かぶれの世界(新)

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窮地の首相

2008-12-21 10:36:34 | 国際・政治

麻生内閣支持率が20+%に急落したことが先週初め報道各社から発表され、これを見た与党内外から不協和音が(面白おかしく)報じられた。一瞬、政局を思わせる動きが出た。やや落ち着いたところで、チョット時間を置いて、例によって私らしい周回遅れの考察をしてみる。

麻生首相が歴代首相と比較して、何故急速に支持率を落としたのか。その一番の理由はなんと言っても急速に悪化する経済である。経済が悪化した時は、どんな首相も支持されないと覚悟しなければならない。それが「市場の失敗」であっても政治責任が追及されるものである。

悪いことに、麻生首相は「政府の失敗」で傷に塩を塗った。政局よりも政策を優先する、そうしないと苦境に陥った企業や人々が年を越せないと言及し、景気対策を打つとの主張が国民の支持を得た。しかし、事前にぶち上げたプランの評判が悪いと、第2次補正予算の提出を延期した。国民どころか身内の自民党の中にもあっけにとられるものが出た。こんなので大丈夫かと皆思った。

私も、その延長線上で不支持に1票を入れる。

経済財政諮問会議は税制抜本会議に向けた中期プログラムの原案を16日発表した。私は以下の理由でこの中に問題の典型的な例があるように感じる。原案は①行政改革と無駄の排除②経済好転まで機動的対応③景気好転後に財政規律を確保(増税)の三原則を示すものだった。

困難な現状を考えると大筋妥当な方針、と私は考える。だが問題は、前提としている行政改革や無駄の排除の具体的な歳出改革を殆ど示してないことである(日本経済新聞12/17)。将来の税負担への理解を得る為には、一方で歳出改革の理念を具体的に示さなければ先に進まない。首相の言うことは、肝心な何かが抜けている「ルースエンド」で、それが不信を買うのである。

どうも、これが麻生政権の性格であるというのが、私の疑いであり不支持の理由である。

小泉・安倍・福田と続いた歴代内閣の重要政策は、道路公団・郵政民営化、公共事業削減、道路財源の一般財源化、公務員制度改革、消費者行政の一元化だった。その肝は政策決定プロセスを見直し、官僚の省益志向を打破し、護送船団下の既得権益を無くそうとするものであった。

上記の中期プログラムの歳出改革の扱いが示すように、歴代首相の改革は反故同然になった。端的に言うと麻生政権はこの歴代首相が10年間身体を張って確立した政策を、全て見直し或は先送りしたといってよい。渡辺行元革担当相が感涙を流しのはつい最近のことだったが。

要は、過去十年間、国民が強く支持してきた改革などやる気がないのである。当座の景気対策は必須だし最優先で取り組まなければならないが、改革の旗は降ろすべきでは無いし、公務員制度改革や消費者庁設立は景気対策と矛盾しないはずだが、今や議論もされずメディアも騒がない。

麻生首相の支持率急降下は、こういった抜きがたい旧自民党の体質への回帰が国民の目に明らかになり、支持が離れて行ったと私は思う。しかし、仄かな期待もある。福田前首相も支持率急降下した時初めて、開き直って自から信じる政策を打ち出した。麻生首相が開き直った時何が出てくるか怖い気持ちもある。いずれにしろ、民主党が政局優先でいる間はまだチャンスがある。■

コメント
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