kimitsuku独り言

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ひとりブツブツ独り言

ふたりの名脇役 逝く

2010年05月07日 | 日記
      
 相次いで、ふたりの名脇役の俳優が逝った。
ひとりは佐藤慶、81才。
渋い声と個性的な風貌で、特異な雰囲気の役柄が多かった。
舞台や映画でも活躍していたが、私が最も印象に残っているのは
1970年NHK大河ドラマ『樅の木は残った』の、伊達兵部である。
伊達藩乗っ取りを図り陰謀策略を練る兵部を、実に上手く演じた。
 NHK大河ファンの私だが、このドラマは歴代の中でも忘れ難く、
脚本も俳優たちも、実に良かったと思う。
芝居は脇役が肝心と言うらしいが、時に主役を上回る存在感を示し
ドラマに深みと奥行きを感じさせるのが、佐藤慶という役者であった。
       
 もうひとりは北林谷栄、98歳であった。
1959年の『キクとイサム』は、今井正監督作品で混血児の問題を
描いた映画であった。遥か昔に見た映画だから記憶は朧気ながら
泣きじゃくるふたりの子供たちに、「負けちゃいけないよ…」と励ます
祖母を、優しく力強く演じていた。
 最近でも2002年の『大誘拐』で、誘拐犯や警察や家族を手玉に取る
したたかなお婆さん役を生き生きと演じていたし、『阿弥陀堂だより』、
『黄泉がえり』などでも、元気な姿を見せていた。
           
 脇役は主役と違って、年を重ねてからが本番と聞いたことがある。
笠智衆しかり宮口精二しかり、ドラマを重厚に味わい深く彩っていた。
最近では香川照之が話題になっているが、ちょっと過ぎるのじゃ…?
まぁ好みもあると思うが、脇役は程々が大事。
目立たず出過ぎず主役を立てて、しかし無くてはならない隠しスパイス?
佐藤慶にしても北林谷栄にしても、生涯現役を貫いたホンモノ役者だった。
虎は死して皮を残す、芸術家は作品を残す。
さて…虎でも芸術家でもない私は?

コメント
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