医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

腹腔鏡手術:3人死亡の調査結果、遺族説明なく 千葉

2014-04-23 20:01:27 | 医療界
 がん手術の県内の拠点で何があったのか。千葉県がんセンター(千葉市)で2012年以降、同一の男性医師による腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた患者3人が短期間に死亡した問題。県は22日、外部有識者による第三者委員会を設置して原因究明に乗り出すとしたが、センターが実施した「院内医療事故調査委員会」の調査結果すら遺族に説明できていない。準備不足からか、県の「緊急会見」はあいまいな説明に終始した。【岡崎大輔、味澤由妃】

 記者会見した県病院局経営管理課によると、患者3人はいずれも高難度とされる腹腔鏡手術を受けた後に死亡したが、術式については男性医師が所属する消化器外科内の担当医らで協議して決め、実際の手術時には他に2人医師が立ち会っていたという。だが、同課は、男性医師について具体的なキャリアなどは明らかにせず、「ベテラン医師」と述べただけ。医療過誤だったかどうかについても「判断は難しい」として、第三者委に委ねる姿勢を繰り返した。

 死亡1例目の女性(76)=12年9月=と、2例目の男性(57)=13年1月=のケースについては、外部の医師も入れた院内の医療事故調が調査し、報告書を昨年8月にまとめた。同課によると、この報告書は「必ずしも医療ミスによる死亡事故とは言えない」とした上で、「新しい手術方法のメリットとデメリットについて、患者への説明が十分に行われたという記録がなく、院内の倫理委員会での承認もなかった」と問題点も指摘した。だが、こうした調査結果は遺族らに説明されていない。

 報告書は、1例目と2例目の手術が行われた際、新しい術式を採用する際に院内の倫理委に諮るというルールがセンターになかったとも指摘。「今後、腹腔鏡手術を行う際は倫理委の承認は必須」としたが、センターは同手術は既に一般的な術式だとして、3例目の手術についても倫理委の承認は得なかったという。

 そのほか、3例で腹腔鏡手術の保険適用が申請された妥当性についても、県は「(可否は)第三者委に委ねる」と繰り返した。センターの事故調の報告書は1、2例目について「適用外」との趣旨の記載が残されている。

2014年04月23日 17時54分 毎日新聞
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