白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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会津中央病院杯・準決勝

2016年05月22日 22時54分16秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
昨日に引き続き、第3回会津中央病院杯のハイライトを振り返ってみます。
本日は準決勝です。



1局目は謝依旻女流本因坊(黒)対鈴木歩七段の対戦です。
序盤から鈴木七段がひたすら堅く打ち進め、後半勝負になるかと思われていました。
しかし黒△となった場面、重大な転機が訪れました。





白1、3としっかり守っておけば普通です。
しかし黒4に回って形勢は黒が良さそうです。





そこで実戦は白1とツギ!
当たり前の手に見えるかもしれませんが、実際はかなりの勝負手です。
自分の石も危険ですが、黒を切り離して頑張っています。





相手がぎりぎりまで踏み込んで来た以上、謝さんとしては当然黒1と反撃!
決戦に突入しました。
これは殴り合いなどではありません。
殺し合いです。





激戦の結果黒が白の塊2つを取り、白が黒石の塊1つを取る振り替わりに。
2つ取った黒が良く、謝さんの決勝進出が決まりました。




もう1局は青木喜久代八段(黒)対王景怡会津中央病院杯の対戦です。
ここで白△と打った手が凄い!





何故なら黒1と切られて2目助けられないからです。
助けようとすると下の石が取られてしまいます。





白2と抜く一手で、振り替わりになりました。
思い切った打ち方ですが、2目抜いては黒が良いでしょう。
ひょっとしたら何か錯覚があったかもしれません。
しかし連覇への執念か、ここから物凄い頑張りを見せました。
白4と渡りを止めたのも強引に思えましたが・・・





乱戦の結果、黒の上下を切り離し、白Aの切りも打った上で白△と大場に先行!
これでまた勝負はわからなくなりました。





しかしここから青木八段が力を出します。
最後は右辺の白大石を仕留め、勝ちを決めました。

決勝は6月17、18日に女流棋戦唯一の2日制で行われます。
腕力自慢の両者ですから、激しい戦いになるでしょう。
ご期待ください。

また、明日からは本因坊戦第2局が行われます。
幽玄の間で中継されますので、ぜひご覧ください。