kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

エルピーダ破綻を考える

2012-02-29 00:23:53 | 日記
2月時点でのエルピーダの破綻は少々意外感がありました。資金繰りが
苦しくDRAM市況の急回復も期待できない現状でも坂本社長なら今回も
何とか最悪の事態は避けられると思っていましたが、社長が一番当てに
していたであろう米マイクロンとの提携話がCEOの事故死により頓挫して
しまったことがとどめを刺す形になったようです。

半導体業界の中でも価格変動の激しいDRAMはエルピーダだけでなく多
くの企業が赤字を垂れ流しているのが現状です。数年前の不況の時には
独シーメンスからスピンアウトしたDRAM専業メーカーのキマンダが破たん
しています。急激な円高やタイ洪水でHDD生産の停滞からPC需要が低迷
したのも誤算の一つでしょう。また台湾が国策でDRAMメーカーを支援して
いて台湾企業の淘汰やエルピーダとの統合が台湾当局との利害関係の溝
を埋めきれなかったことも誤算でした。まあ原因は他にもいろいろあるでし
ょうが、改めて半導体ビジネスの難しさを痛感しました。

DRAMはかつて日本勢が世界シェア8割を占めていて大手電機メーカーが
こぞって参入した分野です。一時は世界市場を独占していたのに、いつの
まにかマイナーな存在になった日本企業これと似た構図が液晶パネルで
あり太陽電池です。いずれの業界にも共通することは巨額の設備投資が
必要であり他社よりもいち早く量産体制を整えて利益を確保して投資を早
期に回収して次世代製品をいち早く市場に投入しないと競争に負けてしま
うことです。

液晶パネルも太陽電池も5年ほど前は日本の独走状態でした。技術的にも
先端を走っていたと思います。しかし市場の急拡大とともにアジア勢がもの
すごいスピードで追い上げあっという間に抜かれてしまいました。太陽電池
の低価格化も急速に進んでいます。このままではDRAMの二の舞いになる
懸念は決して小さくありません。

日本企業がアジア勢に比べて為替や税制など数々のハンデを背負って競
争するにはこのビジネスモデルはリスクが高いように感じます。エルピーダ
の破たんを目の前にして液晶や太陽電池業界の今後が大変気になりました。
この際、日本企業が本当に強みを発揮できる分野かどうか企業はもう一度
考えるべきです。アジア企業と真っ向真剣勝負もいいですが、参入障壁が
低い事業はどうしても過当競争になります。

三菱電機は携帯電話やDRAMなど次々に撤退して強みであるメカトロと電力
事業に経営資源をつぎ込みました。今期は減益ですがそれでも1000億円の
純利益を上げています。デジタル製品の下落で苦しんでいる家電各社の生き
残りのヒントがこの辺にありそうです。
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上昇の継続性

2012-02-28 08:31:23 | 日記
週明けの東京市場は円相場の一段の下落(81円台)を好感して一時
9700円を回復しました。対円だけでなく対ユーロでもこのところの円の
下落には拍車がかかっています。ちなみに1月20日には1ユーロ100円
でした。1か月後の2月27日には一時109円台までユーロ高が進みました。
ユーロ/ドルでみても1月20日1ドル1.2971でしたが今月27日には1.34台ま
でユーロまでドル安ユーロ高は進んでいます。

この急激な円安で今まで大きく売り込まれていた自動車に加え電機、精密
それに金融株が大きく上昇しました。また為替の感応度の高いことで有名
や任天堂、3DSの販売不振もあり今期大幅な赤字決算になると1月26日
に発表した翌日の株価は一時1万円割れの9910円とザラバ安値を付けま
したが、その日以降株価はじり高で推移、円安に反転した15日以降上昇
に弾みが付き27日には一時1万3千円まで戻しました。何とこの1ヶ月で
30%上昇した計算になります。

長期下降トレンドだったパナソニックにしてもソニーにしても旭硝子にして
も2月2日から風向きが変わったようです。2日は東証の売買システムが停
止して200銘柄を超える株の午前中の取引が出来なかった日です。東証
システム停止で混乱していた市場で静かに変化の芽が出てきた日だった
のです。ソニーが2200億円の最終赤字を発表して多くの市場関係者は年
初来安値更新もあり得るとの予想に反して3日の株価は107円高しました。

この日を境にこれまで売り込まれていた電機や液晶素材を手掛ける化学
株など多くの株価が底入れから目先反発局面に移行しました。まさにこの
日が出遅れていた日本株反転のターニングポイントだった訳です。

現在の日経平均を牽引している銘柄群は多くがこのグループです。一段
の円安とともにこのグループの株価は上昇ピッチを先週半ば以降は早め
る展開になっています。業績から見てこのグループは上昇に半信半疑だ
ったことから結果として大きく値を戻したのでしょう。期待値が低い分少し
の好材料でも時として大きく上昇するケースが今回です。投資の難しさが
そこにあります。

この2週余りNY市場は一時1万3千ドルに乗せましたがほとんど足踏み状
態です。東京市場の急激な上昇の援軍は円安だったことは間違いありま
せん。円安基調が崩れない限りまた外国人投資家の買い越し基調が途
切れない限り東京市場は堅調に推移するという見方はベースにあるかも
しれません。

一方、NY市場の上値の重さは節目の1万3千ドルを一時越えたという達成
感と欧州財政危機の目先小康状態になったことでの材料不足もありそうで
す。週明け27日も一時1万3千ドルに乗せましたが、引けでは大台を守るこ
とは出来ませんでした。このところの原油高で車社会の米国の個人消費の
今度が気になるという見方もありそうです。日本株上昇の背景の大きな要
因は円安ですが、米国経済の回復もそれを支えていたことも事実です。原
油高で米国の個人消費に悪影響が広がるのかどうかNY市場の株価の動
向には今まで以上に目が離せません。
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世界標準

2012-02-27 08:40:59 | 日記
ガラケーがなぜ携帯端末で世界に浸透しなかったのでしょう。おそらく
機能的には当時の先端を走っていたことは間違いありません。しかし気
が付いてみたら高機能携帯で世界に受け入れられたのはスマホでした。
スマホは世界共通標準でアプリを追加すればいろんな楽しみ方が出来
ます。例えるならガラケーがワープロ、スマホはPCという位置づけでし
ょうか。

世界標準を取れなかったガラケーは日本では受け入れられましたが、世
界のトレンドにはなれませんでした。日本の端末メーカーがアップルやサ
ムスン電子に大きく水をあけられた背景にはスマホへの取り組みが後手
に回ったことです。ソニーがトリニトロンといブラウン管技術で優位に立っ
ていたばかりに液晶で出遅れた構図がそこにあります。

いくら技術的に優れていても世界標準を取れなければグローバルな市場
では勝ち目はありません。これからは携帯端末にしてもPCなど情報機器
にしても成長の市場が先進国から新興国に移ります。いかに新興国でシ
ェアを伸ばせるか日本企業も含めて激しい競争が待っています。新興国
では購買力からハイスペックな商品よりも性能はそこそこで手ごろな価格
が求められています。ともすると日本企業の製品は多彩な機能を売りにし
て製品を作りこんでしまう傾向が強いようです。それは新興国市場で受け
入れられる商品とは時としてかけ離れたものになっている場合が多いよう
です。

日本ではエコカー補助金の復活もありHV車が売れ筋商品になっています。
その背景にあるのは国内販売で40%を越えるシェアを持っているトヨタが
HV車に力を入れていることと無関係ではありません。ホンダもHVの小
型車を目玉商品にして攻勢をこけています。しかし世界に目を向けると環
境車イコールHV車ではないようです。昨年の米国市場のHV車の販売台
数は30万台、市場シェアはわずか2%です。世界一の自動車市場となった
中国ではわずか3千台です。

自動車業界でもこれからの成長市場は新興国です。新興国では環境車と
言っても低燃費技術のガソリン車が当面主役です。VWは小さなエンジン
にターボチャージャーを組み合わせて走りと低燃費を実現しました。この
TSIという技術はコストや技術的にHV技術よりも新興国メーカーに受け入
れ安いのが特徴です。HV技術が日本メーカーだけのガラパゴスの技術に
なってしまうのかその成否はひとえに環境車の国際標準になれるかどうか
です。日本メーカーの戦略が注目されます。
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意外な顔ぶれ

2012-02-26 15:49:08 | 日記
先週の東京市場で特に目立ったのはあれだけ業績不振で叩かれた
電機銘柄の株価復調です。ソニーやパナソニックのセットメーカー
だけでなく太陽誘電やアルプス電気など部品株まで今月の上昇率は
今期V字回復が期待できる自動車株を凌ぐ上昇率です。

「谷深ければ山高し」とはよく言ったもので年初来安値からの上昇率
は40%前後に達しています。自動車に比べて電機の業績回復には
疑問符がついていましたからここまでの上昇は本当に意外でした。
まあそれだけ期待が低いところに円安の加速などの好材料の追加で
上昇に弾みがついた格好です。また信用取組の好転など支援材料が
重なったことも上げの背景にあると思います。

ただし今は需給関係の良さやリストラによる業績好転期待先行で買
われている状態です。週末には一段と円安が進み週明けの株価は
上値追いの展開になるでしょうが深追いは禁物かもしれません。
市場では外国人投資家の買いが続いていることから3月中にも日経
平均は1万円を指すという強気の見通しも出てきました。

もっとも上昇過程でかなり好材料を織り込んだ状況であるのも事実で
す。円安だから輸出株がどこまでも買われる訳ではなくリターンリバー
サルで動いているならば輸出株と正反対な位置に属する銘柄のチェッ
クも必要かもしれません。

当初9500円越えの上昇には少なからず懐疑的な見方が多かったよう
です。それが数年来の低水準の信用買い残に対して高水準な売り残
にあらわれています。それだけ多くの市場関係者の予想を超えた上昇
だったのでしょう。改めて予想の難しさを感じました。
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円安がすべてを救える訳ではない

2012-02-25 08:40:40 | 日記
日本株のこの1週間の力強い上昇は第一に円安への転換、第二にNY
高です。日本の輸出依存度は確か20%くらいです。同じアジアでも韓国
や台湾が50%を越えているのに比べれば低いのが現状です。それでも
円相場に株式市場が一喜一憂するのは日本は大手企業に輸出企業が
多いからです。

失われた10年とか20年とか言われこの間日本は低成長を余儀なくされ
ました。もっともGDPの絶対値はまだ世界3位の訳でそのなりの国内市
場の規模があります。自動車市場にしても成長著しい中国や米国市場
に比べれば四分の一とか三分の一の規模です。それでも絶対数は世界
的に見れば大きい市場です。

欧州のメーカーや米国勢が日本市場で販売を伸ばそうとしているのも
市場として一定の規模があるからです。成熟した日本市場では個性の
違う輸入車のシェアはまだまだ伸びる余地はありそうです。為替リスク
のない日本市場で国内各社も得意のHVや低燃費車それに軽自動車で
販売の底上げを狙っていることは明白です。これからも限られたパイの
奪い合いから販売競争は激化しそうです。

もう一方の輸出産業である電機業界は岐路に立たされています。今期
の大幅赤字の原因は東日本大震災それにタイ洪水と円高であることは
明らかですが個別企業で見ると構造上の問題を抱えている企業が少な
からずあります。国際競争力のある企業や事業を抱えている企業は80
円台の円相場が続けば来期の業績は世界経済の余程の混乱がなけれ
ばかなり回復するでしょうがアジア勢との激しい価格競争の続く事業が
主力の企業には円安メリットも特効薬にはならないかもしれません。

期待の太陽電池も技術的な優位性よりも価格勝負へと競争原理が変わ
りつつあります。国内市場という比較的安定した市場で黒字を維持して
きた国内各社にとって政府の自然エネルギー推進は追い風であると同
時に海外メーカーが日本市場の成長を当て込んで一斉に販売攻勢を
仕掛けられる負の部分も表面化しつつあります。

ポスト円高修正局面では本当の企業の競争力が試されます。東京市場
は日本株のPBRの低さや円高修正での業績回復期待で幅広い銘柄が
水準訂正しています。しかし割安感が修正されたのちに大事なのは個別
企業のキャッシュを生む力です。投資銘柄として企業を見極める目利き
がこれから増々重要になってきます。
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