白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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会津中央病院杯

2016年05月21日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
第1回13路盤プロアマトーナメント戦、募集終了まで残り2日となっています。
予選開催まで残り80万円弱、まだまだ諦めるには早いです。
更なるご支援をお願いいたします。

さて、本日第3回会津中央病院杯が開幕しました。
棋譜は日本棋院ネット対局幽玄の間でご覧頂けます。
当ブログでは1回戦4局のハイライトを振り返ってみたいと思います。



1局目は王景怡会津中央病院杯(黒)対稲葉かりん初段です。
王景怡さんの父親は王立誠九段です。
昨年の会津中央病院杯優勝により、二代続けてのタイトル獲得を果たしました。
対する稲葉初段は関西棋院所属の17歳。若い!
本局は思い切った打ち方でチャンピオンに挑戦しました。

さて、局面は白1、3と仕掛けた所です。
黒としては渡らせるわけにはいきませんからAかBですが、どちらを選びますか?





黒1、3と打てば隅は間違いなく黒地になります。
こちらを選びたくなる方が多いのではないでしょうか。
しかし王さんの選択は違いました。




黒1と外側にハネ出しました。
以下白10まで、隅の黒地が白地になってしまいました。
一見すると黒大損ですが、王さんとしては当然想定内です。
この変化を選んだ黒の狙いは何でしょうか?





黒1、3と白地になりそうな所で堂々の動き出し!
これが厳しい狙いでした。





以下黒12までと白地をガラガラにして勝負を決めました。
稲葉初段の勢いをチャンピオンが技で抑えました。




続いては青木喜久代八段(黒)対藤沢里菜三段の対戦です。
青木八段は言わずと知れた実力者です。
対する藤沢三段はまだ17歳ながら既にプロ6年目。
女流トップクラスの実力を身に付けています。
1回戦屈指の好カードでした。

局面は白△と黒模様を消しに出た場面です。
現状黒がリードした局面なので、AやBと受けていても打てるかもしれません。
しかし攻めが身上の青木八段、そういう手は見向きもしなかった事でしょう。





黒1、3、5と白を分断して反撃!
どちらの白も生きていないので、絡み攻めにかける作戦です。





長い戦いの結果、黒△となって下半分を千切ることになっては黒の勝勢になりました。
青木八段の強烈パンチが決まった1局でした。






お次は鈴木歩七段(黒)対金子真季初段の対戦です。
鈴木七段は一般棋戦でも活躍する実力者です。
女流棋士には珍しく、正確な読みで着実にポイントを挙げていく展開を得意としています。
対する金子初段は一歩も緩まない戦い方が身上です。
本局は先輩の鈴木七段に押されつつも、しぶとく食らいついていきました。

局面は白△と這った所です。
一つの急所ではありますが、やや戦線離脱気味だった気もします。
白Aと取って下辺黒にプレッシャーをかけていれば違う展開になっていたでしょう。





ここをチャンスと見て、鈴木七段の一気呵成の攻め!
黒9まで、白の大石に襲い掛かりました。





白は生きる手はありましたが、それを放棄して頑張った手を選びました。
そこで黒△と白の大石の眼を取りにいった手が決め手になりました。
白Aと反撃して攻め合いになりますが、黒の一手勝ちを読み切っています。
鈴木七段、得意の読みで勝利を収めました。





最後は謝依旻女流本因坊加藤朋子六段(黒)の対戦です。
謝女流本因坊は既に獲得タイトル数22!
既に女流歴代1位ですが、一体どこまで増やすのでしょうか。
加藤朋子六段も女流タイトルを何度も獲得した実力者です。
久々のタイトル獲得が期待されていました。

局面は黒1△と白の大石に迫った場面です。
取られては困るので、大石を逃げてしまいそうですが・・・





黒の攻めに構わず、白1と殴り込み!
打ち過ぎとも思える激しさですが、これが謝さんの持ち味です。





この後、手順は進んで白△となった場面です。
左右の黒も弱い石になり、もはやどちらが攻めているかわかりません。
謝さんの面目躍如の打ち回しでした。


準決勝は明日12時から行われます。
幽玄の間で中継されますので、皆様是非ご覧ください!