去る6月19日(木)はかねて予定していた他家へのオーディオ訪問日だった。前日までシトシトと、しつこく降り続いていた雨がまるでウソのようにすっかり晴れあがって絶好のドライブ日和。
訪問先は福岡市内にお住いでウェスタンの555システムを同じウェスタンのオリジナル・アンプで鳴らしてある“お宅”で、生粋のウェスタン同士の組み合わせはこれまで聴いたことがないので興味津々。
何しろ初めてお会いする方なのでオーディオ仲間のAさんを介しての日程調整だった。
当日は別府の自宅を早朝8時に出発して、カーナビの指図のままにスイスイと迷うことなくご自宅に到着したのが10時ごろだった。仮にHさんとしておくが、ほぼ同年輩とお見受けしたが非常に気さくな方でまずはひと安心。
「初めまして~、〇〇と申します。どうかよろしくお願いします」。
オーディオルームに通されて「ワァー」と、思わず声を上げてしまった!
システムの概要を紹介しておくと、
スピーカー
ウーファー 「4181A」(口径46センチ) ミッドレンジ 「555W」(片チャンネル2個)+15Bホーン ツィーター 「K597」
アンプ
WE46C×2 (片チャンネル 整流管、出力管ともにウェスタン205D真空管がそれぞれ2本!)
レコードプレイヤー 「EMT927ST」 CDプレイヤー 「LHH2000」
音の入り口から出口まで極めて細かい神経が行き届いていて、「タンガーバルブ電源」から始まって、「ペイパーオイルコンデンサー」などへのこだわりなど、どれかが欠けるとたちどころに音質に影響を及ぼすそうで、これだけのシステムを構築し維持していくのは並大抵の苦労ではないことがよく分かった。
「音」に対する形容はいろいろあるが、実際にこういう音を耳にするとまったく別次元の世界で思わず「言葉を失う」というのが正確なところ。非常に気持ちがよい音で、どんなに長時間聴いても聴き疲れしなくて柔らかい音とだけ言っておこう。もう、これ以上は何とも表現のしようがない(笑)。
厚かましくも昼食を御馳走になりながら5時間あまりひたすら「ウェスタンサウンド」を堪能させてもらったが、取り分け印象に残ったのが、レコードによるシゲティが弾く「ヴァイオリン協奏曲(ベートーヴェン)だった。
バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」をはじめシゲティは硬質の音を出す傾向のヴァイオリニストだと思っていたが、ここでは極めて繊細で柔らかい響きを出すことに驚いた。再生装置でこれだけ変わるのだから演奏家の評価はうかつに出来ないとつくづく思った。
我が家のシステムからこういう音はとうてい出すべくもないがメルクマールになるという意味で今日はずっと記憶に残る1日となった。
オーディオ冥利に尽きるとはこのことだが、我が家の音と照らし合わせると身近な課題として浮かび上がってくるのがJBLシステムで、これと比較すると「まだ欠陥だらけだなあ」と慨嘆したが、その一方、これから工夫する楽しみも増えた。
とりあえず、ここで聴いた音の透明感は375ドライバーに使っている現行の「刻印付き2A3」アンプよりも、最近購入した新しい「ナス管」アンプに相通じるものがあるので、自宅に帰ってから再び入れ替えてみようと思った。
帰りがけにご厚意でウェスタン社が責任を持って作成編集したCDを数枚貸していただいた。
ボーカルを中心に映画音楽、ジャズ、クラシックなど幅広く網羅されていたが、いずれのCDともに「野太い音」が出てくるのに驚いた。通常のCDに比べて出力レベルが非常に高くて、DAコンバーター(ワディア27ixVer.3.0)のボリュームを5db下げるほどだった。
おそらく収録するマイクや録音機材が違うのだろうが、広い映画館などで「遠くに飛ばす音=浸透力のある音」とはこういう録音をいうのだろう。
今さらだが、「ウェスタン」と名がつけば何から何まで凄い!
その昔、古典の授業で「平家にあらずんば人にあらじ」(平家物語)とあったのを記憶しているが、今回の訪問を通じて「ウェスタンにあらずんばオーディオにあらじ」という言葉がつい浮かんでしまった(苦笑)。
最新の画像[もっと見る]
-
「早咲きタイプ」 と 「遅咲きタイプ」 3ヶ月前
-
「早咲きタイプ」 と 「遅咲きタイプ」 3ヶ月前
-
「早咲きタイプ」 と 「遅咲きタイプ」 3ヶ月前
-
「周波数レンジ」よりも「ハーモニー」を大切にしたい 4ヶ月前
-
もしも村上春樹さんがオーディオ評論家だったら 4ヶ月前
-
もしも村上春樹さんがオーディオ評論家だったら 4ヶ月前
-
もしも村上春樹さんがオーディオ評論家だったら 4ヶ月前
-
CDのコピー及び貸与は違法ですか? 4ヶ月前
-
CDのコピー及び貸与は違法ですか? 4ヶ月前
-
日本でクラシック音楽の「すそ野」を広げる妙案がありますか? 4ヶ月前