kabu達人への道

マスコミで深く触れられることのない投資の裏側や
投資にあたっての疑問など赴くままに綴っていきます。

楽天三木谷社長に物申す

2017-02-23 07:54:06 | 日記
22日の東京市場で楽天株は大きく上昇しました。21日に上限1000億円
1200万株の自社株買いを発表したことを好感した買いが上昇の要因で
す。取得株式数の上限は自社株を除く発行済み株式数の8.4%に相当
する額になりかなり大規模な株主還元になります。

三木谷社長は「足元の株価は割安で、我々の想定する企業価値と大き
な開きがある」と発言しているようです。確かに楽天株は2015年4月の
高値2395円に対して大規模な自社株買いを好感して上昇した22日の終
値は1129円と高値時の半分以下の水準まで下げ市況環境によっては
1000円割れの可能性さえありました。

もっともここまで楽天株が下げ続けたのは前期まで2期連続で大幅な
減益に陥りました。今後もEC業界はアマゾン、ヤフーなどとの競争激
化が予想されます。これまで国内のEC市場を牽引し高い成長を続け
ていた楽天への成長期待がこのところ薄れてきているようです。

楽天はアベノミクス相場に乗り株価が高値圏で推移していた2015年6月
に総額1800億円弱の公募増資に踏み切りました。大規模な資金調達で
高成長を期待されました。ところが増資に踏み切った年から2期連続で
減益という結果でしたから投資家からの信頼を失うことになりました。

当時の公募価格は1905円でした。公募を引き受けた投資家はまだ保
有しているとすれば22日現在でおよそ4割程度の値下がりになってい
ます。公募を引き受けた投資家の中には2000円程度まで上昇する場
面があり旨く逃げ切った人達もいたでしょうが、塩漬けになっている投
資家もかなりいるのではないでしょうか。

株価が割安と言っていますが2期連続で減益決算になり市場から失望
を招いた三木谷社長の責任です。そもそも今1000億円もの大規模な自
社株買いに踏み切れるなら2年前の増資が本当に必要だったのかとい
う疑問も浮かび上がります。今日付けの経済紙も資本政策に対するち
ぐはぐさを指摘しています。

結果的に株価が高いところで増資、公募価格から4割超も下げた時点
で大規模な自社株買いをするというのは投資家からすれば食い逃げと
いわれても仕方ありません。とても積極的な株主還元という評価を下す
ケースではありません。

今回の大規模な自社株買発表も今期業績回復見通しを発表後も一向
に下げ止まらない株価に危機感を持ったからでしょうか。楽天はここ数
年巨額な海外M&Aを立て続けに行ってきました。211年に電子書籍の
Koboを236億円で買収したのを皮切りに14年には無料対話アプリのバ
イバーを900億円、会員制モールのベーツを1000億円で買収しました。

15年には電子図書館プラットフォームの世界最大手オーバードライブを
500億円で買収と矢継ぎ早に買収を繰り返しました。数年前三木谷社長
は海外売上高比率を現状の10%代半ばから50%に引き上げたいとイン
タビューで答えていました。勿論国内市場だけに拘っていればいずれ
成長は止まります。方向性は正しいのでしょうが本業のEC事業と買収
した数々の事業とどれ程相乗効果があったのでしょうか。結果が出てい
ないので目論見通り進んでいないようです。

株価を上げるためにはやはり本業を中心とした成長を数字で示すこと
です。成長企業ならいくら株価が割安であってもやるべきことは資金を
成長投資に振り向けることです。決して1000億円もの巨額な資金を自
社株買いに振り向けることではありません。22日も株価が伸び悩んだ
のは今期は大幅に回復するという会社見通しが額面どおり受け取れな
いという市場の不安を示しているようです。
コメント
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