白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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良い形・悪い形

2016年05月28日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は形の重要性をお伝えしたいと思います。



7子局です。
白1のボウシに対して、「ボウシにケイマ」で黒2と受けました。
良いですね、ここまで黒に全く悪手がありません。
そして白3のツケはボウシからの後続手段、これに対する応手が問題になります。





黒1!これはアマの方が大好きな手です。
前図の形は指導碁で何百回と出来ましたが、相当な人数の方がこのブツカリを打たれました。
格言に「2目の頭は見ずハネよ」とありますが、白2となると黒が自ら2目の頭をハネられにいってしまった格好である事がご確認頂けると思います。





その後黒は1と白を攻めようとしましたが、白2がまた急所になります。
2線なので、これは2目の尻とでも言うべき形ですね。
2目の頭と尻の両方をハネられ、黒はダメ詰まりで非常に不自由な形となりました。





黒1と右への侵入を防げば、白2の切りが成立します。
1目取って生きられた上に白Aの強烈な切りが残っては黒大失敗です。





かといって左側を守れば、白2と侵入されてしまいます。
白10となって、黒地を荒らしながら悠々と治まってしまいました。





打つ手に困り、実戦は黒1と手を抜きましたが白2、4とやはり黒のダメ詰まりを衝いて悠々と治まられています。
Aの取りも残って白楽な形です。





正解は「ツケにはハネよ」の黒1です。
プロ同士の対局でも頻繁にできる形で、こう打っておけばまず間違いありません。





白1と引けば黒2とノビて、のびのびした形です。
対して白は辺に根拠が作る余地が無く、苦しい形です。
2番目の図と比べてみてください。





白1と伸びて頑張れば、そこで初めて黒2とぶつかっていきます。
白3と押さえても黒4と打てば、白は空き三角に加えて2目の頭と尻を両方ハネられた格好、相手の形を悪くする手は良い手です。
黒圧倒的に有利になります。





黒のハネに対しては白1の切り込みが形を整えるための常套手段、定石と言っても良いでしょう。
対して黒は難しく考える必要はなく、黒3と取っておけば問題ありません。





前図の続きでこのように進む事が想定されます。
黒△の一団は1目取って非常に強い形になりました。
ただし右上の黒が少し心細くなって来るので、黒1、3とでも打っておきましょうか。
白を攻めながら自分の石を補強する、理想の展開です。





最初の白のツケに対し、白Aのシチョウが成立しないので黒1のハネ出しから黒3・・・これは筋の良い最強手であり、最善手でもあります。
自信満々にこういう事をやられると投了したくなります(笑)
ここからミスをして潰れるリスクもありますが、上達のためには非常に良い姿勢ですね。


形の良し悪しによって碁盤の景色が大きく変わってくる事、ご理解頂けたでしょうか。
石を取られたり地が無くなったりするのは、大抵は形の悪さが原因です。
お気を付けください。
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