前回からの続きです。
オーディオ仲間のご好意により「大型ドライバー+ウッドホーン」の試聴に恵まれたので、さっそく試すところまで記しておいた。
システムがガラリと変身したので結線が済んで最初の音出しのときには「いったいどんな音が飛び出してくるんだろう?」と、いやがうえでもハラハラドキドキする。これもオーディオの醍醐味のひとつ。
緊張の一瞬だが、一同固唾を呑んで(出てきた音に)耳を澄ましたところ、期せずして「なかなかいいじゃない!」と、声が上がった。
自分でも、一聴しただけで「これはいけそうだな。」と直感した。オーディオは多分に感覚の世界なので初印象はとても大切。ほら、「一目惚れ」という言葉もあることだし~(笑)。
それからは本腰を入れてクラシックから歌謡曲まで次から次に聴いてみたが、音質に不自然さが無く何といっても500ヘルツ以上の情報量が飛躍的に増えた印象を受けたので、これまでのサウンドがいかに控え目に終始していたかがよく分かった。
万事控え目な人間には「おとなしいサウンド」が似合っているが、この辺でガラッと豹変するのも面白いかもしれない。まさに「君子豹変す」(笑)。
チャンデバ1号機が合格したことを一同確認してから、今度はチャンデバ2号機を使ってクロスオーバー2000ヘルツで聴いてみた。これもなかなか良かったが、自分にはちょっと音像がデカ過ぎるような印象を受けた。何だか歌手の口元が大きくなるような感じといえばいいのだろうか。
ウェストミンスターの箱はクロス1000ヘルツが前提なので、一緒に試聴していたMさんに「このチャンデバですが折角ですからクロス2000ヘルツを1000ヘルツに変更できませんかね?」
「ああ、できますよ。8か所ぐらいの素子を代えるだけで済みます。次回来たときにやってあげましょう。」
「助かります。是非、お願いします。」
クロス500ヘルツと1000ヘルツのチャンデバが2台あればその日の気分次第でずいぶん遊べそうだ。
いずれにしても、このウッドホーンには大きな将来性を感じたので「しばらくお借りしてじっくり聴いてみたいのですが・・・・」と、Kさんにお願いしたところ「いいですよ。しばらく聴いてみてください。」と、ご快諾を得た。
丁度昼食時になり、2時間ほどでお二人とも辞去されたので午後からは独りでさらに試聴を続けた。
今度はジャズで「ビッグ バンド」(カウント・ベイシー)を聴いたところ、明らかに高域不足であることが判明した。そりゃそうですよねえ、JBL「375」をツィーター無しで聴くようなもんだから~。
クラシックやボーカルでは誤魔化しがきいてもジャズともなると、これはイケマセヌ。やはり試聴盤にジャズは絶対に欠かせない。
そこで、ためらうことなくJBL「D123」(口径30センチ)に使っていた「075」ツィーターを投入した。
このシステムを名実ともに我が家のフラッグシップ(旗艦)モデルにしようという決意の表れでもある(笑)。ただし置き場所ともなると、ウッドホーンの脇しかない。ほんとうは「縦一文字」がいいのだが・・・。
「マイカ・コンデンサー」を使ってローカットし、オーディオ戦線に投入した。接続はSPターミナルを使ってシンプルに締めて圧着するだけ。
すると「しめた、音に輝きが出てきたぞ!」
中小型システムにもいいところが沢山あって大好きだが、やはり大型システムでないと出せない音があることを改めて痛感した。
たとえば以前クラシカ・ジャパンで録画した「マーラーの4番」(ゲルギエフ指揮:於ロンドン・アルバートホール)を聴いて唖然とした。
ミニチュアの舞台から大きなコンサートホールに変身した印象で、何という雄大なスケール感だろう。やはりマーラーを聴くのなら「でっかい箱」の方が絶対いい。
けっしてローエンドまで伸びているわけではないが、音にゆとりがあるので何時間聴こうと耳が疲れず、このところ少なくとも(4番を)毎日2回以上は聴いているのだから世話はない(笑)。
さらに、もっと欲が出てきたので今度は駆動する2台のアンプを一新して我が家のエース級を投入した。
まず、500ヘルツ以下には低音域の質感が一番優れた「2A3シングル」(フランスのVISSEAUX)を起用し、中高音域にはとっておきの「171シングル」を持ってきた。
ところで、どんなシステムでも聴きこんでいくと何らかの欠点が見えてくるものだが、このシステムははたしてどうなんだろう。
実は、本日(14日)の時点で既に10日ほどが経過しているのだが、強いて言えばやや乾き気味の音になるのかなあ・・・。
ジャズばかり聴くのならまったく言うことなしだが、クラシックとなるともっと湿り気というかシットリ感が欲しい気もするが、贅沢をいえばきりがない。
Kさんによると久しぶりに電流を通したそうなのでドライバーのエージングを続けるともっと良くなるのかもしれない。
それはさておき、昔と比べて今回の3ウェイがうまくいった要因をいつものように「独断と偏見」にもとづき分析してみると、
1 「2ウェイ・チャンデバ + ツィーター」の編成がウェストミンスターにマッチしていた
2 中高音域に71系アンプを活用した
3 プリアンプ1号機(ムラードのECC83×6本)の活用
4 お借りしたウッドホーンとドライバーの性能がGOOD
といったところかな。
まあ、自分で勝手に「うまくいった」と思い込んでいるだけだが(笑)。
夏もようやく終わり、これから涼しくなって本格的な「オーディオ・シーズン」を迎えるのでしばし、楽しませてもらうことにしよう。
ただし、何よりも留意しておくべきはウッドホーンが借り物であるということで、俗な言葉だが「横恋慕」もほどほどにしておかないと、後になって肘鉄を喰わされたときにショックが大きくなる~(笑)。
MさんとKさん、今回はどうもありがとうございました。こういう機会をいただいて心から感謝しています。
昔も今もオーディオ仲間に支えられてばっかりだなあ~。