「木を見て森を見ず」
ディテールにこだわりすぎて全体をとらえられないことの喩え。
いい意味では使われない。
だが、そうでもないと私は思う。
世の中は役割分担である。
いつも「木を見る」ことで、美しい木や丈夫な木を育てていく役目の人の存在も認めなければならない。
特に私たちのような「技術」分野の仕事では、ディテールへのこだわりがなければ良いモノはつくれないからである。
だから理想は「木も見る森も見る」なのだ。
現場監督という仕事の面白くてかつやっかいなところは、その任務が、マネジャーであると同時にエンジニアだということである。
広い視野を持って現場をデザイニングし、マネジメントをしていきつつ、
細部への配慮を、ゆめ忘れてはならない。
だから理想は「木も見る森も見る」なのだ。
そんな難しい?
そう難しい。だから面白い。
楽しい、という感情はなかなか生まれないが、
やりがいがあり張り合いがあり、達成感がある。
とはいえ、どちらかに重心を置かなければどっちつかずになってしまうのが現実である。
となるとやはり、「森を見る人」たらんと行動してほしい。
「森」のためには、放ったらかしにしていい「木」もあり、伐り倒さなければならない「木」もある。
そしてその優先順位や判断は、不変ではなく、その時その場で応変していくべきものである。
必要なのは備わった天性ではなく、常日ごろの意識づけと、視点や思考を鍛えること。
それもまた、土木屋にとっては、鍛えることによって身につけることができる技術なのだ。
以上、「俯瞰する人」の続稿である。
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