ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

新型コロナで顕わになった労働格差

2020-03-21 10:32:43 | 時事
新型コロナの感染防止対策として在宅勤務や時差出勤が浸透し、通勤電車の混雑には一定の緩和がみられているようです。

当初は大騒ぎになった一斉休校についても、保護者の休暇取得を支援する助成金制度が創設されることになり、労働者が休みやすい環境がある程度は作られつつあります。

ただし一部には、例えば時差出勤と称して早朝勤務とし、労働時間延長をしているような企業もあるようです。こういった政府の施策の「恩恵」にあずかっているのは、一部の労働者にすぎず、労働格差が拡大しているという見方もあります。

例えば非正規雇用の社員が新しく創設された助成金制度を利用して、特別休暇を取りたいと申し出ても、非正規には有給休暇は認められないといわれたというようなことは多いようです。

周りの正社員が有給の特別休暇を取得して休んでいるにもかかわらず、雇用形態が異なるだけで国が作った制度を利用することすらできない事例が報告されています。今回のような非常事態においても、労働現場では相変わらず正規と非正規の間の厳然たる格差が見られます。

むしろ異常事態だからこそ格差が拡大しているような気もします。実際の労働相談窓口では、正社員が在宅勤務や時差出勤を始める一方で、非正規にはそれが認められないという相談が増加しています。

経済的に余裕のない生活をしている場合、体調が悪くとも休むことができないといった相談も多いようです。また保護者支援を目的として政府が新しく創設した助成金から非正規雇用労働者が排除される事例も相次いでいます。

非正規雇用だからといって法律が適用されないという事はなく、基本的には正社員と同じように労働法が適用され、法制度を利用することができます。

つまり法律そのものに格差や差別の原因があるわけではなく、法律が運用される場面、法律が定められていない領域で格差が生じます。法律の運用の場面における差別については、今回の休業手当をめぐる取り扱いに典型的に表れています。

休業を余儀なくされ、無給になって困っている非正規でも、休業手当を請求できるのに次回の更新への影響などからためらうことが多いようです。

法律が定められていない領域では、在宅勤務や休暇に関する会社の制度は会社が自由に決めるものです。特に在宅勤務に関しては、ここに述べてきた正規と非正規だけでなく、大企業と中小という格差が出ているような気がします。

格差や差別が生まれる要因は、非正規雇用労働者が直面するいつでも雇止めにされるという圧倒的に不利な関係や、会社の差別制度にあります。このような格差・差別の現実を新型コロナが改めて浮き彫りにしていると感じています。