kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

またも鴻海に揺さぶられる

2017-04-12 08:06:27 | 日記
東芝は11日上場企業としては異例の監査法人が適正意見を付けな
い形での決算発表を行いました。WHを巡り監査法人との見解の溝
が埋まらなかったのが原因のようです。東証から特設注意市場銘柄
に指定されていますが、解除の見込みは立っていません。半導体子
会社売却で債務超過を解消できたとしても上場を維持できるかどうか
瀬戸際の情況は続きそうです。

シャープを買収して日本でも一躍有名企業に躍り出た鴻海精密工業
が今度は東芝が分社化した半導体子会社の買収に手を挙げました。
その金額は何と3兆円です。売却額はこれまで1.5兆~2兆円といわれ
ていましたから将に破格の金額です。純資産額が5000億円から6000
億円といわれてましたから2.4兆円から2.5兆円のプレミアムが上乗せ
された金額です。

もっとも本当にそんな大金を出すのか懐疑的な見方もあるのではない
でしょうか。今から1年ほど前シャープのスポンサーには政府系ファンド
の産業革新機構が有力視されていました。そこに待ったをかけたのが
鴻海精密工業でした。当時産業革新機構が提示した買収額は2000億
円から3000億円でしたが、鴻海精密工業が提示した金額は5000億円
でした。破格の価格提示は官主導によるシャープ救済劇を資本の論理
で逆転することでした。

その後提示額を6000億円まで引き上げることでシャープの経営陣から
鴻海の目論見通り選ばれ買収合戦から産業革新機構を撤退させまし
た。そこから鴻海精密工業の巧みな交渉術が発揮されます。3月末ま
でに出資を完了して債務超過を解消したいシャープ経営陣の足元を揺
さぶり一転強硬姿勢に舵をきります。隠れ債務などの精査を要求し早
期の出資実行を渋ります。シャープとは一度決まった出資を株価下落
を下落にドタキャンしましたから再びシャープ経営陣に緊張感が高まり
ました。

買収金額の引き下げを最終的に勝ち取り割り当て価格の大幅な引き
下げが行われ買収総額は3888億円で決着させました。最終的には産
業革新機構が提示した金額に888億円追加しただけでした。しかも出
資が実現したのは中間決算が迫る8月でした。大風呂敷を広げライバ
ルを撤退させ選択肢が限られる状況で価格を引き下げを迫る鴻海精
密工業の交渉術に関係者は完敗したということで終わりました。

おそらく今回も事前の上限金額に1兆円を上乗せし競合勢を買収合戦
からおろさせ出来れば9月中間決算で債務超過を解消したい東芝の足
元を見て買収価格引下げの条件交渉に持ち込む戦術かもしれません。
しかし当時赤字から抜け出せないシャープの事業と違って買収事業は
継続的に大きな投資が必要であっても優良な物件です。シャープの二
の舞は避けなければなりません。

鴻海の交渉上手は認めても一度決まったことに難癖(適切ではない表
現かもしれません)をつけ買収金額を値切ることには釈然としません。
外資系に決まるとしても通商問題にプラス効果もありそうな米国系に決
まって欲しいと個人的には思ってしまいます。やはり大風呂敷を広げた
挙句相手の弱みにつけこむやり方はフェアじゃないと感じてしまいます。
もっとも元をたどればシャープや東芝の旧経営陣がお粗末だからこんな
事態になったのです。無能な経営者を選ぶと本当に社員が悲惨な目に
あうという事例です。
コメント
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