白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

発売日&封じ手予想

2018年05月23日 20時14分38秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は「やさしく語る 碁の大局観」の発売日です。
早速、amazonの売り上げランキングを見てみたところ・・・。



なかなか順調のようですね!
発売直後なので当然かもしれませんが、とりあえずほっとしました(笑)。
それにしても、1位の本は凄いです。
9年前に出た本ですからね・・・。
ヒカルの碁は、未だに囲碁普及に貢献していることが分かります。


さて、本日は本因坊戦第2局の1日目が行われました。
今回は対局場が二条城、午前中は両者和服着用など、歴史や文化にもスポットが当たる対局になっています。



1図(テーマ図)
本因坊文裕の黒番です。
黒1、3に注目してみましょう。
この手を、隅の地を取りにいった手と解釈するのは大きな間違いです。





2図(変化図)
黒1と切る手もプロの対局で打たれていますが、この図と実戦では隅の黒地は大差ありませんからね。
問題は、こういった進行でどちらが有利に戦えるかということです。
本因坊は周囲の状況を判断した結果、黒が苦しいと判断したのでしょう。
そこで、実戦は戦わない手を選び、どうぞ上辺を囲ってください、私は他の所を頂きますよと言ったわけです。

こういった、碁盤全体を見たり、将来を考えた上で正しい打ち方を考えること・・・これがまさに大局観です。
大局観が身に付いていないと、プロの碁は意味不明と感じてしまうでしょう。





3図(実戦)
山下挑戦者が白Aや白Bなどと上辺を地にする手を打たないのも、やはり大局観に基づいた判断をしているからです。
石の強弱などを確認した結果、下辺が一番魅力的な場所だと判断したのでしょう。
このあたり、お互いの大局観がある程度一致していると考えられますね。





4図(打ち掛け局面)
さて、白△と打ったところで打ち掛けとなりました。
次の黒の手が封じ手ですが・・・。
うーん、これはかなりの難問です。
お互いにあまり弱い石が無く、焦点がはっきりしない状況に見えます。

普段は直感で封じ手予想をしていますが、今回は碁盤に並べて想定図を作ってみたりしました。
その結果・・・分からないということが分かりました
そうは言っても、分からないで終わってはプロとしてどうかと思いますから・・・。





5図(封じ手予想)
封じ手予想はこの手にしてみました。
少し弱い左下黒の補強をしながら、中央に頭を出す意味です。
周囲の白には多少弱みもあるので、そこを狙っていきたいですね。

左辺に打つ確率は高いと思いますが、候補となる着点が多いです。
また、上辺に打つような可能性も無いとは言えません。
そんなことを考えると、この手が当たる確率は・・・10%ぐらいでしょうか?
初黒星を喫する可能性大ですね(笑)。





6図(第1局)
第1局はここで封じ手でしたが、封じ手予想の難易度としては低い部類でした。
黒△が取られてはダメということで、黒△の周辺に打つ手しか候補にならなかったからです。
いつもこのぐらいの難易度なら、私の勝率も多少はマシになるのですが・・・(笑)。

いずれにしても、明日の進行が楽しみですね。
ぜひ幽玄の間などでご覧ください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする