かったかくんのホームページ

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赤いハンカチ

2012年05月10日 | Weblog
頬つたう涙を拭いたシーツ振り 
                修学旅行のバス見送った



     
先日のNHKのドラマ「あっこと僕らが生きた夏」で甲子園に行く途中、遠回りをして、病院の横を通ってあっこさんを励ましたシーンがありました。5月のつつじの咲く季節になって思い出します。20年前のこと・・・。



頭部の手術をしました。4月の始業式の前日、手術をした方がいいという医師の言葉。すでに担当の学年も決まっていました。始業式の日に、事情を話して、クラスの編成替え。


話し合いの末、結局は、クラス担当から外れる形になりました。


そして、次の日から入院。手術前の不安、手術後の痛みの中で、1ヶ月の生活を送りました。
たくさんの生徒たちがお見舞いに来てくれました。



 ある日、まさしくんから電話がかかりました。
「先生、明日から修学旅行なんで。バスが病院のところを通るから手を振るよ。」
 そうか、修学旅行か。生徒たちと行けなくなった寂しさを改めて感じました。




予定の時間に、シーツを持って、こっそりベランダに出ました。看護師さんに事情を話すと、「わたしは、知らないことにしているから・・・。」気持ちを分かっていただきました。



 
坂から降りてくるバスが、生徒たちのバスではないかと何度も思いましたが、ただ、通り過ぎていくだけ。


そして、ついにやってきました。バスの窓から、「黄色いハンカチ」ではなく、よく目立つ「赤いハンカチ」でした。担任の先生や、子どもたちの心配りでしょう。みんなが同じ赤いハンカチを持ち、窓から一生懸命に手を振ってくれました。




「先生―。」「先生、がんばって。」「いってきまーす。」
「先生、頭が坊主になっちょる。」
と言う賑やかな声が聞こえてきます。
 それが、つらい術後の生活をしている中で、すごく感動的なことでした。



涙がバスや生徒の姿を曇らせました。あの感動は、一生の心の宝ものです。
「子どもたちに会えて、よかったですね。」と看護師さん。



教師を続けていて、子どもたちの姿や行動から勇気や元気をもらうことはしばしばあります。



もう子どもたちは、30歳を超えています。早いもので、ちょうど、自分のあのときの年齢に達しています。


4年前のこと。当時の子どもたちが、
「先生、修学旅行に行こうか。」
という案が出て、何人かで、新聞に載っていた「一万円ぽっきりミステリーツアー」で鹿児島に行きました。



楽しく1泊2日の旅を過ごしました。途中、インフルエンザにかかったたかしくん。
みんなで介抱をしました。
「たかしは、いつまでたっても生徒やのう。」
まったく。でも勤務していた学校の時代に戻った気がしました。




今、元気で先生としてがんばれているのは、このときの生徒たちとの出会いも大きな影響を与えてくれているのかも知れません。



入院をした病院では、入院をしていた頃、玄関付近につつじの花がきれいに咲いていました。
このつつじの季節になると、この出来事を思い出します。