雇用対策など7兆2000億円の追加歳出(歳出の増額補正)がありますが、税収見積もりの下方修正(歳入の減額補正)もあるので、帳尻(歳出入の総額)はわずか846億円増えるだけ、という予算となっています。実は、このところ、バタバタしていましたので、補正予算書をまだ入手しておらず、詳しいことはまだ把握していません。

 ◇

 内閣は18日、石川知裕衆議院議員が政治資金規正法違反容疑で東京地検に逮捕、拘置されたことを横路孝弘衆議院議長に通知しました。何とも落ち着かない召集日で、僕は今国会はかなりゆっくりペースで見ることにします。

 ◇

 衆議院議長の式辞と天皇陛下のお言葉は次の通りです。(衆議院ホームページhttp://www.shugiin.go.jp/itdb_annai.nsf/html/statics/kaikaishiki174.htmlから)

衆議院議長は、次の式辞を述べました。

 天皇陛下の御臨席を仰ぎ、第百七十四回国会の開会式を行うにあたり、衆議院及び参議院を代表して、式辞を申し述べます。
 今日、わが国をめぐる内外の諸情勢はまことにきびしく、緊急に解決すべき幾多の重要問題があります。
 このときにあたり、われわれは、わが国をとりまく現状を深く認識し、内政、外交の各般にわたり、必要な施策を強力に推進し、もって国民生活の安定向上を図るとともに、諸外国との相互理解と協力を一層深め、世界の平和と繁栄に寄与していかなければなりません。
 本年は、わが国の議会開設百二十周年の記念すべき年にあたります。この際、われわれは先人の築いてきた議会政治の足跡をあらためて顧みるとともに、議会制民主主義の更なる発展のため、たゆみない努力を払わなければなりません。
 ここに、開会式にあたり、われわれに課せられた重大な使命にかんがみ、日本国憲法に基づき、おのおの最善をつくしてその任務を遂行し、もって国民の信託にこたえようとするものであります。

次に、天皇陛下から次のおことばを賜りました。
 本日、第百七十四回国会の開会式に臨み、全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。
 国会が、永年にわたり、国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のため、たゆみない努力を続けていることを、うれしく思います。
 ここに、国会が、国権の最高機関として、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、その使命を十分に果たし、国民の信託にこたえることを切に希望します。

ていねいに読んでください。

2010年01月18日 00時28分40秒 | その他

 このブログのコメント欄の常連さんから、「東京人の我々が小沢さんのような粘り強い東北人を相手にするとこっちの人格が悪くなりますよ。関わるとロクなことありません」とのメールをいただきました。以前、私が講師を務めた勉強会に駆けつけて下さったことがあり、帰りの電車の中でいろいろ政談をかわした仲。同郷の先輩からのありがたいご助言だと思う。

 きょう(2010年1月18日)から、第174通常国会が始まり、延長があろうがなかろうが、いずれにしろ夏の第22回参院選までは国会が続きます。

 私も何とも落ち着かないし、世の中が乱れているのを感じる。

 小沢さんの件は、メドが立ったように感じるので、このカテゴリー「No More 小沢の声を挙げよう」はいったんこれで止めにしたいと思います。


私たちが総選挙で選んだのは「鳩山代表-岡田幹事長」

2010年01月16日 11時16分52秒 | 岡田克也、旅の途中
 もう忘れてしまった人が多いようですが、第45回総選挙(2009年8月30日)のときは、「鳩山由紀夫代表-岡田克也幹事長」でした。私たちが選んで政権を預けたのは「鳩山・岡田民主党」なんです。「鳩山・岡田タンデム(二枚看板)」はその責任を、しっかりと国民に果たすべきです。

 総理(代表)は岡田克也さんを幹事長に戻すべきだと僕は思います。代表が指名し、両院議員の承認(拍手など)が必要です。

 岡田さんは2004年の参院選では、菅直人代表の年金“未納”問題(役所のミスの後に判明)のあと、5月16日に代表選(立候補者は1人)に当選し、5月18日に就任。7月11日、第20回参院選で民主党結党以来初めての国政選挙第1党(自民党は結党以来初めて国政選挙第2党)を実現するというスーパーリリーフに成功しました。

 民主党略年表
 http://www.dpj.or.jp/governance/history/index.html

 昨年も、5月16日に代表選に立候補し、鳩山さんが当選。5月19日に幹事長に就任しています。8月30日の第45回衆院選で、民主党結党以来初めて衆議院で第1党、自民党は結党54年にして初めての衆議院第2党に転落しました。

 http://www.dpj.or.jp/news/?num=15956

 これが初めての「国民の手による政権交代」でした。だから歴史の流れからすれば、鳩山代表が総理になり、岡田幹事長が党本部を守るというのが筋でした。この歴史の流れを変えてしまったために、民主党政権が上手くいかなくなっているのでしょう。

 また、リリーフが上手いので、第22回参院選の立候補準備者も安堵するでしょう。

 岡田さんの場合、民主党本部200億円の支出面も、私は信頼できます。信頼と言うより、岡田さんは「透明性とディスクロージャー」を政治家としての売りにしています。これは多くの人が岡田さんの「性格」だと思っているようですが、私は岡田さんの「戦略」だと思います。

 一方収入面でも「党本部が主催する政治資金パーティー」を始めたのは岡田さんですし、国から参議院会派に振り込まれている立法事務費を党本部に上納させるよう働きかけたのも岡田さんです。このため、岡田さんは参院幹部と仲が悪く、昨年の代表選で参院民主党の票集めに失敗してしまったようです。

 岡田さん本人はのんびりした「性格」なので、外務大臣の仕事が楽しいようで、続けたがるでしょう。でも、総理(代表)や国民から望まれれば、断り切れない「性格」だとみています。

 スピード感からすれば、今日にも鳩山さんが決断してくれれば、イチバン楽なのですが、多少時間はかかるかもしれませんが、私は岡田さんに幹事長を戻してほしい。それが「『歴史の流れ』という力」を民主党に呼び込むことになると思います。 

【情報公開】2010年1月前半のアクセス数

2010年01月15日 08時10分36秒 | その他
 訪問者数(IP)が増えて、昨日は2500IPを超えてしまいました。僕は最近は、このブログのアクセス数は平日で1500IP前後に抑えたいと思っています。石川君の件があり、グーグル検索による「一見さん」が増えているようで、アクセス数は、そろそろ抑えたいところです。“日銀の金融調節のようなもの”です。

 大多数のブロガーにとっては、あえてアクセス数を減らす意味が分からないだろうし、「むかつく」だろうけど、政治ブログというのはどうしてもアクセス数が急増すると、心ない人からのインターネット上での攻撃(コメント、メール、2ちゃんねるへの書き込み、ブログでの反論)を受けるリスクが高くなってしまいます。別に今現在、誰かから圧力を受けているということは全くありません。あくまでも予防であり、危機管理です。これは大手マスコミ記者からも時々聞かれますが、全くありません。時代は変わりました。みなさんもどんどん言いたいことは言った方がいいですよ。

 このブログは、「私個人の推論を、ウラをとらず(根拠取材をせず)に書く」ブログです。あくまでも「政権交代ある二大政党制の完成」をめざすブログであり、報道目的ではありません。これを理解してくださる読者を念頭に書いています。

 今月になってから、「知っていることの100分1も書かない(書けない)状態」が続いています。こうなると、なかなか自分の考えが伝わらなくなります。みなさん、もっと落ち着いて、インターネットをやってください。

 情報公開(ディスクロージャー)ということで、1月1日~14日分のgooアクセス解析を公開します。前回から、9ヶ月も空いてしまいました。サイドバー(左側の画面)に前日分は出しているけど、結構デザインは頻繁に変えたいし、まとまって出した方がいい。「カナダde日本語」の美爾依(みにー)さんはほとんど毎月やっていて、立派だと思います。情報公開には根気が必要ですね。

 この間にgooブログの改革があったので、画面が変わっているので、gooブログの会員の人以外は見にくいと思いますが、とにかく出します。
 

 僕のブログに限らず、政治ブログには似たような傾向があるようで、(月)はボチボチ、(火)から(木)にかけてアクセス数が増えて、(金)に少し減り、(土)~(日)にかけて減る。そして(日)夜から増え始めるという周期があります。

 アクセス数が増えてくると、トラックバック送信を減らしていますが、そうすると、グーグル検索の引っかかり方がおかしくなってきます。相互トラックバックは自由に送って下さい。

 コメント欄は、休養中には閉鎖していますので、よろしくお願いします。

 正直、僕も石川君の件があり、気が張っています。小沢さんに関しては、1997年12月の暴挙(新進党解党)以来、毎年のように振り回された辛い経験があります。もう小沢さんに関わりたくないし、それが私の「生活の知恵」です。これは理論や理屈を越えています。どうぞご理解下さい。

 このほか、「二大政党制ではなく多党制だ」、「政界再編」、「労組(労働者)を蔑む」というテーマに関しては、受け付けませんので、ご理解ください。

 通常国会、予算審議に切り替えていきたいので、読者の方にも、ご協力頂きたいと思います。

鳩山代表が小沢幹事長更迭を検討

2010年01月14日 19時43分33秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導
 民主党の鳩山由紀夫代表は、14日朝、首相官邸で、政治資金問題で国民の信を失いつつある小沢一郎幹事長の更迭について、「今はその考えはない」と述べ、幹事長更迭を検討していることを示唆しました。まあ、「示唆」というのは政治記事用語ですが、“国会日程・参院選をにらんで更迭の時期を検討している”ことを裏付ける重要発言です。

 鳩山代表は、「小沢幹事長の体制でここまでやってきた」「選挙も厳しい中を乗り越えてきたと。それがありますから」と語りました。小沢さんへの功績や恩義があるということでしょう。これは私も同感です。それは分かっているんです。その上で、「私としては今はその考えはありません」としました。

 なお、小沢さんが幹事長になったのは、政権交代後の昨年9月です。

 ◇

 NHKニュース7の映像によると、記者とのやりとりは次の通り。

 記者 幹事長という人事を見直す考えはあるんでしょうか?

 総理 「うん、それは今はありません。私としては。小沢幹事長の体制でここまでやってきたと。選挙も厳しい中を乗り越えてきたと。それもありますから。私としては今はその考えはありません」

 ◇

 1月13日に小沢一郎さんに関する資料を集めたのですから、資料の目録を作っている間に1月18日(通常国会召集日)を迎えることになります。第174通常国会は、議案と捜査の“並行審議”という二頭立ての馬車に乗ることが確実な情勢です。

 小沢幹事長が続投した場合のメリットはあります。それはより本物を見極めやすくなると言うことです。力のある大臣、例えば、前原誠司国交大臣は淡々と仕事を続けるでしょう。長妻昭厚労大臣も「我、関せず」で仕事をするでしょう。元来、長妻さんは全く党内政局に関心がない人です。菅直人副総理、原口一博総務大臣も情報を仕入れながら素知らぬ顔で元気に振る舞うでしょう。

 その一方で、各種選挙では、力のない候補が逆風を浴びて落選するし、若手議員なんかはブログも書けないという体たらくに陥りながら、次の選挙を迎えことになるかもしれません。本物がより早くそれにふさわしいポジションに行き、偽物がより早く消えていきます。変化の激しい時代、歴史の変わり目はいつもそうです。第22回参院選で民主党が大敗しても、ねじれ国会になるだけで、民主党政権そのものの存在は第46回衆院選に持ち越されます。

 智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば窮屈です。とかく「世論」というのは難しいですね。昨今、小沢さんの「国民の生活が第一」という言葉を痛々しく感じるのは、私だけではないでしょう。こんなものは理論や理屈ではどうにもなりません。

 ところで、私は「小沢一郎さんの友人」を知りません。たんにメディアで知られていないだけなんでしょうか。小沢さんは今は愛妻家です。3人の子供も溺愛ではなくそれこそ「子煩悩」です。犬と小鳥が好きです。

 「小沢さんの唯一信じられる友達はお金(土地含む)だけだった」ということではない、そう祈りたいです。

小沢一郎さんは自ら身を退くべきだ

2010年01月13日 20時01分14秒 | 第174常会(2010年1~6月)空転政治主導
  民主党幹事長の小沢一郎さんの政治団体が世田谷区の土地を購入した際に、不自然なお金の流れがあり、原資が不透明であることに関して、国会や赤坂の事務所が強制捜査中です。

 国会や赤坂を散歩してきたんですが、人々は落ち着いておりました。「想定内」だったということでしょう。

 信なくんば立たず。法律を作るのが政治家の仕事です。政治家は法律に基づいて行政をする仕事をするのではなく、信頼と道徳に基づいて法律を作る仕事です。

 小沢一郎さんは現時点で「推定無罪」です。これは法治国家では、必ず守られねばならない原則です。

 しかし、小沢さんが幹事長や衆議院議員として仕事をすると、国、国民、民主党の力が出てきません。出る杭を打つ日本社会ですが、政治家は政策で出るべきであって、政治献金は「ほどほど」にすべきです。過ぎたるは及ばざるが如し。日中草の根交流はとても良いことですが、「650人」とか極端なんですよ。

 民主党の最高意思決定機関である「党大会」が16日、日比谷公会堂で開かれますから、これを前に幹事長を退くべきです。

 さらに、国会での混乱を避けるため、18日の通常国会召集日に衆議院議員辞職願を届け出て、政界を引退すべきです。

 小沢一郎さんは、1週間ほど前から「任意での事情聴取」に応じる気配を見せていませんでした。その一方で、囲碁に興じたり、名古屋を訪れたりしていることなどから、裁判官の令状を取って、調べているのでしょう。

 もはや小沢ではない。ノーモア小沢の声を挙げましょう。立つ鳥跡を濁さず。

岡田克也外相、チャレンジャー乗組員オニヅカ大佐のお墓参り 

2010年01月12日 22時56分25秒 | 岡田克也、旅の途中


 岡田克也外相は日米外相会談のため、米国ハワイを訪れています。JALグループの航空機で現地入りしました。外相会談に先立ち、日本時刻12日午前(現地11日午後)、国立太平洋記念墓地を訪れ、献花・黙祷した、と報じられています。

 
[写真]11日午後(日本時間12日午前)、米ハワイ・ホノルルの国立太平洋記念墓地で戦没者の霊に黙祷を捧げる岡田克也外相=MSN産経ニュースから

 エリソン・S・オニヅカ空軍大佐のお墓も訪れました。

 
[写真]エリソン・S・オニヅカ空軍大佐(アメリカ航空宇宙局(NASA)ホームページから)

 オニヅカ大佐は、1985年1月、宇宙を飛んだ初めての日系人、素晴らしいジャパニーズです。オニヅカさんの2度目のフライト当日の1986年1月28日、岡田さんは通産省からハーバード大学に研究員として派遣されており、奥さんと一緒にアメリカにいました。

(引用はじめ)

 全米のみならず、全世界がテレビを通じて見守る中、発射後わずか70秒余りで宇宙船は突如爆発した。国家プロジェクトが一瞬にして挫折し、尊い7名の乗組員の命が失われた。国民すべてが悲しみに沈む中、レーガン大統領は4分間の真摯な演説を行った。犠牲者を心から悼み、しかし、宇宙計画は断固として続行するという力強い物だった。国民はどれほど勇気づけられたことだろう。

 私はアメリカの地で、政治や政治家の果たす役割の大きさ、あるいは政治の可能性の大きさに気づいた。と同時に、スキャンダルが頻発し、同じ党内での派閥争いに終始する日本の政治のありように、居たたまれない思いがした。

 日本の政治を何とかしなくてはならない、と強く感じた。また、アメリカでできていることが日本でできないはずはない、とも思った。

 あまりに強くそれを思ったがために、「自分が政治家になれば」などという、それまでなら決してあり得なかった発想が浮かんだのかもしれない。政治家になる--渡米前には夢にも思わなかった選択肢を胸に収めて、私は帰国した。

(引用おわり) 
岡田克也著『政権交代』 62~63ページから

 ハワイは日本と米国の真ん中の太平洋上にあります。ハワイで岡田さんは大佐の勇気を感じ取れたでしょうか。まあ、岡田さんもそろそろ、勇気をもらってばかりではなく、国民に希望と勇気を与えられる政治家に脱皮しなきゃいけないですね。岡田さんはすでに「レーガンさん」を上回る智者ですが、「存在としてのレーガン大統領」の威厳と荘厳さにはまだまだ遠く及びません。

 
[画像]チェレンジャー号爆発事故で毅然と対応した米大統領、ロナルド・レーガン=雑誌「US News & World Report」のレーガン大統領追悼号より

 太平洋、パシフィック・オーシャンとは、「平和な海」という意味です。元々は「波が穏やかな海」という意味合いで命名されたようで、真珠湾攻撃があったわけですが、 ここ半世紀ほど、太平洋、ハワイは、平和と豊かさの象徴となっています。レーガン大統領は、米カリフォルニア州の太平洋が見える丘に眠っています。

 来週1月19日(火曜日)、日米同盟は50周年を迎えます。

 ◇

 鳩山由紀夫総理は、12日午後9時頃、「日本時間の明日未明、日米外相会談がハワイで開かれます。日米同盟は日本外交の基軸。岡田外務大臣に期待します。」とツイッターでつぶやきました。

 

岡田外相が米戦没者に献花 - MSN産経ニュース

 【ホノルル=加納宏幸】日米外相会談のため米ハワイに滞在中の岡田克也外相は11日午後(日本時間12日午前)、第2次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争などで戦死した3万人以上の兵士が眠るホノルルの国立太平洋記念墓地(パンチボール)を訪れ、献花=写真=し、黙祷(もくとう)をささげた。岡田氏はこの後、同墓地内で、ハワイ出身のオバマ米大統領の祖父や、1986年のスペースシャトル「チャレンジャー」爆発事故で死亡した日系人宇宙飛行士、エリソン・オニヅカ氏の墓を訪れた。


日航、ついに倒産へ

2010年01月12日 09時29分08秒 | その他

 [写真]前原誠司国土交通大臣、私は前原大臣の判断を支持します。

 「倒産」という言葉を使うと驚かれるでしょう。

 日本航空がついに、来週19日に倒産する運びになりました。きょう、国土交通大臣と3大メガバンクの頭取が話し合い、決定するようです。

 倒産とは、「財産を使い尽くすこと」という意味で、「会社更生法適用」は「倒産」です(広辞苑など)。

 新聞は「法的整理」という言葉を使っています。19日にも東京地裁に会社更生法の適用を申請し、認められる運びです。株式を100%減資し、債務を圧縮し、株式上場停止するのですから倒産です。「会社更生法の適用を申請し、事実上倒産しました。事業は継続します」というニュース原稿の耳覚えがあるでしょうが、要するにこれと同じことです。

 新聞が倒産という言葉を使わなくなったのは、①響きがキツイ②事業を終了するような感じがする③マスコミとマーケットの反応が速い時代になった④広告主への配慮--などの理由だと、私は思います。

 しかし、「日航、倒産」。まさに時代を感じます。

 日航という会社は、やはり「123便」のときの情報隠蔽(エンクロージャー)ですべて終わってしまった会社だと思います。これに先立つ「尻もち事故」とその修復作業のミス。これをエンクロージャー(抱え込み、情報隠蔽)してしまったことにより、520人の命の取り返しのつかない大事故となる。ここの関連性についても、情報は隠蔽され資料は廃棄されました。「エアライン安全ランキング」では、アジアワースト3位の航空会社ということで、この先いくら飛んでも、計算上、この汚名は返上できない状態でした。

 経営陣肝いりの御用組合(第二組合)が作られ、合計8つの労働組合に分裂しました。これを労働者側の責任と見る向きが多いですが、私は強い立場にある大企業経営者による働く仲間の分断工作だったんだと思います。そこまで内部には詳しくありませんが。

 「日航」とは、政財官癒着、エンクロージャーの総本山でした。国内線に乗ると、同じ料金の席でも、国会議員は必ず1列目に座っています。私が22年前に国際線に乗った時、客室乗務員がカクテルを作ってくれるという過剰サービス。日本人客より外国人客がいつも優先という外向きの「ナショナル・フラッグ」。

 フライト中に、客室乗務員と外国人客が「成田に着いたら、3連休(スリーホリデーズ)よ」と語らう日航機内の雰囲気に何とも言えない違和感を覚えました。その経験から、私は国際線はアメリカ系の格安航空会社やアジア各国のナショナル・フラッグ・キャリアー、国内線はANAに乗るようにしました。路線の関係などで、JALに乗ることもありましたが、いつも何らかのサービスの一つに首をひねりながら、タラップを降りていました。

 参院選に向けて、民主党が「日航処理成功」とアピールしても票は減るだけだと思います。不況に怒っている有権者は「不況は与党の責任だ」と判断するものです。「不況なので与党になびく」という有権者心理は現代には存在しないと思います。

 日航倒産は、ディスクロージャーしないと破たんする、--という教訓をもたらしました。

 まったく同情の余地がないし、むしろ遅きに失した「倒産」です。

 前原誠司国土交通大臣の判断を私は99%支持します。路線の継続については、まだ見えない部分があるので、1%分は保留しますが、競合路線ではANAへの統合を支持します、路線継続のための減便も支持します。