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太陽電池、いつかきた道

2006-03-31 22:56:07 | 社会・経済

太陽電池は光エネルギーを電力に変換するもので、現在主流のシリコン太陽電池は1954年ベル研から論文が発表された。当初は効率が数%で人工衛星などの宇宙用に使われたが、1974年の石油ショック以来日本で本格的に開発に取り組み変換効率は40%近くに改善、世界の約半分を生産し、世界市場をリードしている。(Wiki

中国やインド経済の急成長で化石燃料の需要が急増し、今後更にエネルギーの高騰と環境悪化が予想される。自動車以外でも日本の省エネルギー技術、代替エネルギーは世界をリードしてきた。将来エネルギー源の枯渇は世界経済成長を鈍化させるが技術を持つ日本の相対的立場は悪化しない。

太陽電池はクリーンな代替エネルギーとして有力であり、日本の技術が先行しているというのが私の理解だった。ところが以前「産業の米の凋落」で日の丸半導体産業の衰退を論じたが、太陽電池が同じ道を辿るかもしれない心配なニュースを見つけた。

原油価格の高騰は太陽電池のマーケットの成長を加速させている。日本とドイツはこの数年補助金で太陽発電導入を促進してきた。カリフォルニア州は今後10年間に300億ドルの巨額の補助金をかけてトータルで3000メガワットの太陽発電を実現する法案が1月に承認された。それだけで2004年の世界中の太陽発電量と同じになる。

これを見込んだのか、聞いたこともない台湾の半導体メーカーMotechE-TonSino-American Siliconが世界から投資を受け、なんとこの3社だけでカリフォルニア州法による増加を含む世界の太陽電池需要を上回る生産キャパシティの工場を作る計画らしい。

日本メーカーが先端技術を駆使して変化効率の改善に注力しているのに対し、後発の台湾メーカーは技術開発より生産プロセスを改善しコストを下げるアプローチを取っている。彼らのアプローチには勝算があるという。私には、この競争の構図に記憶がある。

日本メーカーは必死で最先端技術開発し道が開けると、やや遅れて韓国や台湾メーカーが大量生産工場を作り世界の需要を満たし、日本メーカーはやがて技術で先行できなくなり衰退する。明らかに韓国・台湾メーカーには日本メーカーに無い世界市場戦略があった。半導体、液晶ディスプレイ、光ディスク。いつかきた道だ。

太陽電池の場合、ここに来て潤沢にあるはずだったシリコン材料不足が加わり事態は複雑になった。確かに日本顧客は品質にうるさく相当のお金を払うので市場が立ち上がるときは投資資金回収に貢献してくれるが、日本市場だけを相手にしていると世界市場を失う恐れがある。

日本の有力メーカーもこぞって増産体制をしき、材料調達難を解決する技術開発を進めている。しかし台湾メーカーの一見無鉄砲に見える設備投資が供給過剰になり価格下落が進むと、収穫する前に産業再編成が始まる可能性がある。そうなっても耐えられるコストダウンを進めておかなければいつかきた道を辿るのは目に見えている。■

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