McIntosh社は1949年に「50W-1」「15W-1」2種のパワーアンプを発表した翌年1950年に「AE-2」「C-104」の2機種のプリアンプを発表します。
「McIntosh C-104 amplifier Equalizer」は12AX7が3本、入力は5系統でハイレベル2系統は入力ボリューム付き、電源は内蔵されておらず「50W」「20W」もしくは専用電源の「D101」を使用する。
パネル、ツマミデザインはバリエーションがあったらしい。
マホガニー製ケースに入ったのは「C-104a」と言う名称で厚い側板とスライド式に外れる薄い天井板に囲まれていた。
回路はイコライザー切り替えはなくtrebleとbassにturn overが加わったものでとにかく適当にツマミを動かして調節する。SP(スタンダードプレイ)レコード再生がほとんどでそれに初期のモノラルLP(ロングプレイ)が加わった時代でこれで目的は達成していた。
細かいEQ設定の可能なMarantz audio Consoletteの出現は1953年。McIntoshも1953年(1954年説もあり)に1024通りの設定ができた「C-108」を発表している。
回路は3本の12AX7の6ユニット中3ユニットをカソードフォロワーにしていると言うことでかなり押し出しの強いイメージ(カソードフォロワーはそうだ、、と言う勝手な思い込みあり。「AE-2」は4本使用)、信号ラインに6個のコンデンサーが入ります。専用電源は「D-101」必要な電源電圧はマニュアルでは280V〜380V 6mA 6.3V 0.9A。「C-104」は結構流通しているが「D-101」電源は見る機会は少ない。
このパンフレットには「(高い本体は購入して)電源はどうぞご自分でお作りください」と言わんばかりにしっかりと回路図まで描かれている。また接続コードもバリエーションが色々あって興味深い。メインアンプの電源まで「D-101」を介していて貧弱なプリアンプの電源ラインを通っている。メインアンプからの出力ケーブルはコネクターの接続に応じて4Ωから600Ωのバリエーション、ただし長さは1.8mのみ。またプリアンプの信号は電源と同じコネクターで「D-101」に繋がってそこからまたメインアンプまで伸ばされる。面白いと思ったのはコードの長さで3.6mから9mまである。メインアンプはスピーカーのそばに置いて、カソードフォロワーの信号線は伸ばしても構わないということになる。
拙宅の「C-104」
十数年前にお店で購入、電源は自作した。
トランスはカッコいいTriad、整流管はWE412Aでどこからか失敬してきたシールやシャーシ塗装してあることから気合は入っていたよう。また本体のウッドケースは(マホガニーぢゃないが)自作品です。
抵抗は多分omiteでほとんど手が入っていない。
基板の裏はコンデンサーでバンブルビーが多用されていた。メインテナンスによってビタQ、160Pなどに変更されています。
暗いパイロットランプはなぜかネオン管に交換されている。。よくわからんが元の6.3Vに戻します。
turn overのコンデンサーは適当なものが無かったらしく、2階建と4階建。メインテナンスされた方のマジメさが伺える。容量は満たしています。
「15W-1」と接続して聴いてみるとやはり濃厚なイメージになる。悪く言えばちょっと鈍い感じに。しかしちょっとチリチリノイズが入る。真空管が逝ったか?
識者に尋ねると「抵抗器からのノイズが怪しい」とのこと。時間をかけて探ってみることにします。
「AE-2」のチリチリノイズ対策のプロトコルを適応してみます。
真空管を1本ずつ引っこ抜いてどこの増幅段からか見当をつける。
→「AE-2」は初段だったが今度は最終段だった
入力の配線を外してノイズが消えるか確認
→消えました。
入力周りの抵抗を外してリード線磨いて再度ハンダ着け
→変化なし
1MΩ、1.8KΩ、100KΩを順番に交換してみる。手持ちが100KΩしかなかったのでまずここから
→改善しました。
何がプロトコルかと思うがとにかく改善した。やはり古い抵抗器はノイズ発生器みたいです。
どこから発生してるかはシグナルトレースして叩いたり逆さまに振ったりして原因を探るしかなさそう。(プロはどうしているのだろう?)
「15W-2」のオンボードプリアンプを外して入力プラグを差し込んで「C-104」を出力する。電源は自作電源から。
「AE-2」と「C-104」の音味の比較ですが正直よくわからない。電源も違うしカップリングコンデンサーもたっぷり入ってるし。。WE412Aはアドバンテージのはずだ。(と信じたい。なんたって今や高いtubeなのだから)
先日知人宅に行ったら何気に「C-104」が置いてありました。
マホガニー製ウッドキャビネットもオリジナルだそうで実は初めて見た。ちょっとラインのシャープさが違うけどレプリカもいい線いっているかも(と自画自賛)。
内部写真
ボードのパーツ配置が全く異なるのが興味深い。拙宅のはコンデンサー面と抵抗面がはっきりと分かれているがこれは混ざっている。シリアルNoはウチの方が新しい。
お読みいただきありがとうございました。
位相反転モジュールを作ることにします。この部分が一番の特徴らしいので外せないポイントと解釈して。
参考にしたプリアンプモジュールと加工したパーツ。写真などでは同寸法に見える。
11PのGTソケットは幸いにも複数手持ちがあったのでピンを引き抜いて穴を開けてMT9ピンソケットをバラして埋め込み、中央でネジ止め。外径32mmのアルミパイプはこれも幸いにホームセンターにあった。
なんとかケースはできました。この狭小スペースに果たして詰め込めるのだろうか?
MT9ピンソケットに全てのパーツを組んで反対側の11ピンソケットに向かってリード線を伸ばします。
どうもパイプの長さが足りない。しょうがないのでプリアンプより少し伸ばすことにします。
今度はワイヤーの長さが足りない、、継ぎ足したりして、、
何回も結線を確認してパイプも新しく切りなおしてようやく完成。ついでにラベルもコピーしたが気合が足りないのでボケボケだ。。
結構メンドウで正直もうやりたくありません。ほかのモジュールを分解して構造を観察すればよかったのだが開けようとしたらソケットの一部が欠けてしまって怖くなってやめました。。
ようやく本体にかかります。ブロックの電解コンデンサーは3本。そのうち1本は低圧バイアス用なのでなんとか使えそうだが残りの高圧用2本は漏洩が多く使えない状態。
Mallory 20μF X 4 500Vという豪華な(?)もの。このままソケットに入ります。同じものを見つけるのはかなり大変そうだし値段も尋常でない(と思う)
というわけでいつもの中身入れ替えの術
入手したコンデンサーは22μF450Vで8本必要。やはり高圧用は高くて1本10円というわけにはいかない。
ちょっと忙しくて1個ずつ行います。オリジナルとの音質差は興味あるところですが将来ラッキーにも入手できたら差し替えて比較してみましょう。
ボロボロの電源コードを取り替えようかと思ったが抜け防止の紐が美しい。。どうやって結んだのか。。
ちょっとゆっくり起床して聴いた演奏
サン=サーンスのオルガンシンフォニー シャルル・ミンシュ指揮 ボストン交響楽団
大好きな盤(といっても今はituneだが)です。静かな前半と、カレーのCMで有名な後半。
少しも長く感じない。最後の盛り上がりでは(毎回)涙が出てしまう、、という安っぽい感想ですみません。
もう少し頑張ってみるか!という気にさせてくれる演奏。
ミンシュ先生、ありがとうございます。
内部の配線もちょっとやさぐれてるとこを修正して見栄えを良くして恐る恐る電圧を上げながら通電してみる。
ヒーターとバイアスをまず確認する。バイアスは(多分)セレンでBIASモジュールに収納されている。ここに不具合があると終段がオシャカになる。。大丈夫なようです。B電源も正常に供給されているよう。
全てのソケットに差し込むとその凹凸感が異様というかオモシロイ光景。チェス盤みたいだし都会のビル群のようにも見える。ふとMcIntosh C22のフロントパネルのデザインのオーダーは「マンハッタンの夜景」だったことを思い出した。一番高いのはキングコングが登ったエンパイアステートビルだな。。そうすると手前の2本の電解コンデンサーは今は亡きワールドトレードセンターツインタワーになる。。(合掌)
電源スイッチは本来はヒューズ内蔵のものだと思いますが入手できてないのでホームセンターで売ってるソケットを組み合わせてスイッチにしてます。この中にbussmannみたいなねじ込みヒューズを組み込めないかと色々と試行錯誤したが断念してヒューズはパネルの裏となりました。ソケットにプラグをねじ込むとONになるというプリミティブさ。
早速入出力を繋いで試聴。出力の結線は20W-2と変わってないと思うので
16Ωに設定して無事に出力されました。トランスの断線、ショートなどのトラブルが一番恐れていたことなので(一応テスターで確認はしていたのですが)良かったです。
音味は一聴、聴きやすく軽々と音が飛び出てきます。明瞭度が高くハイスピード(ホントか?)。ボリュームがガリなのでカップリングコンデンサーが逝ってるかと思ったが少ししたら落ち着いてきました。しばらく聴いてみましょう。。
同じ1949年生のアンプ2台、英米共演。
両者ともコンデンサーを交換してるので100時間は経過しないとはっきりとは言えないとは思いますが各々特徴があります。やはりMcIntoshの方はハイテクを感じるし時代の先端という自負があったような印象、QUADの方は音楽再生に寄り添っているという気がする。
安定動作しているようです。ハムバランサー回してもほとんど(全く)変わらない。問題ない範囲。6V6は作ったことがありませんが知人がシングルアンプを作ったのを聞かせてもらった事があります。なかなか良かったと思いました。アンプの規模に合わせて終段を選択するのは「足るを知る」ようで合理的ですね。
お読みいただきありがとうございました。
後日談 1
回路構成については何も書かなかったのですがMcIntoshのアンプといえば「ユニティ・カップルド回路」で最初のアンプの「15W」にすでに採用されています。「15W」「50W」とその後のアンプを比較するとインターステージトランスの有無が挙げられます。これら仕組みのためにはトランスの一次側のバイファイラー巻き(2本線を巻いていく)が必要で良質な材料と高度な技術から当時としては難しいチャレンジだった。回路図からこのインターステージトランスもバイファイラー巻きだと思われMcIntoshのアンプ群でも古典と言うか特徴的な存在ではないでしょうか。日本にMcIntoshのアンプとして最初に紹介されたのは1949年の前述の文献だったようですが既に「インターステージトランスは時代遅れ」と言う風潮があって現物を見ない(聴けない)状況の判断でまた当時の日本は再現できる技術もなくほとんど評価されなかったらしい。
肝心の「ユニティ・カップルド回路」は色々と解説されていて「SEPPがもとになっている」とのことですが私のアタマではなかなか理解不能です。またお勉強したいと思います。
後日談 2
完成してからメインに聴き続けています。耳の方が慣れたのかもしれないがなかなか良いです。基本的な性能の高さを感じるし音味もバランスよく聴きやすい。異様な形だが省スペースなのでデスクトップに置いて音楽聴きながらぼぅっと眺めています。6V6のアンプではAMPEXのJBLスピーカー内蔵のPAアンプがあります。聴き比べてみたいものです。
思い切って再生して良かったです。
ちょっと気になる鳴り方だったので測定してみました。
問題なさそう。。波形が乱れないまで入力を増やすと15W出力されます。ほぼ定格。
参考にしたプリアンプモジュールと加工したパーツ。写真などでは同寸法に見える。
11PのGTソケットは幸いにも複数手持ちがあったのでピンを引き抜いて穴を開けてMT9ピンソケットをバラして埋め込み、中央でネジ止め。外径32mmのアルミパイプはこれも幸いにホームセンターにあった。
なんとかケースはできました。この狭小スペースに果たして詰め込めるのだろうか?
MT9ピンソケットに全てのパーツを組んで反対側の11ピンソケットに向かってリード線を伸ばします。
どうもパイプの長さが足りない。しょうがないのでプリアンプより少し伸ばすことにします。
今度はワイヤーの長さが足りない、、継ぎ足したりして、、
何回も結線を確認してパイプも新しく切りなおしてようやく完成。ついでにラベルもコピーしたが気合が足りないのでボケボケだ。。
結構メンドウで正直もうやりたくありません。ほかのモジュールを分解して構造を観察すればよかったのだが開けようとしたらソケットの一部が欠けてしまって怖くなってやめました。。
ようやく本体にかかります。ブロックの電解コンデンサーは3本。そのうち1本は低圧バイアス用なのでなんとか使えそうだが残りの高圧用2本は漏洩が多く使えない状態。
Mallory 20μF X 4 500Vという豪華な(?)もの。このままソケットに入ります。同じものを見つけるのはかなり大変そうだし値段も尋常でない(と思う)
というわけでいつもの中身入れ替えの術
入手したコンデンサーは22μF450Vで8本必要。やはり高圧用は高くて1本10円というわけにはいかない。
ちょっと忙しくて1個ずつ行います。オリジナルとの音質差は興味あるところですが将来ラッキーにも入手できたら差し替えて比較してみましょう。
ボロボロの電源コードを取り替えようかと思ったが抜け防止の紐が美しい。。どうやって結んだのか。。
ちょっとゆっくり起床して聴いた演奏
サン=サーンスのオルガンシンフォニー シャルル・ミンシュ指揮 ボストン交響楽団
大好きな盤(といっても今はituneだが)です。静かな前半と、カレーのCMで有名な後半。
少しも長く感じない。最後の盛り上がりでは(毎回)涙が出てしまう、、という安っぽい感想ですみません。
もう少し頑張ってみるか!という気にさせてくれる演奏。
ミンシュ先生、ありがとうございます。
内部の配線もちょっとやさぐれてるとこを修正して見栄えを良くして恐る恐る電圧を上げながら通電してみる。
ヒーターとバイアスをまず確認する。バイアスは(多分)セレンでBIASモジュールに収納されている。ここに不具合があると終段がオシャカになる。。大丈夫なようです。B電源も正常に供給されているよう。
全てのソケットに差し込むとその凹凸感が異様というかオモシロイ光景。チェス盤みたいだし都会のビル群のようにも見える。ふとMcIntosh C22のフロントパネルのデザインのオーダーは「マンハッタンの夜景」だったことを思い出した。一番高いのはキングコングが登ったエンパイアステートビルだな。。そうすると手前の2本の電解コンデンサーは今は亡きワールドトレードセンターツインタワーになる。。(合掌)
電源スイッチは本来はヒューズ内蔵のものだと思いますが入手できてないのでホームセンターで売ってるソケットを組み合わせてスイッチにしてます。この中にbussmannみたいなねじ込みヒューズを組み込めないかと色々と試行錯誤したが断念してヒューズはパネルの裏となりました。ソケットにプラグをねじ込むとONになるというプリミティブさ。
早速入出力を繋いで試聴。出力の結線は20W-2と変わってないと思うので
16Ωに設定して無事に出力されました。トランスの断線、ショートなどのトラブルが一番恐れていたことなので(一応テスターで確認はしていたのですが)良かったです。
音味は一聴、聴きやすく軽々と音が飛び出てきます。明瞭度が高くハイスピード(ホントか?)。ボリュームがガリなのでカップリングコンデンサーが逝ってるかと思ったが少ししたら落ち着いてきました。しばらく聴いてみましょう。。
同じ1949年生のアンプ2台、英米共演。
両者ともコンデンサーを交換してるので100時間は経過しないとはっきりとは言えないとは思いますが各々特徴があります。やはりMcIntoshの方はハイテクを感じるし時代の先端という自負があったような印象、QUADの方は音楽再生に寄り添っているという気がする。
安定動作しているようです。ハムバランサー回してもほとんど(全く)変わらない。問題ない範囲。6V6は作ったことがありませんが知人がシングルアンプを作ったのを聞かせてもらった事があります。なかなか良かったと思いました。アンプの規模に合わせて終段を選択するのは「足るを知る」ようで合理的ですね。
お読みいただきありがとうございました。
後日談 1
回路構成については何も書かなかったのですがMcIntoshのアンプといえば「ユニティ・カップルド回路」で最初のアンプの「15W」にすでに採用されています。「15W」「50W」とその後のアンプを比較するとインターステージトランスの有無が挙げられます。これら仕組みのためにはトランスの一次側のバイファイラー巻き(2本線を巻いていく)が必要で良質な材料と高度な技術から当時としては難しいチャレンジだった。回路図からこのインターステージトランスもバイファイラー巻きだと思われMcIntoshのアンプ群でも古典と言うか特徴的な存在ではないでしょうか。日本にMcIntoshのアンプとして最初に紹介されたのは1949年の前述の文献だったようですが既に「インターステージトランスは時代遅れ」と言う風潮があって現物を見ない(聴けない)状況の判断でまた当時の日本は再現できる技術もなくほとんど評価されなかったらしい。
肝心の「ユニティ・カップルド回路」は色々と解説されていて「SEPPがもとになっている」とのことですが私のアタマではなかなか理解不能です。またお勉強したいと思います。
後日談 2
完成してからメインに聴き続けています。耳の方が慣れたのかもしれないがなかなか良いです。基本的な性能の高さを感じるし音味もバランスよく聴きやすい。異様な形だが省スペースなのでデスクトップに置いて音楽聴きながらぼぅっと眺めています。6V6のアンプではAMPEXのJBLスピーカー内蔵のPAアンプがあります。聴き比べてみたいものです。
思い切って再生して良かったです。
ちょっと気になる鳴り方だったので測定してみました。
問題なさそう。。波形が乱れないまで入力を増やすと15W出力されます。ほぼ定格。