kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

名門企業のMBO

2023-11-30 07:23:04 | 日記
29日の日経平均は円高を嫌気して自動車銘柄など売りが出て小幅に下落して始まり一時は
200円安程度まで下落しましたがその後は買い直されプラス圏に浮上しました。11月相場は
大きく上昇し年初来高値に更新して現在は小休止といったところでしょうか。

大きく上昇した月は月末には売りも出やすくという見方もあります。また一方先高観も続い
ていることから下値では買いも入り一方的な下落もないのでしょうか。今日は月内最終売買
日です。米株の小幅下落で寄付きから軟調な展開が予想されます。月末のポジション調整で
下げ幅が広がる懸念もあり注意も必要です。

人気投票で株価が決まるという傾向があるようです。29日の市場ではアパレルのファースト
リテイリングやしまむら、西松屋が10年来高値を更新しました。このところの冷え込みで冬
物衣料の売れ行きが伸びるとの見方を市場はしているようです。11月は小売りや外食などの
銘柄に人気が集まりました。

もっとも気温の低下で冬物衣料の売れ行きが良くなるというのは一過性の材料です。既に株価
水準が切り上がっているだけにさらに高値を追うというのはどうでしょうか。相場の方向感が
定まらない状況で個別株物色は今後も続くでしょうが。さて12月相場ではどんな銘柄が人気化
するのでしょうか。

このところのMBOの増加や上場子会社を完全子会社にする動きも今年の特徴の一つです。先日
MBOを発表したベネッセも大正製薬も今年は全く人気の圏外でした。背景には業績低迷がある
訳です。MBO価格も大きくプレミアムを付けていますが過去の高値をそれでも大きく下回って
いることです。また両社の共通点は株主にオーナーの資産管理会社が名を連ねていることです。

市場からの低評価が続く企業で解散価値を大きく下回る企業には今後第2、第3のMBOが出てく
るのでしょうか。BPR1倍割れで構造改革が必要な銘柄には物言う株主のファンドから狙われる
可能性が高いようです。

うるさ型のファンドからの要求を受ける前に市場から退出して自分たちのペースで経営改革を
したいという経営陣は存在するでしょう。上場子会社の完全子会社化やMBOは来年も市場の話
題になりそうです。

もっともMBOが会社再生に繋がるかは別問題です。ベネッセはライバルの台頭もあり主力の進
研ゼミ受講者減少が続き苦境がここ数年続いていました。また大正製薬HGも大衆薬市場の伸び
悩みから業績不振が続いていました。MBOで市場からの声を気にしないで経営改革が出来ると
言いますが、果たして上場しているから経営改革が進まなかったのでしょうか。

同じ名門のアパレル大手のワールドはMBO後再び上場しましたが、直近3年は株価低迷から抜け
出せず時価総額はMBO前を大きく下回っています。ベネッセも大正製薬も本業の立て直しは決し
て容易いことではないのではないでしょうか。

※ 明日の更新は所用のためお休みします。
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今は昔、「掉尾の一振」

2023-11-29 06:24:23 | 日記
今年の日本株は大発会で2万6000円割れから始まり先行きが不安視されましたが、4月以降
ボックス上限の2万8000円を悠々と越えてからは弾みが付き6月には一時3万3000円台を突
破しました。

その後は3万500円前後を下値に上値は3万3000円程度を上値でボックスを続けてきました。
途中3万円割れという懸念もありましたが杞憂に終わり11月はこれまでのところ11月として
は好成績で終わりそうな状況です。

年末高を予想する見方もありますが、米国市場次第でしょうか。2000年以前は株式市場では
「掉尾の一振」という言葉がこの時期には盛んに出てきました。しかし海外投資家の売買比
率が高まるにつれて12月は前半までに高値を付ける場面も増えました。

海外投資家はクリスマス休暇の前にポジションを傾向があります。休暇中のリスクを抑える
目的です。特にその年の株式市場が11月までに上昇していれば利益確定売りで現金化して新
年の相場に備えるという行動に繋がります。お正月前に景気づけで株高になった日本人投資
家主体の相場とは様変わりしたということでしょう。

もっとも大きく上昇した今年の日本株ですが、半導体株、商社株、銀行・保険株を持ってい
たかで大きく投資成績が違ってきました。インバウンド銘柄も5月以降の訪日観光客の回復は
予想以上でしたが、百貨店などの小売り株を除けば明暗が分かれました。空運や電鉄は年初
来の上昇率は低く日経平均の上昇率を下回りました。

一方今年は外食セクターの上昇が目覚ましくトリドールやゼンショー、すかいらーく、吉野
家など外食銘柄が大きく上昇したのとは大きな違いが出ました。さて今年も残すところ1カ月
余り値上がり率の低かった銘柄にも光が当たるのでしょうか。

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変わる日本企業

2023-11-28 07:19:39 | 日記
少子高齢化が進み人口減に歯止めがかからず潜在成長率が低い日本経済には悲観的な見方が
数年前まで声高に叫ばれていました。企業も競争力が低下し韓国や中国企業に市場を奪われ
デフレ経済からの脱出は先の見えない状況でした。

かつては液晶パネルや太陽電池で世界をリードしていた分野でも海外企業の猛追を受け次々
に日本企業は市場を失いました。総合電機メーカーの一事業部である液晶や太陽電池は海外
の専業メーカーに比べて経営判断が遅く当初は優位であった技術も後れを取るようになりま
した。

日本経済の地盤低下とともに株式市場も割安だけど魅力がない市場だとみなされ投資マネー
が日本を素通りするジャパンパッシングという言葉まで出てきました。過去には安倍首相の
下で異次元の緩和で日本株が息を吹き返した円安株高が進んだアベノミクス相場がありまし
た。当初は海外投資家が日本の変化を期待し日本株を大きく買い越しましたが安倍政権後半
には売り越しが続くようになりました。

結局未曽有の金融緩和で円安に転じたことで輸出企業中心に企業収益は好調でしたが、永く続
きませんでした。日本企業の多くは低収益事業を抱えて結果的に資本効率が低く稼いだ資金を
投資や株主還元に使うでもなくため込む経営から脱せなかったことが大きな原因だったようです。

海外の投資家が重視するROEは海外企業と比べて見劣りする状況が続き経営陣も売り上げの伸
びには関心を示すが、資本効率の改善には無頓着なところが多かったようです。しかし、どう
やらこの状況にも変化が出て来たようです。海外の大手投資家や物言う株主から日本企業の姿
勢は大きく変わってきたという指摘が多くなってきました。

パナソニックが低収益の自動車部品事業の売却を発表し、大きな成長が期待できる車載用電池
事業の拡大に資金を振り向けることが明らかにありました。株価低迷が目立っていたベネッセ
や大正製薬HGがMBOを発表しました。

経営者にも自社の株価低迷を放置できない流れになってきました。不採算や低採算事業の売却や
業界再編に繋がるM&Aがさらに活発化する可能性も出てきました。これまで遅々として進まなか
った日本企業の構造改革が本格化しそうです。

海外投資家は日本株への関心を一段と強めています。一方来年は米国金利の低下で円高が進むの
か、米国景気が予想以上に落ち込むのか。日本企業では円高への転換と耐久消費財としての自動
車販売の失速が懸念される自動車セクターには注意が必要なのかもしれません。


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マグニフィセント・セブン

2023-11-25 12:08:34 | 日記
GAFAMと呼ばれるアルファベット(GOOG)、アップル(AAPL)、メタ・プラットフォームズ
(META)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、マイクロソフト(MSFT)の5銘柄に、エヌビディア
(NVDA)とテスラ(TSLA)を加えた7銘柄を指すマグニフィセント・セブンが投資の世界では今年
のトレンドだったようです。

今年ここまではS&P500種の上昇のほとんどをこの7銘柄が占めています。市場には一部の銘柄
だけの上昇が支えた株高の脆さを指摘する見方もあるようです。もっとも株価上昇の大前提は
業績です。高成長が期待でき時価総額の大きなこの7銘柄は大量の資金を運用する投資家にとっ
ては頼もしい存在なのかもしれません。

日本市場にはマグニフィセント・セブンのような銘柄は見当たりません。エヌビディアやSOX指数
が上昇すると東京エレクやアドテストの半導体製造装置や検査装置メーカーの株価や信越化学など
の半導体材料メーカーが上昇することで225指数を押し上げます。

もっとも日経新聞の記事にもあるように半導体セクターでもメモリー主体の企業は大口顧客である
PCやスマホメーカーの業績改善が遅れて在庫も思うように減少していないようです。市場は現在が
底であるという見方が大勢ですが、いつどこまで回復できるかは見通しが付きません。

半導体ウエハやレジストメーカーは生成AIの需要急増もPCやスマホの需要が戻らなければ業績改善
は軌道に乗りません。以前は半導体製品の市況を示すBBレシオという指標がありました。しかし統
計が発表されないなりSOX指数がその代替になっています。

しかしSOX指数は大手半導体メーカーの株価を足して指数化したものです。生成AI向け半導体で高
成長しているエヌビディア株が大きく上昇すれば指数を押し上げます。BBレシオと違い半導体市場
全体を示す指標ではありません。シリコンサイクルが底打ちした程度でも半導体製造装置メーカーが
高値更新しているのは少し先走り過ぎとの見方もあるでしょう。

日本市場には欧米市場と比較して遅れていた企業統治の強化や株主還元の強化と資本効率の向上と
いったテーマが存在します。企業がどこまで海外投資家が期待している改革を押し勧められるのか
が近い将来のバブル後高値更新の条件です。

2022年や2023年の円安といった押し上げ材料は2024年には期待できないでしょう。市場の見方は
トレンドとして2024年は円高になるというものです。FRBの利上げ局面が終了し、次はいつ利下げ
に移行するのかが為替市場の来年の関心事です。

外需企業は円安といった追い風無しに業績を伸ばせるのか問われます。世界の投資家は大型テック
銘柄を買うなら米国市場のマグニフィセント・セブン中心に銘柄選別をすればいい筈です。

海外投資家が米国市場にはない魅力的な銘柄がどれだけ出てくるかが重要です。その答えはバフェ
ット氏が投資先に選んだ日本の5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠、丸紅、住友商事)です。

市場は次のバフェット銘柄がどこの企業になるのか注目しています。バフェットが2020年夏以降
5大商社株に投資を始めてからの上昇率は指数を大きく超えるものでした。当然市場では次に買う
銘柄探しが盛んです。現時点では信越化学工業やブリヂストン、富士フイルムホールディングスが
挙げられています。

次回更新は28日を予定しています。
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EV普及させる意味

2023-11-22 05:57:15 | 日記
円高が重しになり21日の東京市場は上値の重い一日でした。自動車や商社それに食品銘柄の
下げが目立ったようです。半導体銘柄にはエヌビディア株が高値更新したことで買いが入り
上昇しましたが、東京エレクやレーザーテックは連日高値を更新して高値圏にあることから
伸び悩みました。

エヌビディアの決算の内容にもよりますが、目先材料出尽くしで同株が下落すれば日本の半
導体銘柄にも売りが波及する懸念は頭の隅に入れておいた方が良さそうです。

円安進行で大きな恩恵を受ける自動車セクターでしたが、円安の影響を除けば実質減益とい
う企業もありました。円安転換と米国で自動車ローンの延滞率の上昇から今後は販売が鈍化
するとの見方もあるようです。自動車各社の業績は今期が当面のピークになるかもしれません。

内燃機関からEVへの移行は国によりバラツキがありますが、方向としては今後も高まる傾向
になることは避けられません。EVでは既に中国で熾烈な過当競争が発生し各社の採算は悪化
しているようです。現在中国では大手や新興を含めて160社余りのEVメーカーが存在するよう
です。

今後生き残れる企業は全体の2割あるか無いかという見通しも出ています。それでもBYDなど
中国メーカーは生き残るために拡大志向を緩めることはないでしょう。中国市場はガソリン車
主体だった外資優位の時代からEV時代は経営スピードと圧倒的な量産体制で中国メーカー優位
の市場は続きそうです

一方米国市場では事実上中国メーカーを排除する法律が成立しテスラを筆頭に米メーカーや欧
州メーカーや韓国メーカーなどの競争が激化しそうです。日本メーカーがどこまで追い上げら
れるのかがポイントになります。またEV化で中国とともに先頭走っている欧州では格安な中国
製EVが市場を席巻する勢いです。雇用問題も絡み今後欧州がどのように中国との対峙するのか
こちらも注目されます。

日本はHVの普及と日本独自の規格である軽自動車の普及が高く燃費の良い車の選択肢は海外よ
りも多いようです。経済的な理由でなく環境に配慮したユーザーなら話は別ですがそうでなけ
れば急いでEVに乗り換える必然性は低いようです。

EV充電サービスを手掛けている業者が大幅に値上げしたことでガソリン車に比べてEVの維持費
が安いという訳でもなくなりました。EV自体がまだ技術が成熟段階に達しておらず電池におい
て価格や走行距離や充電時間など使い勝手は途上です。技術革新が進み性能が良く価格的にもガ
ソリン車と遜色のないEVが出て来た時に既存の中古EV価格がどうなるのか分かりません。

中国やインドなどのように都市部での大気汚染が深刻ではない日本。再生可能エネルギーの普及
が欧州よりも遅れている日本。火力発電で作った電気を使ってEVを走らせてもCO²の削減効果は
それ程大きくはありません。日本市場で急いでEV普及させる意味を考える局面かもしれません。

※ 明日の更新は休みます
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