漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「尚ショウ」 <台座に二つの供物がのる>

2017年09月07日 | 漢字の音符
 ショウ・ジョウ・なお 小部

解字 金文は、「冂形(つくえ・台座)+一印の供物が二つのっているさま+口(祭祀用の器)」の会意。机または台座の上に供物を供え下に祭祀用の器を置いたさまで、祭祀の様子を表している。篆文から、机上の二つの供物⇒小に変化し、さらに新字体は旧字の尙⇒尚となった。
 意味は、祭祀の対象を「たっとぶ・あがめる」、転義として「たかい」意がある。「なお」の意は仮借カシャ(当て字)である。
意味 (1)とうとぶ。たっとぶ。あがめる。「尚武ショウブ」(武をたっとぶ) (2)たかい。上品である。「高尚コウシュウ」 (3)なお(尚)。かつ。やはり。「尚早ショウソウ」(なお早すぎる)「尚更なおさら

イメージ  祭祀の対象が「とうとい」 (尚・堂・瞠・敞・廠・嘗)
       台座上に供物をのせる事から「上にのる・のせる」 (賞・償・当・蟷・掌)
       「同音代替」 (常・党・裳)
音の変化  ショウ:尚・敞・廠・嘗・賞・償・掌・裳  
        ジョウ:常  トウ:当・党・蟷  ドウ:堂・瞠

とうとい
 ドウ  土部
解字 「土(土壇)+尚(とうとい)」 の会意形声。土は土壇、堂は土壇のうえに築いた、とうとい神仏を祀る建物をいう。転じて、大きな建物などを指す。
意味 (1)神や仏をまつった建物。「お堂」「金堂コンドウ」「経堂キョウドウ」 (2)大きな御殿。「殿堂デンドウ」「講堂コウドウ」 (3)立派なようす。「堂々」 (4)他人の母の敬称。「母堂ボドウ
 ドウ・みはる  目部
解字 「目(め)+堂(立派な御殿)」の会意形声。立派な御殿を目を大きく開けてみること。
意味 みはる(瞠る)。目を見張る。みつめる。「瞠目ドウモク」(目を見張る)
 ショウ  攵部
解字 「攵(うつ)+尙(神仏を祀る建物=堂。土壇が高くて広い建物)」の会意形声。堂を造るため周辺の土地を平らにしてよくたたいて固め、周りより一段と高くしたひろい所をいう。
意味 たかい。土地が高く平ら。ひろい。見晴らしがいい。「敞閑ショウカン」(広々としてしずか)「広敞コウショウ」(ひろい)「高敞コウショウ」(たかくてひろい)
廠[厰] ショウ  广部
解字 「广(やね)+敞(ひろい)」 の会意声。ひろく筒抜けになった建物。壁のない広間や土間になった建物。厰は異体字。
意味 (1)おおや。ひろい建物。「工廠コウショウ」(工場。仕事場)「廠舎ショウシャ」(四方に囲いのない屋根だけある建物。特に兵舎をいう)(2)うまや。馬を集めて飼う建物。「馬廠バショウ」(うまや)
 ショウ・ジョウ・かつて・なめる  口部
解字 「旨(うまい)+尚(とうとい)」 の会意形声。とうとい方(神)が味わうこと。
意味 (1)新しく収穫した穀物を神に供え味わっていただく祭り。「神嘗祭かんなめさい」(新穀を神に奉る伊勢神宮の祭り)「新嘗祭にいなめさい」(天皇が新穀を神にすすめ、またこれを食する祭り) (2)なめる(嘗める)。あじわう。「嘗胆ショウタン」(苦い胆をなめること) (3)こころみる。ためす。「嘗試ショウシ」(ためしてみる) (4)<仮借カシャの用法> かつて(嘗て)。

上にのる・のせる
 ショウ・ほめる  貝部
解字 「貝(財貨)+尚(のせる)」 の会意形声。財貨をのせてほうびとすること。
意味 (1)ほうび。たまもの。「賞状ショウジョウ」「賞金ショウキン」 (2)ほめる(賞める)。「賞賛ショウサン」「賞味ショウミ」(ほめて味わう) (3)めでる。「観賞カンショウ
 ショウ・つぐなう  イ部
解字 「イ(人)+賞(財貨をのせる)」 の会意形声。人に財貨をのせて、つぐないをすること。
意味 つぐなう(償う)。あがなう。むくいる。「弁償ベンショウ」「賠償バイショウ」「償還ショウカン」(借りたものを返す)「償却ショウキャク」(つぐない返す)
[當] トウ・あたる・あてる  ツ部
解字 旧字は當で 「田(土地)+尚(のせる)」 の会意形声。田畑の売買をする際、その土地の値打ちに相当するもの(金額など)をのせること。相当する(当てる)意が原義。新字体は略字による。
意味 (1)あたる(当たる)。あてる(当てる)。「相当ソウトウ」 (2)わりあてる。「当番トウバン」 (3)あたりまえ。「当然トウゼン」 (4)この・その。「当面トウメン
 トウ  虫部
解字 「虫(むし)+當(当たる。向かい合う)」 の会意形声。向かい合って当たってゆく虫でカマキリをいう。
意味 蟷螂トウロウに使われる字。蟷螂とはカマキリのこと。螂ロウは郎(若者)に通じる。蟷螂は、向かい合って当たってゆく若者に虫をつけ、勇気ある若者が虫になった形。螳螂トウロウとも書く。「蟷螂の斧おの」(中国の故事。斉国王の荘公が馬車で出かけると、道に一匹のカマキリがいて、逃げださず前足をふりあげて馬車に向かってきた。荘公はその勇気を賞して、わざわざ車の向きを変えさせたという。)
 ショウ・たなごころ  手部
解字 「手+尚(上にのせる)」 の会意形声。物をのせる手の部分である手のひらをいう。
意味 (1)てのひら。たなごころ(掌)。「掌中ショウチュウ」(手のひらの中)「合掌ガショウ」(手のひらを合わせる) (2)つかさどる。「掌握ショウアク」(掌中に握る)

同音代替
 ジョウ・つね・とこ  巾部
解字 「巾(ぬの)+尚(ジョウ)」 の形声。長チョウ(長い)は呉音にジョウの発音があり、常は長い布の意。古代の長さの単位で一丈六尺(16尺)を常といった。一方、尋ジンは8尺をいうため、尋常というと8尺とその倍の16尺のことで、決まった長さの意。ここから、いつもの・ふつうの意がでた。
意味 (1)いつも。つね(常)。「常食ジョウショク」「常駐ジョウチュウ」 (2)ふつう。「通常ツウジョウ」「常温ジョウオン」 (3)いつまでも続く。とこ(常)。「常夏とこなつ」「常(とこ)しえ」
[黨] トウ  儿部
解字 「儿(ひと)+尚(=常の略体)」 の会意形声。常につながりのある人のなかま。旧字は黨で、「黒の旧字(すすで黒ずんだかまど)+尚(=常の略体)」 の会意形声。炊事や飲食をともにする常につながりのある仲間の意。
意味 (1)なかま。ともがら。「徒党トトウ」 (2)政治的な団体。「政党セイトウ」 (3)むらざと。むら。「郷党キョウトウ」(同郷の人々)
 ショウ・も・もすそ  衣部
解字 「衣(ころも)+尚(=常。ながい布)」 の会意形声。長く下にたれる衣の部分。
意味 も(裳)。もすそ。したばかま。下半身にまとう衣服。「衣裳イショウ」(衣はここで上半身に着るものの意、裳は下半身に着るもの。すなわち衣服全体をいう)「裳階もこし」(仏塔、城郭などで、軒下の壁面に付いた庇状構造物。本来の屋根の下にもう一重屋根をかけたかたち)
<紫色は常用漢字>

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