kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

デルタからオミクロン

2021-11-30 06:10:00 | 日記
日経平均の年内高値更新の可能性は消滅してしまったのでしょうか。南アフ
リカで発見された新たな変異種はWHOから警戒レベルの高い「懸念される変
異株」に指定 されオミクロンと名付けられました。欧米をはじめ世界各国は
早々に入国規制に踏み切りました。日本も追随しました。水際対策の強化は
経済への影響は皆無ではありませんが、今回の決定は適切だという見方が多
かったようです。

先週前半まで世界の市場関係者の関心事は原油価格やそれに伴う米国でのイン
フレ懸念とFRBの金融政策でしたが、オミクロンの感染力の強さやワクチンの
効果や治療薬への影響などに当面はシフトしそうです。

デルタ株の置き換わった時にインドや日本など各国は感染者の急増に見舞われ
ました。オミクロンへの警戒心が高まるのは当然です。日本では足元の感染状
況は落ち着いていますが、ドイツや東欧それに韓国の感染者数は今月過去最高
に達しています。

それに加え新たな変異種の拡大が起これば経済正常化への道は再び遠のきます。
先週世界の市場で空運セクターや旅行・レジャーセクターが大きく売り込まれ
ました。世界ではクリスマス、日本ではこれから正月を迎え人出の増加が予想
されますがどのくらい影響を受けるのか現時点では見通せません。予期しない
出来事があった訳ですから最初の動きはリスク資産を圧縮するというのは当然
の動きだだったようです。

再び世界的な感染爆発が発生するという悲観的な見方が出るかもしれません。
経済再開銘柄にとっては再び試練の場面かもしれません。海外投資家は12月
中旬以降クリスマス休暇に入ります。市場参加者が限られ値動きが大きくな
ります。

信用買い残は19日時点で再び3兆5000億円台に乗せてきました。感染の拡大
次第ではリスク資産からの逃避から下げが加速する懸念もあります。一方オ
ミクロン株も感染力や致死率はデルタ株程度でありワクチンの効果も変わら
ないというシナリオで大幅な調整は避けられるということもあるかもしれま
せん。

筋書きのないドラマである市場の動きを予想するには元々難しいミッション
です。投資家個々のリスクの許容範囲もまちまちです。自分でコントロール
できる範囲のリスクなら波乱相場もそんなに恐れる必要はありません。

この2年近くで新型コロナに対抗できる武器は増えてきたのも事実です。みん
なと同じようにパニック売りに走れば大底を叩くことにもなりかねません。
昨年3月や2011年3月の教訓を生かさなければいつまでたっても賢い投資家に
なりません。
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人間万事塞翁が馬

2021-11-27 06:23:02 | 日記
※お詫びと訂正
26日分の更新が出来ていなかったナスダック指数を表記しました。
文章への訂正も含めて更新します。

26日南アフリカで新たな変異種が発見されたというニュースがキッカケに
なり世界の金融、商品市場は急落しました。NYダウは年初から先週末まで
16%上昇していました。ナスダック指数は25%、WTIは昨年末時点の48ド
ルから一時80ドルを超えていました。高値から下落したとはいえ先週末時
点でも56%の上昇でした。円相場は103円から114円と1割も円安が進みま
した。

急激なポジションの巻き戻しが一斉に発生し大きな変動になりました。新
たな変異種の出現でシナリオの書き換えは必要なのでしょうか。年初から
調整らしい調整が無かったことが大きな反動になった側面もあるでしょう。
原油にしても円相場にしても株式と同じように目先筋はポジション解消を
先行させたようです。

もっとも新たな変異種がどの程度脅威なのかは現時点で詳細に分かっている
訳ではありません。ワクチンの効き目や治療薬の効果が低下するという見方
から金融市場に激震が走りました。しかしこれほどまでに大荒れになった原
因はここまでの一方的な金融市場や商品市場の動きだったのではないでしょ
うか。

米株は今年10%を越える調整をしてきませんでした。原油価格も5割を超える
棒上げ状態でした。円相場も年始の予想に反して一方的に円安が進みました。
市場は米国の雇用情勢や金融政策などに関心が向いていました。ブースター
接種の開始や飲み薬の実用化でコロナそのものへの警戒心は低下していました。
誰もが予想していない新たな変異種の登場という一報がキッカケになりポジシ
ョンの巻き戻しに繋がったようです。

今回の変異種騒動は市場にとってはミニブラックスワンだったようです。もっ
ともナスダック指数がプラスで引けたように現時点ではマネーが株式市場から
一斉に退場した訳ではありません。変異種の詳しい解析結果は2週間程度で判明
するとの報道もあります。市場心理が悪化してしまっただけに当面はボラの高い
展開も予想されます。

多くの市場関係者が予想していた年末までに日経平均が3万1000円程度まで上昇
するというシナリオは現時点ではかなり厳しくなってきました。一方原油価格や
円安の修正は日本国民としてはモノの価格高騰の歯止めになることで歓迎です。
また投資家にとっては大きな調整局面では内容の良い銘柄を適切な価格で仕込む
チャンスでもあります。

次回の更新は30日を予定しています。
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割安の罠

2021-11-26 06:46:29 | 日記
膠着状態を続ける東京市場は今後上昇のキッカケを掴めるのでしょうか。騰
落レシオは足元で80を割り込んでいますからこの水準から大きな下げは当面
は考えづらいという見方があります。4~9月期の純利率は過去最高の6.2%と
いう記事でも分かるように数字からは弱気は不要なのかもしれません。

もっとも4~9月期は会社側の想定を超える円安で利益が膨らんだ結果の好業
績という見方もできます。トヨタは円安効果で上方修正になりましたが、円
安が無ければ下方修正に追い込まれたということを四半期決算発表で示して
います。また半導体不足での大幅減産は業績を押し下げましたが、米国では
品不足で販売奨励金が低く抑えられたことから1台当たりの利益が増加しまし
た。

コロナ対策による給付金の支給でローンの貸し倒れが減少して金融部門の収
益改善も利益を押し上げました。またコンテナ市況の歴史的な急騰で利益が
大幅に増えた海運3社やアジアでの鉄鋼市況の好調で過去最高益をたたき出し
た日本製鉄など鉄鋼各社は数年前までは構造不況の代表業種でした。

コンテナ市況の高騰も米国で港湾での荷揚げの混乱や運転手不足によるトラッ
ク輸送の混乱などが大きな要因です。ボトルネックがコンテナ運賃市況の高騰
ということでありいずれ正常化すると考えれば市況はバブルだったと数年後に
は言われているでしょう。

海運や鉄鋼や化学など市況高による業績押し上げ効果が過去最高の利益率の大
きな要因であったことは間違いありません。市況動向による業績のブレを考え
ると実力以上の利益だった可能性もありそうです。数字の裏にある内容をよく
吟味しないで割高とか割安とかの判断を下すのは危険です。

海外投資家が本格的に日本株買い出動に動き出すには足元の業績動向だけでな
く持続的に利益が伸ばせるのか答えが見つかった時かもしれません。海運3社の
チャートを見る限りコンテナ市況暴騰による利益押し上げ効果は既にピークを
迎えた可能性がありそうです。

9月以降海運銘柄が急落した後に反発する局面で配当利回りの高さを囃す場面が
ありましたが、配当利回りで買える銘柄は業績が安定している銘柄であり減配
リスクの少ない銘柄です。今期の海運3社は大幅増配や復配をしましたが、この
配当水準を来期以降も続けられる可能性は低いでしょう。割安株にはそれなりの
理由があります。内容を吟味してから投資判断をすべきです。
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市場環境点検

2021-11-25 07:20:59 | 日記
日経平均は9月以降、初旬から中旬にかけて高値を形成し月末にかけて軟調に
なる展開を続けています。どうやら11月もそのパターンを繰り返しそうな展
開になってきました。パウエル氏の再選が決定的になりよりハト派と市場か
ら見られていたブレイナード理事は副議長という人選になり市場では利上げ
前倒しが優勢になってきました。

24日公開されたFOMCの議事録でテーパリングの前倒し終了や利上げ前倒し
について議論されたことが明らかになりました。株式市場は来年の利上げ織
り込みを行う必要がありそうです。現在は債券市場に比べて株式市場は利上
げの織り込みが十分ではないという見方があるようです。

金利上昇で割高感の強いナスダック市場は22日に16212の高値を付けてから
一転下落に転じました。インフレ懸念から債券市場は来年6月利上げ開始、そ
の後も2回の利上げ見通しという流れになっています。債券市場に比べて利上
げへの警戒心が低い株式市場で今後利上げ織り込みが進むのでしょうか。状
況次第では12月相場への影響は避けられません。

欧州ではベルギーが都市封鎖に踏み切るなど特にドイツやフランスそれに東
欧地域での感染者数の増加が際立っています。南欧のイタリアやスペインの
足元の感染者数、死者数とも落ち着いています。しかし今後クリスマスなど
で人の移動が増加すると欧州全体に感染拡大が広がる可能性もあります。

米国でも再び増加の兆しが出ています。感謝祭やクリスマス休暇で人の往来
が増える季節を迎えました。ワクチン接種率が頭打ちになり感染が広がりや
すい状況になっています。飲み薬の実用化などもあり経済への影響を考え昨
年のようなロックダウンの可能性は低いでしょう。しかしレジャーや旅行関
連業界には再び逆風が吹く懸念は高まっています。

経済回復の足踏みは金融引き締めの先送りに繋がり特にハイテク銘柄には追
い風となりますが、投資指標面からは既に割高感の強い銘柄の一段の上昇は
反動も大きくなり諸手での歓迎もできません。

日本市場に目を転じると米株の上値が重くなれば出遅れ日本株に海外投資家
が資金を投じるキッカケになるという見方もあります。一方米株が大きく調
整する局面では株式市場全体に下落リスクから日本市場も影響は免れないと
いう見方もあります。


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主役はやはりあの業界

2021-11-24 07:35:34 | 日記
10月以降米国株式市場を牽引したのは半導体銘柄でした。SOX指数は3200
から今月3900を越えました。上昇率は21%ですが、僅か2ヶ月間での出来事
です。半導体を含むハイテク銘柄中心のナスダック指数は14200から16200
まで14%の上昇でした。

もっとも半導体銘柄ならすべて上昇した訳ではありません。マイクロソフト
とともにパソコン時代を席巻したインテルは同期間に1割下落しました。昨年
の高値からは2割も低い水準です。代わって市場の主役の躍り出たのはエヌビ
ディアでした。2ヶ月で6割上昇しました。過去1年では3倍でした。時価総額
は日本円換算で90兆円を超えています。半導体業界の主役は完全にインテル
からエヌビディアに変わりました。

残念ながら日本にはエヌビディアのようなロジック半導体企業の有力企業は
存在しません。メモリー半導体のキオクシアが残っているだけです。しかし
汎用メモリーは市況の変動で大きく収益動向が変動します。同じメモリーで
もDRMの収益性が高いのは大手3社寡占のDRAMに比べ6社体制で競争が激し
いフラッシュメモリー業界の現状が起因しているようです。

日本企業は半導体分野ではシリコンやレジスト、フォトマスクなど材料分野
での強みは残っています。もっとも世界一の塩ビ事業などを手掛ける信越化
学を除けば売り上げ規模は大きくありません。製造装置の東京エレクトロン
は米アプライドマテリアルと並ぶ大手という地位を築いている数少ない企業
です。検査装置ではアドテストも世界では有力企業です。

先端半導体の製造に欠かせない「EUV(極端紫外線)露光技術」に対応した
マスク検査装置のレーザーテックは1年間で株価が3倍になりました。足元の
PERは135倍です。東京エレクトロンが24倍ですからその期待の高さが分か
ります。インフレが進行しても原油などエネルギー価格が上がってもやはり
市場の拡大が期待できる半導体は有望なのでしょう。

もっとも先端産業だからこそ競争も激化しています。勝ち組であっても会社
の舵取りを間違うとあっという間に転落します。エヌビディアも半導体受託
生産生産世界一の台湾のTSMも10年前はメジャーな存在ではありませんでした。
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