医療裁判傍聴記

傍聴した観想など

岡山市民病院の医師を刑事告訴 業務上過失致死容疑で患者遺族

2020-12-29 21:11:44 | 医療界
 岡山市立市民病院(同市北区北長瀬表町)で食道がんの手術を受けた倉敷市の60代男性が術後に死亡したのは、執刀した医師が術式を誤ったためとして、遺族がこの医師を業務上過失致死容疑で岡山西署に刑事告訴し、同署が28日に受理した。

 告訴状などによると、2017年3月、男性のがんを切除した上で胃管を用いて食道を再建する胸腔鏡(きょうくうきょう)手術を行った。2日後、合併症のため出血性ショックに陥っていた男性に緊急手術を実施した際、救命を最優先して可能な限り短時間での止血処置などを施す義務があったのに、別の臓器を用いた食道再建手術を9時間以上にわたって実施。容体の悪化を招き、多臓器不全で死亡させた疑いがあるとしている。

 遺族側は術後、岡山地裁に証拠保全を申し立て、カルテなどの関係資料を入手。それらを複数の専門医に照会して見解を求め、「緊急手術の際、食道再建手術を選択しなければ手術時間が短縮され、命を落とさなかった可能性は高い」などとする意見書を告訴状とともに提出した。

 この医師は現在も同病院の同じ診療科に在籍。遺族は昨年10月、同病院を運営する地方独立行政法人岡山市立総合医療センターと医師に総額約6180万円の損害賠償を求めて岡山地裁へ提訴し、病院側は請求の棄却を求めている。

 同病院は取材に対し「告訴の内容を確認できていないため、コメントしかねる」としている。


告訴された医師 緊急再手術1週間に3件
 業務上過失致死容疑で刑事告訴された岡山市立市民病院の医師を巡っては、男性の手術の約3カ月前の2016年12月、がんの摘出手術後の患者に合併症が起こり、緊急の再手術を行ったケースが1週間に3件相次いでいた。本紙が今年2月、病院関係者らへの取材を基に報じた。

 3件の手術について、岡山県内の複数の専門医が第三者の立場で取材に応じ、「いずれも医療事故と言える。ここまで短期間に連続するのは異常だ」と指摘。今回の告訴状も3件の手術に触れ、「原因究明と再発防止に努めていれば、男性が死亡することは避けることができた」としている。

 一方、病院側はこれまでの取材に対し「3件とも医療的な過失はなく、原因究明や再発防止策の検討は必要ない」との認識を示している。

2020年12月29日7:12配信 山陽新聞

クラスター発生の病院職員息子の受診を不当に断った…父親が旭医大学長を提訴

2020-12-28 21:30:53 | 医療界
 クラスターの発生している病院職員の息子であることを理由に、旭川医大病院が受診を断ったのは不当だとして、父親が大学の学長を相手取り提訴していたことが分かりました。
 訴状によりますと、訴えを起こした男性の子どもは11月、母親がクラスターの発生している病院の職員であることを理由に、旭川医大病院で以前から予約していた受診を断られたということです。
 その際、母親に症状はなくPCR検査の結果でも陰性でしたが、受診を拒否した理由について大学側は「病院のルール」と説明したということです。
 このため男性は今月、受診を拒否したのは不当だとして、病院を運営する旭川医大の吉田晃敏学長を相手取り30万円の損害賠償を求める訴えを旭川簡易裁判所に起こしました。
 旭川医大は「訴状の内容を精査したうえで弁護士と協議のうえ、訴訟において本学の主張を明らかにしてまいります」としています。

2020年12月28日17:08配信 HTB北海道テレビ放送

感染判明の検察事務官 自宅待機のはずがバスで福岡へ

2020-12-26 21:28:52 | 法曹界
 新型コロナウイルスに感染した東京地検の男性事務官が、自宅待機の期間中に高速バスで東京から福岡へ移動していたことがわかりました。

 東京地検によりますと、20代の男性事務官は今月17日に新型コロナへの感染が判明し、保健所から27日まで自宅待機するよう指導を受けていました。しかし、その期間中に無断で都内の自宅から高速バスを使い、福岡市に移動していたということです。目的は「プライベートなこと」として、公表していません。

 東京地検はバス会社や保健所などに事実関係を報告したうえで、「極めて不適切な行為であり、深くおわび申し上げます」とコメントしています。

2020年12月26日18:31配信 TBS NEWS

黒川元検事長に「起訴相当」 審査会「規範意識が鈍麻」 賭けマージャン

2020-12-24 19:51:44 | 法曹界
 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言中に新聞記者らと賭けマージャンをしたとして、賭博容疑で告発された黒川弘務・元東京高検検事長(63)に対する東京地検の不起訴処分(起訴猶予)について、東京第6検察審査会は24日、「起訴相当」と議決したと公表した。審査会は「緊急事態宣言中にあえて賭けマージャンに及んでおり、規範意識が鈍麻している」と厳しく批判した。

 議決は8日付。一緒にマージャンをした産経新聞記者2人と朝日新聞社員1人の3人は「不起訴不当」とした。地検は今後、4人を再捜査して起訴、不起訴を改めて判断する。黒川氏は再び不起訴になっても、審査会が2度目の起訴すべきだとの議決を出せば、検察官役に指定された弁護士が強制起訴することになる。

 議決によると、黒川氏は4月13日~5月14日に計4回、産経新聞記者の自宅で1000点を100円に換算する「点ピン」で賭けマージャンをした。審査会は黒川氏について、違法行為を自制・抑止すべき立場だったのに漫然と賭けマージャンを続けたとし、「動機や経緯に酌むべき点はない」と指摘した。

 地検は7月に4人を不起訴とし、理由について賭け金は多額とは言えず、黒川氏は辞職して社会的制裁を受けているとした。しかし、議決は「ギャンブル性が低いとは言えない。辞職は当然に予期できるもので、有利に評価することは相当ではない」と退けた。その上で、検事長という重責がありながら社会の信頼を裏切った黒川氏の責任は他の3人より重いとした。

 記者ら3人は、どのような動機や事情から黒川氏と長時間にわたる賭けマージャンを定期的にしたかが判然としないとし、さらなる捜査を地検に求めた。

 山元裕史・東京地検次席検事は「議決を真摯(しんし)に受け止め、所要の捜査を行った上、適切に対処したい」とコメントした。【志村一也、二村祐士朗、国本愛】

2020年12月24日19:43配信 毎日新聞

堺市医療センターの小児科医を提訴へ、カルテ情報を漏洩

2020-12-24 19:50:28 | 医療界
 堺市立総合医療センター(同市西区)の女性小児科医が、職務上必要がないにも関わらず皮膚科患者のカルテ情報を閲覧し、院外に漏洩(ろうえい)したために精神的苦痛を受けたとして、患者だった大阪府内の70代女性が、センターの運営法人と医師を相手取り、計330万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こすことが24日、分かった。25日にも提訴する。

 訴状によると、女性は顔面が腫れるといった症状が現れる「丹毒」を患い、平成29年12月25日に同センターの皮膚科へ通い始めた。小児科医は、自らの職務と関係がないにも関わらず、女性の電子カルテを不正に閲覧。同月28日、女性の病状や血液検査の結果を記した文面を、女性の長女にラインで一方的に送りつけ、カルテ情報を院外に漏らしたという。女性は長女が心配すると考え、病気の事実を伝えていなかった。

 長女と小児科医の関係はいわゆる「ママ友」同士だったが、漏洩当時は疎遠になっていた。

 訴状で原告側は、小児科医の行為は、守秘義務の徹底や個人情報の保護をうたった病院の倫理指針に反すると指摘。小児科医を雇用する病院側にも使用者責任があるとした。

 原告側の代理人を務める足立敦史弁護士(大阪弁護士会)は「カルテの内容は通常、同意がなければ家族でも告知が禁じられる。医師の一般倫理からかけ離れており、明らかなプライバシー権の侵害だ」と話している。一方で、同センターは産経新聞の取材に、「適切に対処しているが、患者とのやり取りの詳細は公表できない」としている。

 ■不正防止は職員のモラル頼みか

 「究極の個人情報」と称されるカルテには、病歴や家族の既往症、時には患者の犯罪歴まで記されている。電子化により、治療に必要な情報に医師らが速やかにアクセスできるようにはなったが、医療機関によっては情報管理が緩く、職員のモラル頼みという現状もある。

 山梨県富士吉田市立病院では3月、元職員による電子カルテの不正閲覧が判明。4月には青森県五所川原市の病院で、新型コロナウイルスに感染した男性患者の電子カルテ画像を看護師がラインで流出させたことが発覚しており、今年だけでも漏洩や不正閲覧は後を絶たない。

 厚生労働省によると、一般病院における平成29年の電子カルテ導入率は46・7%で、20年から32・5ポイント上昇した。一方で、普及に伴う不正の増加も想定され、厚労省はカルテに適切な閲覧制限をかけるよう、ガイドライン上で医療機関側に求めている。

 ただ、患者の病状によっては、組織横断的にカルテ情報を共有しなければならず、過度な制限は治療に影響を及ぼしかねないという事情もある。このため、厚労省担当者は「実際は医療機関の運用頼みというケースも少なくない」と話す。

 厚労省は令和5年度以降をめどに、全国どこの医療機関でも、患者の電子カルテを閲覧できるシステムの開発を進めている。情報の共有先が広範囲に及ぶことから、不正防止の対策も課題となっている。

2020年12月24日12:19配信 毎日新聞