「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

手がかかるシステムほど可愛い

2015年05月02日 | オーディオ談義

同じ「AXIOM80」仲間のSさん(福岡)。長いこと東京へ単身赴任中だったが、このたび4月の人事異動でめでたく福岡へ戻られた。

「良かったですねえ。これからは頻繁に交流できますね。」と喜び合ったが、そのSさん曰く「スピーカーはAXIOM80があれば十分ですよ。これまでいろんなところでJBLシステムを聴かせてもらいましたが、一度もいい音と思ったことがありません。そろそろ処分されてはいかがですか」。

「寸鉄(すんてつ)人を刺す」という言葉があるが、Sさんは温和な口調のままにときどきズバリと本質を指摘されることがあって、その辺が適度な緊張関係を醸し出し、付き合っていて非常に楽しい(笑)。

「それがですねえ。手がかかる子供ほど可愛いという言葉がありますが、何とも言えない愛着があるんですよねえ。JBLをうまく調教してクラシックを聴けるようにするのが私の夢なんです~。」

我が家のJBL3ウェイ・マルチ・システムにはこの10年あまり散々手を焼いてきた。

              

ご覧のとおり、既存のシステムをそっくり購入したわけではなく、エンクロージャーも含めて寄せ集めの材料で組み合わせているので手こずるのは必然の成り行きだが、それだけにいろいろと工夫の余地があって楽しませてもらっている。

あれこれいじり回して「よし、いい音になった!」と喜ぶのもつかの間で、1~2週間経つと元の木阿弥(もくあみ)で「やっぱり、何だかおかしいなあ」この繰り返しである。

何と言っても、低音域のエンクロジャーがフロント・ショートホーンになっているので3つのユニットの位相が取りづらいのが一番の難点である。

このたび「ネットワークオーディオ・プレイヤー」の導入に伴って、丁度いい機会とばかり全面的な見直しを行ってみたが、はじめに全体像がつかみやすいように改変後の組み合わせを述べておこう。

 低音域(~200ヘルツ)

  アッテネーター → 「刻印付き2A3真空管アンプシングル」 → 「JBLD130ユニット」

 中音域(500~7000ヘルツ)

  「古典管プッシュプルアンプ」 → 「JBL2440ドライバー+ホルン」
  (註)本年初頭に「北国のおじさん」からいただいた「ホルン」は相変わらず活躍中です。いかがお過ごしですか?

 高音域(7000ヘルツ~)

  「古典管シングルアンプ」 → 「JBL075ツィーター+ステンレスホーン」

さて、今回の見直しの内容だが次のとおり。

 プリアンプの追放

既にお気づきの方もあると思うが、各ユニットごとに使っていたプリアンプをすべて追放した。理由は各ユニットの(音の)色付けを最小限にするため、そして
「シンプル・イズ・ベスト」の観点から無くて済むものは出来るだけ排除する。したがってそれぞれのボリュームの調整はアンプ付属のもので調整することにした。

☆ 位相の調整

「2440」ドライバーと「075」ツィーターを設置する位置を変更した。画像でご覧のとおり、「2440」をずっと後ろに下げ、振動板の位置に合わせる形で「075」をその横に持ってきた。これまでは小さな台を利用して「2440」の上に置いていたのだが、あまりにも高過ぎるので苦肉の策。本当はユニットの位置は縦一列が理想なのだが、「D130」のエンクロージャーが高過ぎるので背に腹は代えられない。

 「075」ツィーター用のアンプの真空管の変更

       

これまで、「075」用アンプに使ってきた真空管は正直言っておざなりの球だった。「およそ7000ヘルツ以上の高い周波数を鳴らすのならどんな真空管を使っても大した違いはあるまい」ということで、いわば控え的な存在のST管を使ってきた。

ちなみに、古典管といっても製造時期からいくと前期にあたる「ナス管」と後期にあたる「ST管」の2種類がある。「ナス管」の方が断然音がいいが(我が家では!)、何分にも稀少管だし、お値段の方もぐっと値が張るので滅多に使わないようにしている。

ところが、念のため出力管、整流管ともどもこのST管を貴重な「ナス管」に換えて試聴したところ、全体の音が激変した。ややキンキン気味の音が見事に落ち着いて全体の「音の佇まい」がまるっきり違って聴こえる。

「たかがツィーターと言っても仇やおろそかに出来ない重要な役割を担っている。むしろ音全体を支配する存在かもしれない」と痛感したことだった。これから「ツィーター」用のアンプには絶対に最上の真空管を使おうと心に誓った(笑)。

以上のとおり、これら3点の見直しによってようやく音が随分こなれてきたように思える。何よりも音響空間に遠近感が感じられる。位相の調整が、そこそこうまくいっている証拠である。

この音なら「Sさんも手放した方がいいとは仰らないはず」と思うがどうだろうか。

まあ、1か月ほど様子をみてみることにしたが元の木阿弥で、「やっぱり、何だかおかしいなあ」と思わないで済むことを心から祈ろう(笑)。
 

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