1 眠る猫の背撫でながら飛行機の轟音を聞く春の始まり 福屋みゆき
2 暮れ初めてなお暮れきらぬ茨戸川の流れは温き茜を映す 白岩 常子
3 人がみな愛しく思へりさくら花ふるるふるるる風にうたへば 及川 文子
4 風を得て熾る炭火の照りかへりいつの夜よりか護られて来し 河原由美子
5 嫁として優しくなれぬ時もあった今年も詫びて母の日過ぐる 櫻井 若子
6 夕茜静かに照らす部屋にいて晩年という実りを想う 北原さつき
7 すきバサミに軽き音立てカットなす母の髪型女学生めく 吉田この実
8 携帯で撮った瞬間すっと落ちひびの入った桜をなぞる 緑川 恵子
9 山肌に樹状突起の伸びるごと白樺白き樹皮の冴さ冴え 鎌田 章子
10 CGのように聳える大雪山わざとらしいほど白、青、白、青 中島ひかり
11 水仙がいたるところに咲きいでてわれの両耳くすぐり始む 柊 明日香
12 我が膝の痛みは軽し決意して受診の朝を迎えし今は 杉本稚勢子
13 末枯れても花の形をとどめおる紫陽花の木に若葉の息吹く 松平多美子
14 水張田に映る美瑛岳のてつぺんに登頂せしごと蛙顔出す 本間久美子
15 つるつるの肌にひかれてまた買いぬ今夜も作る白蕪料理 上野 節子
16 花の絵の切手が貼られ友からの便り届きぬ桜のたより 清水紀久子
17 皐月晴れ利尻の山に残雪の皆に見せたき絶景なりて 風無 光子
18 一心を賭けて為し得た事もなく人の後ろをついて歩み来 安藤のどか
2 暮れ初めてなお暮れきらぬ茨戸川の流れは温き茜を映す 白岩 常子
3 人がみな愛しく思へりさくら花ふるるふるるる風にうたへば 及川 文子
4 風を得て熾る炭火の照りかへりいつの夜よりか護られて来し 河原由美子
5 嫁として優しくなれぬ時もあった今年も詫びて母の日過ぐる 櫻井 若子
6 夕茜静かに照らす部屋にいて晩年という実りを想う 北原さつき
7 すきバサミに軽き音立てカットなす母の髪型女学生めく 吉田この実
8 携帯で撮った瞬間すっと落ちひびの入った桜をなぞる 緑川 恵子
9 山肌に樹状突起の伸びるごと白樺白き樹皮の冴さ冴え 鎌田 章子
10 CGのように聳える大雪山わざとらしいほど白、青、白、青 中島ひかり
11 水仙がいたるところに咲きいでてわれの両耳くすぐり始む 柊 明日香
12 我が膝の痛みは軽し決意して受診の朝を迎えし今は 杉本稚勢子
13 末枯れても花の形をとどめおる紫陽花の木に若葉の息吹く 松平多美子
14 水張田に映る美瑛岳のてつぺんに登頂せしごと蛙顔出す 本間久美子
15 つるつるの肌にひかれてまた買いぬ今夜も作る白蕪料理 上野 節子
16 花の絵の切手が貼られ友からの便り届きぬ桜のたより 清水紀久子
17 皐月晴れ利尻の山に残雪の皆に見せたき絶景なりて 風無 光子
18 一心を賭けて為し得た事もなく人の後ろをついて歩み来 安藤のどか