kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

大納会

2022-12-30 07:54:36 | 日記
29日の日経平均が3か月ぶりの安値となる2万6093円(246円安)で終わりました。一時は
2万6000円を割り込む場面もありました。20日の日銀の緩和修正発表以来、日経平均はダ
ウよりも下落率が高くなっています。

今まで日本株の底堅さを支えていた日本の金融緩和と円安といった下駄が外れたことが背
景にはあるのかもしれません。日経平均は2万7000円から8000円のボックスを下離れした
だけにどこで下げ止まるかが次の焦点です。

大納会の今日の東京市場はダウ、ナスダック市場とも上昇した流れを受け反発しそうです。
特に米国市場でテック銘柄が物色されたことで東京市場でもこのところ下落が目立った値
嵩株の反発が指数を支えそうです。

もっとも現在相場の重しになっている中国での感染爆発が年明けには一段と深刻な事態に
なっているかもしれません。感染爆発で経済が下押しされる懸念は高まりそうです。中国
ビジネスの比率の高い企業にはどうしても業績面での不安がぬぐい切れません。

米国市場に比べて遥かに日本市場は中国景気の影響を受けやすいことには注意が必要です。
1月下旬からは決算発表も始まります。全容がはっきりするまで中国関連銘柄からのマネー
の流出は続きそうです。企業の自社株買いや待機資金が多い個人投資家が下値を支えるとい
った観測はありますが、忘れてはいけないのは企業からの持ち合い株売却です。

市場からの目が年々厳しくなる持ち合い株は時価総額の1割あると言われています。自社株
買いの効果を削ぐ可能性はありそうです。またこのところの下げで個人投資家の懐具合は悪
化しています。

信用買い残高も3兆4000億円近くまで増加しています。1月以来の高水準です。評価損率も
23日時点では12.47%まで悪化しています。戻れば売りが出てくる状況は当面続きそうです。
余程、ポジティブサプライズが訪れ海外投資家が大きな買いを入れない限り短期間での回復
は困難かもしれません。

29日付の「機械・電機受注残6兆円」という記事が出ていました。コロナ以降最高だそうで
すが、留意点は9月末時点ということです。既に半導体業界はメモリー市況の悪化で設備投
資を大幅に削減する動きが表面化しています。

中国市場もコロナ規制前と緩和後では状況が一変する可能性も高そうです。今後景況感の悪
化でキャンセル増加が次々に出てくる恐れもあります。変動が大きいのが中国市場の特徴で
す。景況感の悪化で一斉に投資を絞り込むという動きが今後出てくるかもしれません。米国
では金利の天井は大体見えてきました。来年の市場の目は景気にフォーカスされるかもしれ
ません。

年内の更新は今日が最後です。
皆様良いお年を
新年もよろしくお願いします。

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行間を読む力

2022-12-29 06:30:37 | 日記
年末高を出してくる市場関係者の相場見通しが多いのは頭の中で年末高のアノマリーが
刷り込まれているからでしょうか。年初高で年末安を予想しない市場関係者が多いのは
買サイドの見方する傾向が強いことには留意が必要です。

今年の年末高の根拠になった材料に11月の米中間選挙があります。選挙前は民主、共和
のどちらが勝利するかで政策が変わる可能性もあり先行き不安から相場が低迷するけれど
選挙が終われば例え市場が望んだ結果ではなくても不透明要因が解消したことで見通しが
立てやすくなったことが株高に繋がるという。これもイベント通過後のアノマリーです。

しかし結論から言えば今年はどれも当てはまらなかったようです。確かに相場見通しは
難しいのは確かです。今年予想もしなかったロシアのウクライナ侵攻とその結果として
エネルギーや素材価格の急騰でインフレが加速して中央銀行の予想を越えたことから急
激な金融引き締めが行われ世界の市場に下押し圧力がかかりました。

しかしよく考えてみればコロナ対策で世界の中央銀行が未曽有の緩和に踏み切り資産価格
が急騰しました。ナスダック指数はコロナショックの急落を乗り越え2年で指数はほぼ倍
になりました。10年チャートを見れば如何にこの2年の急騰が異常な状態だったか理解で
きます。

「山高ければ谷深し」という格言が投資の世界にはあります。ナスダック市場の代表銘柄
であるテスラは今年7割下落しました。昨年は第二のテスラ探しが盛んになり新興EVメー
カーが急騰しました。老舗の自動車メーカーでもGMやフォードはEVに積極投資をすると
いうニュースだけで大きく上昇しました。そして今年其のバブルがはじけました。

相場の世界ではトレンドを見極め波に乗ることが勝者になる秘訣です。しかしこの波が期
間限定で賞味期限が過ぎればあっという間に損失が出ることがあるのかどうか吟味する必
要があります。成功体験からは何も得られません。失敗体験からしか人は多くを学ぶこと
が出来ないということをいう人もいます。

何事も今の延長線で考えてはいけません。投資の世界では幾つも波がありその波が去れば
見向きもされないことは過去にもたくさんありました。市場関係者が今の延長線上の流れ
しか見えていないとすれば、いずれAIは彼らに置き換わるでしょう。行間を読む力を高め
ないと彼らは生き残れないでしょう。
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成功体験

2022-12-28 06:11:38 | 日記
成功体験が邪魔して軌道修正するタイミングを失うのは産業界や投資の世界でも多いよう
です。2020年から世界中に広がった感染症であるコロナは数々の変異を繰り返し未だに終
息する目途は立ちません。中国が今月突然にゼロコロナ政策を緩和したことで当初は株式
市場も好感しましたが、すぐに感染爆発が明らかになると市場のムードは一変しました。

規制を緩和したから感染が拡大したのか、それとも既にゼロコロナ政策での厳格な規制にも
拘わらず水面下で感染が広がり中国政府も従来の方針を続けられず政策転換したのか。真相
は情報統制が厳しい中国特有のお国事情から現時点では決めつけられませんが、どうやら感
染の広がりの早さから考えると前者の見方が有力なようです。

厳格な行動制限とPCRの頻繁な検査でこれまでコロナを封じ込められていた中国は過去の成
功体験から政策変更が後手に回りました。感染者が一人でも見つかると感染者がいたビルや
マンションをいきなり封鎖するような世界でも例を見ないような政策はやは持続不可能なこ
とが証明されました。来園者ごと封鎖した上海ディズニーランドのケースは大きなニュース
になりました。

株式市場ではラッパのマークの「正露丸」で有名な大幸薬品もコロナで踊りそしてその反動
で苦戦が続く会社です。感染予防対策製品「クレベリン」はもう一つの主力商品です。コロ
ナ禍で感染対策が一躍脚光を浴びることになり空間除菌の効果をうたったクレベリンは特需
に沸きました。経営陣は新工場建設にも踏み切り増産体制を整えました。

しかし消費者庁は「空間に浮遊するウイルス・菌を除去」といった表示に合理的根拠がない
と示され裁判でも敗訴したこともあり特需はあっという間に消滅しました。2021年12月期業
績は黒字から赤字決算に転落し2023年12月期も赤字から抜け出せないようです。

大幸薬品はそれまで堅実経営で自己資本比率も7割を越えていました。しかしコロナ特需が仇
となり身の丈以上の投資に走らせたようです。さらに悪いことに消費者庁による景品表示法に
基づく措置命令が出されたことで商品イメージは地に落ちました。経営への打撃は計り知れま
せん。

余りにも大成功すると方向転換が難しくなるというのは本当に多いと思います。米国市場でも
コロナ禍でのハイテク株高で一躍「ハイテクの女王」と呼ばれた投資会社のキャッシー・ウッ
ド氏も今年は状況は一変しました。投資の世界でも連戦連勝は本当に難しいことです。時代の
寵児と言われれば本人も回りもこの状態が半永久に続くと錯覚してしまうのでしょうか。

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周回遅れの中国

2022-12-27 06:06:29 | 日記
今から3年前、新型コロナウィルスは中国から拡散して世界中に広がりました。あれから
3年経過してコロナウィルスのホットスポットは中国に戻ってきました。諸外国でのコロ
ナ対策を批判してきた中国政府でしたから今更西側諸国のような対策を取ることが難しい
のでしょうか。

何の事前準備もせず、いきなりゼロコロナの政策を緩和した中国では爆発的に感染が拡大
しています。26日の東京市場の戻りが鈍かったのは中国での感染爆発の影響が指摘されて
いました。個別銘柄でも中国関連と位置づけられる日本電産やダイフクが年初来安値を更
新しました。

厳格な行動制限や大規模なPCR検査を止めるのであれば、事前に医療体制の整備とかワク
チン接種の徹底(特に予防効果の高い海外製のファーザーやモデルナ製ワクチンの投与)が
必須でした。何故、事前準備もせずにいきなり行動制限を緩和してしまったのでしょうか。

「ゼロコロナ」政策に戻らなければ、中国経済への影響は限定的という見方をする市場関
係者もいます。当初欧米で実施したロックダウンや日本の行動制限は結果的に経済に大き
な下押し圧力が避けられないというものです。感染の拡大は一時的に防げても経済的損失
が大きすぎるという理由で欧米や日本もウィズコロナを選択しました。

中国の政策変更はその意味では正常化への第一歩かもしれません。しかし、欧米や日本が
ある程度コロナによる感染を制御出来たのはワクチン効果と集団免疫の合わせ技でした。
それでも今日本が直面している第8波のように数ヶ月間隔で感染の拡大と終息を繰り返す
のがコロナです。

中国の今回の感染爆発がどこで一旦終息するかは現時点ではいつか分かりません。効果の
薄い国産ワクチンや感染力が強いオミクロン系統の影響を考えると欧米や日本よりも深刻
かもしれません。

中国がゼロコロナに戻らないのであれば日本同様にいくつもの感染の波が来るたびに国内
景気に少なからず下押し圧力がかかり日本の中国関連銘柄には嫌気した売りが株価の障害
になりそうです。

周回遅れの感染爆発が始まった中国の経済がどこまで耐性があるのか来年の相場を見るうえ
で一つのポイントかもしれません。中国経済が感染拡大の影響でどのくらい影響があるのか
そして日本企業への影響はどの程度なのか。市場がまだ十分その影響を織り込んでいるかは
株価の反応で分かります。2023年も少なくとも1~3月期は視界不良の展開が予想されます。
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会社は誰のモノ

2022-12-25 06:07:32 | 日記
20日の日銀会合で政策変更の発表が行われて以降、日経平均は一段と調整色を強めました。
これまでの下値抵抗線だった2万7000円前半を抜けていこう一気に下落が加速しました。
既に2週間で1700円程度下落したことから今週は大納会までに何とか底値固めをしたいとこ
ろです。

掉尾の一振期待が一気に冬景色になってしまった東京市場です。年初も波乱含みという覚悟
は必要のようです。これまで日銀の緩和政策を頼りに円安が一定の日本株の下値抵抗を支え
てきました。しかし日銀の政策変更でトレンドは確実に円高方向へ変わったようです。130円
を年明けに突破するようなことがあると日経平均のもう一段の下げも覚悟しなければなりま
せん。

日経平均は11月以降5週に渡って2万7000円前半から8000円前半のボックスで推移してきたこ
とから個人投資家は2万7500円を割り込むと押し目買いを入れてきました。信用買い残高は
12月16日までの1ヶ月で1割増加して3兆3354おくえんまで膨らみました。この水準は3月以来
の多さです。

先週2万7000円を割り込む過程で個人投資家は信用買いを膨らませたのか、あるいは損切りし
てしまったのか。前者なら今後反発したとしても上値では売り圧力が高まるでしょう。一方後
者なら一段の需給悪化は避けられそうです。現物株と違って信用買いは基本6ヶ月で決済しな
ければなりません。

個人投資家の強みである時間を買うというアドバンテージが得られない取引です。品受けとい
う手段で現物で長期保有する手段はありますが、手持ち資金が限られれば利益がある現物銘柄
や損切りしても損の少ない銘柄を売却して現金化しなければなりません。いずれも市場の需給
悪化を伴います。

今回のように結果的にコロナ禍での大相場が一段落したという見方なら収益による選別が今後
ハッキリしてきます。収益の裏づけに乏しい銘柄やかなり割高感の強い銘柄は当面の戻りは限
定的になるでしょう。

例えば日本電産株コロナ禍で株価がほぼ倍になりましたが、2020年から2023年3月期見通しで
は2倍に経常利益は増加していますが、2018年に比較すれば2割程度の増益に止まります。主に
株価の上昇はバリエーションの切り上りによるものです。EV関連というテーマに乗ったことが
一番の追い風になりました。

しかし既にEV関連というテーマだけでは株価へのインパクトは剥落しました。それに日本電産
特有の問題が投資家の失望を強めたことも株価下落の背景にありそうです。永守会長は後継者
候補として外部からスカウトした関氏を結果的に2年で首にしました。株価下落が解任理由の
一つという見方もありましたが、市場環境の悪化もあるでしょうが、その後も株価低迷は続い
ています。

関氏以前も吉永氏など後継候補として向かい入れた人材をことごとく失格の烙印を押してきまし
た。永守会長は外部からの招へいは断念して内部から後継者を選ぶという方針に切り替えました。
結局三顧の礼で迎えた人材を生かしきれなかったことで日本電産の後継問題は振出しに戻りました。
きっと企業統治不全が海外投資家の不興を買ってしまったことが株価不振の原因でしょう。

続きは次回の更新27日にします。

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