kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

日立の憂鬱

2020-03-31 05:18:25 | 日記
日立は選択と集中のお手本の筈でした。確かに事業の選択は進みま
した。日立国際電気、日立工機、日立化成はファンドや事業会社に
持ち株すべて売却しました。日立キャピタルと日立物流は持ち株の
半分程度をそれぞれ三菱UFJとSGホールディングスに売却し子会社
では無くなりました。

一旦本体に取り込んだ旧日立マクセルは再上場後持ち株を売却しま
した。同じく本体に一旦取り込んだ医療機器子会社も富士フィルム
に売却しました。日立ハイテクノロジーはTOBで完全子会社化しま
す。本体の自動車子会社とホンダ系の部品メーカー3社と統合します。

しかし東原社長が掲げる21年度に「売上高9兆2千億円、営業利益率
10%台になり9000億円台の営業利益は18年度に記録した過去最高益
の7549億円を大幅に上回るという目標には既に黄色信号が灯ってい
ます。

統合する予定の自動車部品事業はコロナショックで自動車市場が大き
な影響を及ぼし英調査会社IHSマークイットによると2020年の販売台
数が19年比12%減の7879万台になるとの予想を出しました。現状で
日立の自動車分野の売上高は1兆円です。今期の営業利益率は5%です。
ホンダ系部品会社と統合する新会社への出資比率は三分の二が日立です。

日立は当面営業利益率8%以上を目標として達成できない事業からは
撤退するという基準を設けています。5%の自動車事業は売却でなく
ホンダ系子会社との統合で利益率を高めることを選択しましたが計画
通りの収益改善が実現できなければ目標達成は叶いません。自動車市
場の動向を注意深く見守る必要が出てきました。

最終製品と違ってサプライヤーである自動車事業は完成車メーカーの
販売動向に業績が大きく左右されます。自動車市場が2017年の水準に
戻るのは2026年との見方もあり今後回復に向かうとしてもV字回復は
期待できません。

日立は2018年決算で英国での原発開発からの撤退で3000億円の特損
を出しました。今年度も火力発電事業での合弁相手の三菱重工との和
解で実質5000億円程度の損失が発生する見込みです。確かに収益力は
以前よりも向上しましたが、財務改善は途上です。

また今後インド市場に積極的に投資し成長の原動力にしようとしてい
ますが世界的な景気後退懸念も大きく新興国のインドではモディ改革
での高成長期待も後退しています。欧州市場が主戦場の鉄道事業にも
新型コロナウイルスが欧州で蔓延しているだけに工場も稼働を停止し
ていますから業績への懸念が出ています。

2年後の21年度の目標達成のハードルはかなり高くなってきたようで
す。株価の推移を見てみるとそんな不安が投資家筋から出ているかの
ようです。選択と集中のお手本と株式市場で持てはやされましたが日
立の将来はそんなに安泰ではないようです。
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EV普及にブレーキ?

2020-03-30 09:42:55 | 日記
世界の株式市場にコロナショックが走って1カ月弱経過しました。
この間、各国の中央銀行の追加緩和策や政府による巨額な財政支出
が発表され市場は一旦落ち着きました。しかし根本的な問題である
新型コロナウイルスの感染者は未だに増え続けています。

感染の終息が見えてこない限り財政政策の効果も十分発揮できませ
ん。この以上の経済の悪化を防ぐには一刻も早く感染拡大を押さえ
なければなりません。日本でも感染拡大の一段の広がりで欧州や米
国が実施している都市封鎖が現実味を帯びてきました。

外需産業やレジャー産業など影響が一段と深刻化する可能性もあり
体力の弱い企業中心に淘汰というケースも出てくるでしょう。グロ
ーバル企業に大きな影響が出たリーマンショックとは違い今回は個
人消費に直結する内需系企業により大きな影響が出ることが予想さ
れます。

今後どれほどコロナショックで世界経済がダメージを受けるか想像
もつきませんが、株価を見る限りリーマンショック級或いはそれ以
上だということは想像できます。需要が戻るには数年はかかること
は覚悟しなければなりません。

製造業では特に自動車分野への影響が大きくなりそうです。自動車
業界はCASEと言われる100年の一度の大変革期を迎え各社は研究開
発費の増大に直面しています。CASEの中でもEにあたる電動化が当
面もっとも自動車各社が尽力している分野です。

しかし自動車需要そのものがコロナショックの影響で大きく落ち込
むことが予想されEV社もその例外ではありません。欧州や中国メー
カー中心に大きくEV化に舵を切り多くの車種を投入する予定ですが
需要の低迷で各社が期待した台数には遠く及ばないかもしれません。

そうなると多くの自動車メーカーは一段と苦境に陥るでしょう。好
況の時にはそれほどメーカー間格差は目立ちませんが、販売が落ち
込む局面では強い企業は落ち込みは小さく体力の劣る企業は平均よ
よりも落ち込みは大きくなるでしょう。固定費の比率が高い自動車
産業でコロナショックをキッカケに優勝劣敗が進み生き残るために
業界再編も盛んになりそうです。

各社が掲げていたEVの販売目標を下方修正するのはもはや避けられ
ないようです。それの影響はEVの重要パーツであるリチウム電池や
その素材メーカーにも及びます。EVの急拡大を当て込んで多額な設
備投資をしている企業には逆風が待ち受けているかもしれません。
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質への逃避は続く

2020-03-28 07:26:40 | 日記
今週の東京市場は1万9000円を回復して終わりました。月曜日の
取引が始まる前には1万6000円割れもという弱気な見方もあった
だけにまずは上出来ではなかったでしょうか。もっとも2万円の
壁は思いのほか厚く再び1万7000円割れの心配がなくなった訳で
もありません。

いくら世界の国々が巨額な景気刺激策を打ち出しても感染が終息
に向かわなければ効果も期待できません。パンデミックが発生し
た欧米でいつ感染のピークが来て終息に向かうのかが株式市場で
も最大の関心事です。

勿論それは日本についても言えます。既にオリンピック開催が延
期になりオリンピック特需は期待できなくなりました。延期によ
り多くの分野で期待していた需要が見込めず企業も改めて今年度
の計画を作り直す必要があります。

しかし延期と早めに決まったのは良かったのかもしれません。感
染拡大防止のため時差出勤やテレワークなど企業は対応を迫られ
ていますが、そんな状況で開催まで4カ月に迫ったオリンピック
に向けての準備は時間との戦いになるところでした。多くのスポ
ーツで試合の延期や中止があり、もしオリンピックが予定通り行
われるとしたらかなりきつい日程になったでしょう。

反発に転じた今週の東京市場では先週までの株式といったリスク
資産は換金のためにすべて売り込まれた状況から変化が出てきま
した。27日の年初来高値更新銘柄をみるとドコモや東洋水産、ウ
エルシア、小林製薬、ヤオコーが名を連ねています。コロナウイ
ルス特需それに外出自粛や巣籠り消費がプラスに働く銘柄です。
また自己資本比率の高さそれにキャッシュリッチな企業です。

週前半はこれまで売り込まれていた銘柄が一様に反発しましたが
早くも息切れ気味の銘柄も出てきました。コロナショックが経済
に与える影響は大きく未だ終息の目途も立たない状況ではどのく
らいの業績の落ち込みになるのかさえ正確には分かりません。

年初来高値銘柄が教えてくれることは影響が少ない或いは全く関
係ない企業で財務も健全であり減配など全く心配しなくてよい企
業が今後の物色されるということのようです。上記銘柄以外にも
そんな条件に当てはまる銘柄には資金が向かいそうです。

一方これまでの大型買収で巨額な減損処理が発生しそうな企業や
景気敏感株は当面は投資家から避けられそうです。また同じ内需
銘柄でもコロナショック前まで上昇トレンドだったスシローやす
かいらーくなど外食産業銘柄は外出自粛などもあり人気は離散し
ました。その後の戻りも芳しくありません。

国内での感染者は今後一段と増える可能性が濃厚です。外出制限
も続きそうです。最悪の場合東京都などの都市部の閉鎖も現実味
が出てきました。欧米のように店内での飲食は禁止、持ち帰りの
みOKということになるかもしれません。外食銘柄の多くは自律反
発以上の上昇は当面期待できません。

次回の更新は30日を予定しています。
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丸紅からの教訓

2020-03-27 05:13:18 | 日記
世界の株式市場は取り敢えず際限のない下落から一息ついた格好です。
未曽有の金融緩和と巨額な財政出動が市場を救った格好です。日本市
場がもっとも回復が鮮明なのは官製相場の賜物だけでなく円安に加え
既に年明け以降欧米の株高に追随できなかったことで海外投資家の持
ち高が少なかったこともあったのでしょうか。おそらく様々な複合要
因があったようです。

さて一息ついた株式市場ですが、新型コロナウイルスの蔓延は止まる
ところを知らず完全に経済は麻痺しています。もし東京市場にブラッ
クスワンが現れるとしたら今後東京都で完成拡大が止まらず都市封鎖
が避けられなくなった時でしょうか。政治、経済の中心地である東京
が機能不全になったら大混乱必至です。

小池百合子知事は25日夜都庁で緊急の記者会見を開いて感染拡大への
強い危機感をあらわにし、都民に週末の「不要不急の外出」を自粛す
るよう要請したのは強い危機感の表れです。26日の東京市場が大きく
下げたのはこの会見が都市封鎖の現実味を市場が警戒したからです。

もしバーゲンハントを狙っている投資家だったら買うのは今ではなく
起こる確率は低くても影響が大きくなるそんな時かもしれません。ま
あそんな最悪の事態を望んでいる投資家はほとんどいないでしょうが。

今回のコロナショックで企業間格差は広がりそうです。総合商社の中
でも大手に比べて収益力が劣る丸紅が巨額な赤字に転落するのは世界
的な高景気の中で積極的な事業拡大が仇となりました。資源関連と13年
に買収した米穀物大手のガビロン関連がほとんどです。

2015年と2016年にも1000億円以上の損失を計上するなどリスク管理
が十分だとは言えない企業体質です。企業体力以上の背伸びした経営
に問題があるようです。下位商社には下位商社なりの戦い方があった
でしょうがミニ三菱商事、ミニ三井物産に走ったのが裏目に出ました。
きっと経営体力でき劣る下位商社の生きる術は大手が手掛けないよう
な分野で勝負することだったのではないでしょうか。

経済が好調な時は多くの企業が同じように業績を伸ばすことが出来ま
す。しかし今回のようなショック時にこそ企業のマネイジメントの優
劣が問われます。丸紅だけでなく他の企業にも第2の丸紅が出てくる
ことも十分考えられます。個別銘柄を選ぶ時には値ごろだけでなくど
こにリスクがあるのかなどの点検も欠かせません。
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筋書きのないドラマ

2020-03-26 06:19:32 | 日記
野球は筋書きのないドラマとはプロ野球で名将と言われた三原監
督の言葉です。株式市場もまた筋書きのないドラマのようです。
1ケ月前に誰が欧米で新型コロナウイルスがこれほど蔓延すると
予想したでしょうか。

その結果当初中国の武漢で感染が蔓延しても米国政府そして米国
民は対岸の火事だと判断しNY株式市場は我が世の春を謳歌してい
ました。それからおよそ1カ月後状況は一変しNY株式市場はリー
マンショック以上の暴落に見舞われることになりました。

金融市場にコロナに対しての慢心が広がっていただけにきっとその
後の反動も大きかったのでしょう。究極の安全資産と言われた金相
場さえも暴落し、もはや現金しか信頼できないという風潮が最高潮
に達したのが先週でした。

東京市場は3営業日で2500円上昇と先週までの悲観論が嘘のような
強烈な巻き戻しが発生、久しぶりに世界の市場の先頭ランナーに東
京市場がなりました。先週までの暴落で信用買い残が大幅に減少し
て戻り売りが少ないのも急騰に一役買っています。3月末を控え金融
機関も企業も政府さえも上げ賛成です。

もっとも余りにも急激な上昇には警戒心も必要です。上値が重くな
れば先物主導で一気に売りが膨らみ下げ幅も大きくなるでしょう。
そもそも依然欧米では感染が拡大していて終息の兆しは見えません。
ピークアウトが見えてこなければいくら財政出動の準備が出来ても
経済は回復に向かいません。

短期筋による「噂で売って事実で買い戻す」動きに加えて海外短期
筋によるトレンドフォローの買いが相場を主導しています。とても
移り気な投資セクター主導の相場です。このまま上昇相場が続くと
考えている投資家は少ないでしょう。いずれもう一度下値を探りに
来る動きがあると思って対応すべきです。

25日丸紅は連結最終損益がこれまでの2000億円の黒字から1900億円
の赤字になると発表しました。原油価格の暴落の影響と穀物関連が
下方修正の主な要因です。丸紅ほどではなくとも資源エネルギー関
連銘柄には大幅な下方修正に追い込まれる企業が出てくると予想さ
れます。

日本株は3営業日で3000円と大きく上昇し2万円も見えてきましたが
売り方の買戻し主導の相場では派手に上昇しても短期間で息切れす
る可能性が大です。業績悪をもう一度織り込む場面がいずれありそ
うです。各国の財政出動が巨額なのはそれだけ経済への影響が深刻
な裏返しです。


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