
安住淳財務相は2012年7月26日(火)の衆院決算行政監視委員会で、特例公債法案をめぐり一般会計の執行状況について「9月末時点で39・3兆円(の総執行額)を見込んでいる」とし、10月単月の執行額が「5兆円ちょっと」だと述べ、あわせて45兆円ほどになるので、「(税収として見積もる46兆円に見合う歳出まで)10月末時点で、1兆円ちょっとになる」と述べました。自民党の河野太郎さんへの答弁。
平成24年度当初予算は一般会計で90・3兆円の歳入及び歳出を計上しています。税収46兆円とあわせて、「平成24年度の特例公債法案(180閣法2号、衆院財務金融委員会に留め置き)」で44兆円の公債(うち財政法4条の特例による赤字国債は38兆円)を発行して、90・3兆円をまかないます。安住答弁によると、10月末で執行額が45兆円前後になることから、11月上旬には法律の成立が必要だと示唆したことになります。これは今国会(9月8日)での成立が必ずしも必要ではないことを示唆し、野党に話し合い解散の材料を与えないことを念頭においた可能性があります。二大政党党首が9月の党首選再選への環境が整いつつある中で、今国会での解散確約を封じ、3党合意による消費税法附則第18条を具体化する秋の大型補正予算の編成とそれに伴う秋の第181臨時国会召集をほのめかす極めて高度に政治的な発言である可能性が考えられます。安住さんは昨年の第177通常国会(震災国会)で民主党国会対策委員長をつとめました。
政府は、国債の他に、財務省短期証券や、銀行からの借り入れなどをしています。現在、日本銀行の2月14日の金融緩和以降、市中銀行の日銀当座預金勘定へ預入額が一晩で42兆円前後と史上最高額になっており、お金の使い道にさまよっている状態であることから、地方交付税交付金などを銀行から借り入れることも可能ですが、基本的には11月上旬には成立させないと、キャッシュフローはできても、財政法や財政規律、財政法定主義などに大きな問題が生じることになります。国税を納めることが多い人は、46兆円の税収といっても、10月末時点で全額出納しているわけではないはずだと思われるでしょうが、これは国債の借り換え債や、財投機関債などで血液が循環する格好になっていますから、その中で、予算単年度主義などの財政法などの原則を守る上では、11月上旬というメドが生じることになるんだろうと考えられます。
昨日は、日本銀行の山口広秀副総裁が今後の追加金融緩和に柔軟な姿勢を広島の講演で見せていることから、秋口にかけて、消費税法改正法案の附則第18条を具体化することなどを目的とした景気対策補正予算とあわせて、民自公3党のかけひきが活発になる可能性があります。
第180通常国会は9月8日(土)で必ず終わります(衆院解散の場合はその日で終了)。仮に解散がない場合は、この特例公債法案の11月上旬というメドが秋の臨時国会召集と補正予算編成をかけたスケジュール感につながっていく可能性があります。
基本的には、国難の折、特例公債法は早く成立させた方がいいです。この42兆円が日銀の金庫に眠っている状況は不気味であり、長期金利も空前の低水準(表面価格は高水準)ですが、不確実性リスクはけっきょく大銀行家が得することになります。政治も金融もシンプル・イズ・ベストです。
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