花ごよみ

映画、本、写真など・

つやのよる  井上 荒野

2012-12-19 | 本 あ行(作家)

つやのよる (新潮文庫)

危篤状態に至ったつやと、
何らかの事情で繋がる
複数の男女の物語。

七つの章から成り立っていて、
七人めいめいが語り手となって進んでいく。

つやと関係を持った人達が、
それぞれの物語を進めていく。

そこに登場する人物は
つやと関係した人物と関わったり
本人が直接関わったり色々。

つやが語り手になる章はなく
各章でも、つやという人物については
おぼろげに描かれていて、
そのせいか存在感はなく、
あまり魅力も感じられず、
なんだか不可解な女性。

でもなぜか各章の登場人物達にとっては、
つやは気がかりな女。

登場する人物達もまた魅力はなく、
共感も得られず、
読み進めて行くに連れ
頭の中から忘れ去られる人達。

もやっとした霧の中で、
前へ進んでいく人をとらえようとして
追いかけても、
手を伸ばしても、
すーっとすり抜けていくようなもどかしさ。

行定監督、阿部寛主演で映画があると知って、
初めてこの作家の作品を読みました。
阿部寛がつやの夫を演じます。
映画になるとまた違ったおもしろさがあるかも…

映画のサイトは→こちらです。





コメント (2)
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